[本]のメルマガ

配信済のメルマガのバックナンバーを見ることができます。また、記事に対するコメントもお待ちしております。
<< [本]のメルマガ vol.745 | main | [本]のメルマガ vol.747 >>
[本]のメルマガ vol.746

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■------------------------------------------------------------------
■■ [本]のメルマガ                 2020.03.05.発行
■■                              vol.746
■■  mailmagazine of books  [ネタバレを含むのでご注意ください 号]
■■------------------------------------------------------------------
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★PR★ 原 書 房 最新刊 ★ http://harashobo.co.jp/

『「食べる」が変わる 「食べる」を変える:
 豊かな食に殺されないための普通の方法』

ビー・ウィルソン著 堤理華訳 本体2,800円+税

「食」は喫煙や飲酒よりも恐ろしい「死のリスク第1位」。豊かに見えて実は
貧しい現代人の食の構造を検証し、しかし単純な善悪論や完璧主義に陥ること
なく、「普通」に食べる大切さを世界的なフードジャーナリストが指し示す。

■CONTENTS------------------------------------------------------------

★トピックス
→ トピックスをお寄せください

★味覚の想像力−本の中の食物 / 高山あつひこ
→ その45「チョコレートをめぐる不穏な動き」その2. 危険なチョコレート

★声のはじまり / 忘れっぽい天使
→ 第124回「正しさ」に従うということ─諸星大二郎「失楽園」

★「[本]マガ★著者インタビュー」
→ インタビューを受けていただける著者の方、募集中です。

★ホンの小さな出来事に / 原口aguni
→ 今回はお休みです。

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■トピックスをお寄せください
└──────────────────────────────────

 出版社の皆様、あるいは出版業界の皆様より、出版関係に関わるトピックス
(イベント、セミナー、サイン会、シンポジウム、雑誌創刊、新シリーズ刊行
など)の情報を、広く募集しております。

 情報の提供は、5日号編集同人「aguni」hon@aguni.com まで。

----------------------------------------------------------------------
■味覚の想像力−本の中の食物 / 高山あつひこ
----------------------------------------------------------------------
その45「チョコレートをめぐる不穏な動き」その2. 危険なチョコレート
    
 冬の寒い季節にチョコレートを贈る。そんな、日本独特のヴァレンタインデ
ーの習慣を皆さんはどう思われているのだろう。女性から男性へチョコレート
を贈る日で、愛の告白だったり、お義理でチョコレートを買ったりする日だと
思うと気が重いけれど、今は違ってきたようだ。小中学生では女の子同士が友
チョコを手作りして贈りあったりする習慣があるようだし、大人の女性たちは
自分へのご褒美に高くておいしいチョコレートを買ったりする。知り合いの若
い人も、ヴァレンタインデーに、ケーキ作りが趣味の男の子が、クラス全員に
行きわたるように大きなケーキを三個も焼いてきてくれた思い出があると言っ
ていたから、男性側の意識も変わってきている気がする。そうなって来ると、
チョコレートに苦い思い出を付け加えずに、チョコレートそのものが楽しめる
日となって来ているようで嬉しい。
 
 だって、チョコレートのあの黒い肌には、特別の魅力があると思うのだ。決
して料理上手ではない私でさえ、この日には、チョコレートケーキやトリュフ
などのお菓子を手作りする。なぜかと言うと、チョコレートを砕いたり溶かし
たり、生クリームやバターを混ぜ込んだり、アーモンドや胡桃を混ぜたりする
過程がとても面白いからだ。

 だからだろうか?チョコレートは推理小説の題材として、大の人気者だ。

 作家たちは張り切って、ありとあらゆるものを、ここに混ぜ込もうとする。
推理小説だけでなく怪奇小説の中でも、チョコレートは大活躍する。ちょっと、
食欲がわかなくなってしまう描写も多いのだが、そういう毒の味を小説の中で
味わってみるのも一種の醍醐味だと思うので、チョコレートにまつわる物語の
中を歩いてみようと思っている。ヴァレンタインデーのチョコレートで苦い思
いを味わった方には、特に楽しんでもらえるに違いない危険なチョコレートも
いくつか用意しておこう。

(ここから先はもちろん、「ネタバレ」満載です。極力ぼかしますが、ご勘弁
を)

