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[本]のメルマガ vol.706

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□■[本]のメルマガ【vol.706】19年1月25日発行
[草間彌生にあやかりたい号]
http://honmaga.net/ 
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□■ 創刊は1999年5月10日、現在の読者数は4161名です。
■□ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました。
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★トピックス
→募集中です

★「甘くて苦いイタリア」 雨宮紀子
→イタリアでも健康ブームなのか

★「今月のこの一冊」 小谷敏
→新世界秩序の是非

★「ちょっとそこを詰めていただけませんか」 竜巻竜次
→タダほど高いものはない。

★「はてな?現代美術編」 koko
→パリの自宅近くで爆発事故

★「スプートニクとカガリーンの闇」内藤陽介
→ソ連をイラつかせるユーゴスラビア

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★PR★ 原 書 房 最新刊 ★ http://harashobo.co.jp
『イヌの博物図鑑』
アーダーム・ミクローシ著 小林朋則訳
A4変形判 224頁 本体3,200円+税 ISBN: 9784562056125

種としての起源、身体構造、行動分析、ヒトの文化との関わり、おもな犬種な
ど、人類の身近なパートナーであるイヌを、最新の学術成果にもとづき多角的
に解説した、画期的な博物図鑑! 約350の豊富な図版、フルカラー。

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■トピックス
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■トピックス募集中です!
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■Italia dolce e amara: 甘くて苦いイタリア / 雨宮紀子
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第96 回 今年のトレンド料理を宅配で!

日本の秋を満喫して、いちばん驚いたのは食べものに対する飽くなきニーズ
と、対する売り手のレスポンスだった気がする。一言でいって、どうしてこう
も食べ物が提供されるのだろう、と。しかも絶対に不味いものがないとさえい
える。

もちろん割烹やレストランの次元ではないとしても、握りや巻き寿司だって、
その新鮮さと美味しさをスーパーでもなんとか買えるのだ。

その豊穣さは、どこにもあるスーパーやコンビニで目にしたり、買って味わっ
てわかるだけでなく、大型書店で目につくコーナーに氾濫するように置かれた
食べ物の雑誌の多さからもわかることだった。

イタリアで自然食の宅配サービスが拡がりつつあると知って、そういえば東京
ではあまり自然食のデリバリーなど気がつかなかったとふしぎに思った。
メールで日本から届く新聞を見ているだけでも、パンやご飯の糖度でさえ問題
視され、健康を維持することにますます厳格になっているようにみえるのに。

かつてはベジェタリアン、今はベガン(vegan)。健康食としての菜食は何と
いっても“料理しない”、生で食べることにあるようだ。その料理が家に居なが
らにして食べられるデリバリーサービスが増えつつあるという。

材料は健康に良いスーパーフードといわれ、大豆、小豆、ショウガ、ククル
マ、黒キャベツ(ケールの元祖)、トロピカルフルーツとその乾燥したものな
ど。ピッツァにしてもグルテンフリーになる。

この宅配サービス、もっとも人気があるのが大都市ローマとか。続くはミラ
ノ、ちょっと意外なアドリア海沿いのペスカーラ、そしてトリノ、ジェノヴァ
と続き、中都市のフェッラーラやパルマ、ボローニャ、フィレンツェの順のよ
う。

大人気のクールな菜食がアボカドなのはわかりやすい。
これもローマがアボカドバーガーなどで消費量のトップにあり、北イタリアで
は何が人気かといえば、ミラノ人はハワイ由来のポケボウルやスープが好き。
キノア(アンデス地方原産の穀物でキヌアとも)も好まれている。

ポケ料理はまさに今年のトレンドになるらしい。
鶏肉や魚を好む傾向も続き、材料は新鮮でなくてはならず、料理法は生か、蒸
すなど、あくまで健康的になる。

豆腐、アボカド、豆類、穀物やシリアルの「ヴェガン・ポケボウル」写真:
https://www.bing.com/images/search?
q=vegan+poke'&qpvt=vegan+poke%27&FORM=IQFRML

いちばん生姜を好んで食べている都市がトスカーナの港町ラ・スペツィアや、
スロヴェニアとの境にあるトリエステやシチリア島パレルモとは!