 最初に、私が毒入りチョコレート事件に出会ったのは、なんと児童文学の中
だった。少年探偵カッレ・ブルムクヴィストが活躍するアストリッド・リンド
グレーンの名作シリーズの第二巻にあたる『カッレ君の冒険』。このシリーズ
の物語に出てくるのは、夏休みに夢中になって赤バラ白バラの両軍に別れて戦
争ごっこをしている六人の子供たちだ。その中の一人、白バラ軍の勇士エーヴ
ァ・ロッタが、両軍が夢中になって奪い合っている「聖像」という石が隠され
ている空き家のお屋敷に行く途中、殺人犯と行きあってしまう。
 死体の第一発見者で犯人の顔も知っているこの少女について全国の新聞が書
きたてたので、国中から見舞いのチョコレートや菓子がどっさり届けられる。
それこそ、チョコレートなんてもう見たくなくなるくらいにどっさりと。そん
なある日、もうチョコレートにうんざりしているエーヴァ・ロッタの家の郵便
受けに大きな板チョコ入りの封筒が入っていたので、エーヴァ・ロッタは無理
やり仲間のアンデスとカッレに半分ずつ分け与える。アンデスはそのチョコを
犬にやり、自分も指を舐めたことによって犬も自分も具合が悪くなる。
 その事に気づいたカッレが、チョコレートが毒入りだったのではないかと疑
い、もらったチョコレートを自分の実験台に乗せて「ヒ素鏡」を作り、ヒ素が
入れられていたことを突き止めるのだ。さすが名探偵!
 この物語、毒入りチョコレートが送りつけられる話だと考えると、とても恐
ろしいのだが、カッレが自分の実験室でヒ素の抽出をする場面が魅力的で、子
供の時には、その怖さに気づかなかった。それより、挿絵にもあるアルコール
ランプやフラスコで作った水素発生装置があまりに魅力的で、カッレ君は凄い
な、私も実験室が欲しいなと思う方が先だった。
    
 チョコレートは溶ける。柔らかいから中に何でも入れられる。悪意のある者
にとってはそこが魅力的で、アメリカではヴァレンタインデーではなくハロウ
ィーンに、危険なチョコレートが出回るようだ。『恐怖のハロウィーン』とい
う怪奇小説のアンソロジーに入っているタルミジ・パウエル著の『小鬼の夜』
にも、なにやら魅力的な実験室まがいの場所で、チョコレートに工夫を凝らし
ている場面が描かれる。そこは、主人公の少年ボビーがプラモデルを作ったり
する自分の机の上なのだけれど、古切手集めの時に封筒からはがしたりするた
めの毛抜きや切手ばさみやらの道具が常備されている。ボビーは尖ったピンセ
ットの先でチョコレート・バーの袋の合わせ目を外し、包み紙を剥き、チョコ
レートを上下二等分にし、砕いた剃刀を入れこみ、また元のようにする。この
工程が実に息を詰めるような詳細さで、何とも言えず魅力的で、本当にどきど
きする。でも、大丈夫。このチョコレートを口にする人はいない。ある人の親
指が少し切れるだけ。けれど、ボビーの大事な願いは叶うのだ。

 これが大人が主人公の物語だとこうはいかない。例えば同じくアンソロジー
の『とっておきの特別料理 美食ミステリー傑作篇』のジョン・コリア著の
『完全犯罪』に描かれるチョコレートは、どんな毒が入っているのか最後まで
わからない。夫が妻に七キロ入りの巨大なチョコレートの詰め合わせの箱を送
り、妻はその三分の二を食べて亡くなったという。五キロ近いチョコレートを
食べれば、そりゃ病気になるよなと思いながら読んでいたのだが、主人公のス
コットランドヤードの警部が警視総監に語ったところによると、なんとこの夫
は料理の名人で、デザートにも素晴らしい手腕を発揮したという。もちろん、
この箱の中のチョコレートは、既製品に見せかけているが実はその男の手作り。
そこで、毒物検査で何の毒も発見できなかったという事から、二人はチョコレ
ートを手に取って食べ始める。そして、やめられなくなるのだ……。けれど五
つ目で運よく二人は具合が悪くなり一命をとりとめる。

 危険でおいしいらしいこのチョコレート、是非食べてみたいと思うのだが、
果たして、五つでやめられるだろうか?