イタリアで黒キャベツ(カーヴォロ・ネーロ)というのは形がふつうの緑色野
菜で、名前の通り、ちょっとキャベツの味がする。これが日本で開発されてケ
ールとなっていることを昨秋に日本に行く前に知った。優れた野菜なので栽培
したかったが、種まきが10月というのであきらめたのが今でも残念。

フィレンツェでは、日がたって固くなってしまったパンを使ってつくる伝統的
な野菜スープ“ラ・リボッリータ”に、黒キャベツが欠かせない。この野菜を湯
がいてニンニクをきかせてオリーヴオイルで炒めてもおいしい。薄く切ったト
スカーナパンにのせて食べると二つの相性が抜群なのにおどろく。

それでは、これから成長株のアイテムは何なのだろう? これがまったく予想
外なのだ。着実に増えつつあるのが、黄色いクルクマ(カレーの黄色はこれか
らくる)というのは想像もしなかった。抗酸化力があり、スープにもマリネに
も巻きサンドにも使われる。鮮やかな黄色は心理的にもよいのではないか。

健康食の宅配になぜ興味がわいたのかと思ったら、ルネサンス美術好きとイタ
リア語とお喋り癖とを共有する友だちが、腰痛で4カ月半の入院生活からやっ
と今週末に退院することになったからではないかと思う。

彼女はひとり暮らしで、暇なときはクラウディオ・アバードが指揮するベート
ーヴェンの交響曲の全曲CDを聴くのを楽しみにし、仕事以外は買物に行くか
コンサートに行くくらいであまり出かけなかった。
ある日、ひどい腰痛にみまわれて救急車で病院に行き、治療で落ち着いたが、
黄色ブドウ球菌に感染して激痛のため入院。ようやくリハビリにまで回復し
た。
ひとり暮らしに戻れるまで、かなりハードルが高いのではないかと思う。

デリバリーサービスはすでにスーパーなどでも実施しているが、注文するだけ
ですぐに食べられる健康食の料理が手に入れられるのは、ありがたいことと思
う。これから、必須とされる業態ではないだろうか。

◎雨宮紀子(Gatta Italiana)
イタリア・フィレンツェ在住。著書に『天才力 三巨匠と激動のルネサンス 
(ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエッロ)』(世界文化社)、『メデ
ィチ家 ルネサンス・美の遺産を旅する』(世界文化社)。
創刊から15年のメルマガ「イタリア猫の小言と夢」は、melmaの地域情報部門
で2007年メルマガ・オブ・ザ・イヤー受賞。ほぼ隔週で発行中です: 
http://www.melma.com/backnumber_86333/
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■今月のこの一冊 グロバール化した世界を斜め読みする 小谷敏
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オーサン・ハサウエイ、スコット・シャピーロ著 野中香方子訳『逆転の大戦
争史』文藝春秋社 2450円(+税)

国際法の父とされるフーゴ─・グロティウスは、これまで信じられてきたよ
うな平和主義者ではありませんでした。彼は、「力は正義」という揺るぎない
信念の持ち主でした。国際社会に中立公正な裁定機関が存在しない以上、どち
らの側が正義であるかを判別することはできない。戦争においては勝利を収め
た側が正義なのだ。グロティウスは、勝者が敗者の領土を征服することも、力
を背景に条約を他国に強制する「砲艦外交」も容認しています。卑劣な手段を
用いるので無ければ、戦争における殺人も処罰の対象とはなりません。

「力は正義」という原則に立つ「旧世界秩序」は、凄惨な第一次世界大戦を
もたらしました。その反省のもとに、アメリカの法律家を中心に、戦争の非合
法化を求める動きが盛んになっていきます。1928年に締結された「パリ不
戦条約(ケロッグ・ブリアン条約)」は、多くの国々によって批准されまし
た。不戦条約への最初の違反行為は、砲艦外交によって旧世界秩序に組み込ま
れた、日本が起こした満州事変だったのです。国際連盟も、不戦条約を守らせ
る力をもちませんでした。第二次世界大戦の惨害がもたらされた所以です。

第二次世界大戦後の国際社会は、戦争を違法とする「新世界秩序」によって支
配されていきました。侵略戦争を指揮した指導者は、戦争犯罪者として処罰さ
れるという原則が、ニュルンベルクと東京の国際軍事法廷において確立された
のです。国際連合は安全保障理事会決議によって、憲章違反を犯した国に対し
武力制裁を加えることが可能になりました。GATT等の各種機関は、不正を行
った国に対して、経済制裁等の非軍事的なペナルティーを加え、「仲間外れ」
にされる恐怖に訴えて、国際協調を維持する方策を編み出したのです。

「新世界秩序」の下で、国と国との戦争は激減し、他国の領土の征服も稀なも
のとなりました。不戦条約が世界を変えたことは明らかです。しかし、戦争の
ニュースが絶えることはありません。戦争のない世界が、到来していないのは
何故なのでしょうか。不戦条約は、内戦を禁止していません。第二次世界大戦
後の大きな戦争は、朝鮮戦争であれ、ベトナム戦争であれ、小国の内戦に大国
が介入したために起こったものです。中東の紛争は、植民地解放の引継ぎの失
敗の結果、空白となった領土の帰属をめぐって生じたものでした。

「旧世界秩序」の下では、だめな国家は他国の餌食となり征服される運命にあ
りました。しかし、征服が認められない「新世界秩序」においては、そうした
「失敗国家」でも生き延びることはできる。「失敗国家」においては頻繁に内
戦が起こり、テロ集団の巣窟となることも稀ではありません。イスラム原理主
義集団は、「聖戦」を唱えています。プーチン、エルドアン、トランプ、安倍
晋三等々、「力は正義」と信じる指導者が世界にはびこっています。不戦条約
の歴史的意義を明らかにした本書は、いまこそ広く読まれるべき一冊です。