 先にあげたようにチョコレートにカミソリや針を入れる話は、推理小説には
山ほどある。J・A・コンラス著の『ウィスキー・サワーは殺しの香り』の犯人
も、袋入りのチョコバーに夢中になって細工をしている。でもねえ、何度もや
ったことがあって名手だという割には、現実味がない数字が続く。口に放り込
めるようなミニサイズのチョコバーに釣り針を仕込むって、それも十一本って、
無理すぎる話だ。針を交差させるように入れるとか書いているが、それでは手
に取った時に刺さってばれるだろう。実にグロテスクなこの場面の後、けがを
するのは大食いの刑事。カミソリ入りのチョコレートで舌を切ることになるが、
食欲は少しも衰えないところが救いだ

 小説の中では、チョコレートは悪役になる。こんなふうに、そこに毒や危険
物が入ってなくても真っ先に疑われることになる。甘くて苦くて黒いからなの
だろうか?

 例えば、アガサ・クリスティ著の『予告殺人』に出てくる大きなチョコレー
トケーキには「デリシャス・デス」(甘美な死)という名前がついている。そ
れは、東欧からの難民であるこの家の料理番が作ったケーキで、砂糖や干し葡
萄がたっぷり入り、チョコレートの衣がかかったとても甘いケーキらしい。で
も、バースデイ・パーティのスペシャルケーキなのに、これを食べた人たちか
らは、評判が悪くて、

「あたし、ちょっと気分が悪くなったの。あのケーキよ。たしかこのまえもそ
うだったわ」

なんて言われてしまう。どうも、ヨーロッパ大陸式の甘いケーキはこの家に住
むイギリス人たちには評判が良くないようなのだ。もちろん、この後、毒殺事
件が起きるのだが、その正体がケーキではなかったのにもかかわらず、まるで
犯人であったかのように、記憶に残ってしまう不思議なチョコレートケーキな
のだ。

 ケストナー著の『ふたりのロッテ』。にも、象徴的な役割を果たしているチ
ョコレートがあって忘れがたい。

 離婚した父母にそれぞれ育てられていた双子の姉妹が偶然出会い、お互いに
入れ替わってみるというこの物語。チョコレートは三回ほど顔を出す。

 最初は、ウィーンの歌劇場の桟敷席の場面だ。姉のルイーゼのふりをして作
曲家で指揮者の父親のウィーンの家に行ったロッテは、ある夜、父が指揮する
『ヘンゼルとグレーテル』の歌劇を見ることになる。その時、一箱のチョコレ
ート菓子がふいに差し出される。

「あんたも少しどう?」

 そう、すすめてきたのは、父親の恋人のゲルラハ嬢。慌てたロッテは二階の
桟敷席の手すりからチョコレートの箱をはらい落としてしまい、一階席の客に
チョコレートの雨を降らせてしまう。

 このゲルラハ嬢、双子の姉妹にとっては悪役で、その晩のロッテの夢の中で
も魔女として出て来る。夢の中の魔女のお菓子の家には、チョコレートの垣根
があり、ロッテは夢中で齧ろうとするとするのだが、それは毒入りのお菓子だ
と言われて、投げ捨てることになるのだ。

 夢の中だけではなく、父親に彼女と婚約する予定だと聞いたロッテが、何と
かして止めようとゲルラハ嬢の家に行く場面でも、チョコレートは登場する。
やって来たロッテを迎えたゲルラハ嬢は、猫なで声でこう小間使いに命じる。

「チョコレートを入れてちょうだい!そしてウェファーをもってきて!」

 もちろん、ロッテは、チョコレートを飲む余裕もなく追い返され、やがて病
気になってしまう。この場面の最後は、せっかく入れたチョコレートを持って
来た小間使いをゲルラハ嬢がどなりつけるところで終るのだが、頭の中に浮か
ぶのはおぼんの上にあるチョコレートのカップだ。その黒々としてとろりとし
たチョコレートの液体に、ゲルラハ嬢の悪意が象徴されているように思えてく
るのだ。

 さて、こんな物語を思い出しながら、今年も私はヴァレンタインデーのチョ
コレートを溶かして、色々なものを入れたのだけれど、スパイスに悪意や毒な
どいれなかったことは神かけて誓います。

 でも、それでは、つまらないと思うあなたには、いつかまた改めて怖いお話
を紹介いたしましょう。

----------------------------------------------------------------------

『カッレ君の冒険』 A・リンドグレーン著 尾崎義訳     岩波少年文庫
『恐怖のハロウィーン』タルミジ・パウエル著他 仁賀克雄訳   徳間文庫
『とっておきの特別料理 美食ミステリ傑作集』小鷹信光編    大和書房
『ウィスキー・サワーは殺しの香り』J・A・コンラス著木村博江訳 文春文庫
『予告殺人』  アガサ・クリスティ著田村隆一訳 ハヤカワ・ミステリ文庫
『ふたりのロッテ』      ケストナー著 高橋健二訳  岩波少年文庫

----------------------------------------------------------------------
高山あつひこ:ライター(主に書評)。好きなものは、幻想文学と本の中に書
かれている食物。なので、幻想文学食物派と名乗っています。著書に『みちの
く怪談コンテスト傑作選 2011』『てのひら怪談庚寅』等

----------------------------------------------------------------------
声のはじまり / 忘れっぽい天使
----------------------------------------------------------------------
第124回 「正しさ」に従うということ
─諸星大二郎「失楽園」(『男たちの風景』小学館)

*ネタバレを含むのでご注意ください

 ポリティカル・コレクトネス(political correctness)という言葉がある。
人種・民族・性・宗教等の差別を禁止するために公正な表現を使用すること、
公正な態度を示すこと、という意味のようだ。グローバル化が進む世界で、様
々な立場の人を受入れ、平等を確保するために必要な方向性と言える。日本で
も遅ればせながらヘイトスピーチが規制の対象になったり、性暴力に対して声
をあげるいわゆる「me too」運動が広がったりしている。マイノリティや弱者
を保護するポリティカル・コレクトネスの運動の成果だろう。そしてこの運動
の波は環境保護や福祉などあらゆる分野に及んでいるようだ。

 ポリティカル・コレクネスは「正しさ」の基準を打ち立てるという方向性故
に、白黒をはっきりつけ、中立的立場を許さない傾向がある。16歳の環境保護
活動家グレタ・トゥンベリが「環境問題は白か黒かの問題でグレーはない」と
述べたことは記憶に新しいところだろう。ここで矛盾が起こる。ポリティカル
・コレクトネスは様々な立場の人の権利を守るために、人権を犯すとみなされ
るものに対しては逆に排除に向かうからである。最近の例だと、献血のポスタ
ーに使用された巨乳のマンガキャラ「宇崎ちゃん」が、胸の大きさの強調故に
女性蔑視であるとする声が上がり、掲示の停止が叫ばれることになった。ポリ
ティカル・コレクトネスは、同じ民主主義の原理に根差すはずの表現の自由や
多文化主義と、ともするとぶつかることがあるわけだ。

 ここでぼくが思い出すのは諸星大二郎の名作マンガ「失楽園」(1978年)で
ある。この作品は「正しさ」が貫徹されたユートピアに対する期待と失望を寓
意的な表現で描いている。あらすじを説明しよう。

 文明が荒廃した未来。人類は沼のほとりで原始的な生活を営むことで辛うじ
て生き延びていた。そこへ旅人が現れ、沼を囲む荒地の彼方に恵まれた「幸福
の沼」があることを村人たちに告げるが同時にそこへ行ってはならないとも言
い、村人たちに殺される。主人公の少年ダンは親しくしていた少女ララが肉食
性の大クモに食われたことをきっかけに、村を捨てて「幸福の沼」を目指す。
旅する老人に導かれて「幸福の沼」に辿り着いたダンは、そこに住む男から、
過去を忘れ外の世界の話を一切しないこと、この町(「レーテの町」と言う)
の‘掟’を守ること、以上を守りさえすれば無事安楽な暮らしができることを
告げられる。決まった時間に起きて眠り、決まった衣服を身に着ける。食事も
娯楽も提供される。働く必要はない。

 しかし、ダンの心には次から次へと疑念が沸き起こり、気持ちが晴れること
はない。ダンは町の住人でやはり町の‘掟’に疑問を持つ少女リーチャと親し
くなる。リーチャはダンをこれが‘町の心’だと、球体が積み重なった形の不
思議な‘機械’を見せる。球体の一つからララを食べた大グモに似たものの姿
が現れ、ダンは驚く。リーチャによると、この醜悪な‘機械’が町を動かして
いるのだという。しばらくしてリーチャは‘機械’に挟まれて死に、ダンはレ
ーテの町を出て元の沼に帰る。

 文明が荒廃した理由は推測されるだけではっきりしたことはわからず、リー
チャを殺した‘機械’の正体もわからない。しかし、作者の意図が「正しさ」
への疑問であることは確かである。かつて栄えた高度な文明は、考え方の違い
から起きた戦争のために失われたのかもしれない。しかし、そうした「争い」
の種を除いて全ての人が平等に生きられる平和な世界を実現しようとすると、
全ての人々が一つの理念、一つのシステム、つまり一つの「正しさ」に盲目的
に従わなければならなくなる。

 レーテの町の芸術の在り方は面白い。人々は「美術堂」と呼ばれるホールに
集まり、「磁気カンバス」という巨大なスクリーンに思念を送って絵を描く。
傑作には人々から惜しみない拍手が贈られ、データにして保存される。「町の
外の風景や不穏なテーマの絵」はいけないことになっており、抽象画が主流だ
という。ソ連の社会主義リアリズムを思わせる表現規制だが、こちらの方が徹
底している。社会主義リアリズムでは、前衛的な抽象画は西欧のブルジョワジ
ーの価値観に追随しているとされて弾圧され、プロパガンダに使えるような大
衆を鼓舞するテーマの具象画が推奨された。しかし、レーテの町では、テーマ
が制限されるばかりでなく、独自の政治的な意味が発生しかねない具象画の存
在そのものが傍流となっている。

 我々は「差別のない世界」を目指さなければならないが、それが実現してし
まったら、そこはユートピアではなくディストピアなのだ。人々が自由な感情
や思考を持つ限り、自己主張は抑えきれず、それは差別や争いの基となる。そ
して自由を制限しようとする者と制限される者とは、決して「平等」な関係に
はない。自由を制限して「平等」を実現しようとする者は、レーテの町の‘機
械’のような、「正しさ」を武器とした権力者なのである。「正しさ」は権力
者の恣意的な好みで決められているに過ぎない。

 ぼくは時代に即した「正しさ」の標準を示すこと自体は重要だと思う。これ
は差別に当たる、これは環境破壊につながる、そういった指針が社会の中で共
有されていなければ、弱肉強食が無制限に進んでいってしまうだろう。しかし、
その指針が、それを主導する一部の人間の道徳意識によって定められていくな
らば、寛容さを実現するために作られた「正しさ」がかえって非寛容を強化す
るものになってしまう。ポリティカル・コレクネスの言説そのものが「ああで
もない、こうでもない」という議論に常にさらされ、批判される必要があるの
ではないか。この魅力的な物語を読み返すことの意義は、この辺りにあると思
う。

*『男たちの風景 諸星大二郎特選集第1集』(小学館 本体1429円))                                                                                 
----------------------------------------------------------------------
■「[本]マガ★著者インタビュー」:(特別編)
----------------------------------------------------------------------

 メールにて、インタビューを受けていただける著者の方、募集中です。
 【著者インタビュー希望】と表題の上、
 下記のアドレスまでお願い致します。
 5日号編集同人「aguni」まで gucci@honmaga.net

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 遅くなりました。(aguni原口)

----------------------------------------------------------------------
■広告募集のお知らせ:当メルマガは現在4075名の読者の皆さんに配信して
おり、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。
----------------------------------------------------------------------
■ 電子メールマガジン「[本]のメルマガ 」(毎月5・15・25日発行)
■ 発行:[本]のメルマガ発行委員会
■ 掲載された内容を小会の許可無く転載することはご遠慮ください。
■ COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ 今号のご意見・ご質問は5日号編集同人「aguni」まで hon@aguni.com
■ トピックスの情報提供もよろしくお願いします。
  なお、当メルマガは配信日によって、情報の提供先が変わります。
  ・5日号:aguni原口 gucci@honmaga.net
  ・15日号:畠中理恵子 hatanaka3floor@jcom.home.ne.jp
  ・25日号:朝日山 asahi_yama@nifty.com
  ただし、掲載の可否については編集同人が判断します。
■ 広告掲載につきましては、下記までお問い合わせください。
  事務局担当:aguni gucci@honmaga.net
■ HPアドレス http://www.honmaga.net/
■ このメルマガは『まぐまぐ』を通じて発行しています。
■ メールマガジンIDナンバー:0000013315
■ 購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行えます。
---------------------------------------------------------------------
 

| バックナンバー | 17:21 | comments(0) | -
コメント
コメントする









SEARCH
[本]のメルマガ
哲学・思想・社会などの人文書や、小説や詩など芸術の最前線、書籍の出版流通、電子出版などの「本」の現在を気鋭の出版社員、書店員が伝える、まさに[本]のメルマガです。
発行周期発行周期:月3回
バックナンバーバックナンバー:すべて公開
マガジンIDマガジンID:0000013315

メールアドレス:

メールアドレス:
Powered by まぐまぐ
※読者登録は無料です

コーチ募集(コーチングバンク) 無料 コーチング カーディーラー経営品質向上 CSR コンプライアンス 経営倫理 実践研究 BERC フリーラーニング
LATEST ENTRY
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
CALENDAR
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< March 2020 >>
ARCHIVES
LINKS