◎小谷敏
大妻女子大学人間関係学部教授。「余命5年」の難病から生還し、こうしてモ
ノが書けることに感謝。
最新刊「怠ける権利」高文研
http://www.koubunken.co.jp/book/b371637.html
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■ちょっとそこを詰めていただけませんか 竜巻竜次
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今回は「無料」の話

これは前にも書いたかも知れないが最近やたら「無料」だの「もらえる」だの
をよく聞く。特にマンガに関しては「無料読み放題」の文字がTVCMでもよく
流れドキドキしてしまう。
(もっともほとんどはその上に「定額」の文字が付くのだが)

この世には「タダほど怖いものはない」と言う格言がある。
なのに何故これ程「無料」の言葉が溢れるのだろう?

過去に「マンガは全部無料サイトで読んでるよ」と言う友人の言葉に凍り付い
てしまった。いわゆる違法サイトで読んでいる事を全く悪びれる事なく発言し
たその人は「マンガは結構大変な思いをして描いていて、原稿料はここ20年、
横ばいまたは減っていて単行本印税でやっと息を付いている」事をご存知ない
のだろう。

その人はデザイナーであり著作料を知らない訳ではない。そんな人物でも無料
である事を気にも留めていない様子なのだ。自分の仕事に置き換えたらどうな
る?

もちろん「タダ」と言われて心が動かない訳ではない。でも仕事はそれ相応の
対価によって成り立っている。無料と言う事はその「発生すべき対価」が支払
われていないのでは?と疑ってしまう。

先日電車の中でまあまあの年齢の女性が友人に「なぜLINEをしない?タダな
のよ。メールはお金がかかるじゃない。LINEにしなさいよ!」と力説してい
た。

何でタダなのか疑うこともなく無邪気に友人にすすめる姿を見ていてそのデザ
イナーを思い出した。世の中に無料が溢れ「乗り遅れる方がバカだ」的な風潮
になってしまっている。でも先にも書いたように仕事、労働には相応のの対価
があって初めて経済は回って行く。

あるシンポジウムで最近の原稿料の話を聞いて背筋が寒くなった。
ページ5000円で「ずいぶん下がってしまったなぁ」と感じた矢先「この前来
た依頼はページ単価に直すと480円ぐらいでした」

定額読み放題アプリで描き下ろしの原稿がページ480!

漫画家を目指す学生にこんな話、とても出来ない。
いや、逆に話をして「無料と言う言葉の裏に何が起きているか」知ってもらっ
た方がいいかも知れないね。

◎竜巻竜次
マンガ家 自称、たぶん♀。関西のクリエーターコミュニティ、オルカ通信の
メンバーとしても活躍中。この連載も、呑んだ勢いで引き受けてしまった模様
http://www.mmjp.or.jp/orca/tatumaki/tatumaki.html
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■はてな?現代美術編 koko
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第92回 『おっかなビックリ 危ないパリ』

年が明けたのだからと思ってしばらくは『おめでとう』を連発しながら、目出
度い年になるように年始を過ごし始めしばらく経った頃、いきなりパリの街中
で大爆発映像がLineに入ってきました。

それはうちの近所から歩いて2分ほどにある、いつも買いに行っていたパン屋
がガス爆発で木っ端微塵の映像。これは去年の黄色いベスト運動の催涙ガスを
あびて泣いている友人の顔写真を受け取った時よりもおっかなビックリニュー
スでした。

いつも歩く街並みが爆弾が落ちたような街に変り果ててしまったのです。
石造りの建物は頑丈で、当のパン屋の内部やその真向かいや横のお店、さらに
周囲の建物のウィンドウは全て破壊されたのに、建物自体はしっかり建ってい
ました。

爆弾は上から落ちるけど、今回は1階で爆発したからこうなるんですね。
上の階は火が出てて、上のアパートの住人の悪夢の朝を想像してゾッとするの
でした。

消防車が駆け付けた後に爆発が起こったので、消防隊員も死んだみたいです。
恐ろしい。。。

数年前にテロリストが一般市民を銃撃したときも恐ろしかったけど、今回は本
当に自分の生活範囲で起こった事件なので、事故ではありますがリアル感は凄
かったです。

ここ数年は年に一度パリに戻るぐらいですが、それでも家はそこにあって生活
の基盤になっています。家族も住んでいますのでやはりドキドキしてしまいま
す。

けが人を運ぶのにオペラ座の前にヘリコプターが降りていたらしいです。
オペラ座まで歩いて10分ぐらいの事故現場でした。

思い返せば、ここ4、5年のパリは安全ではないですよね。
テロと事故とスト、そしてデモ。パリは今時流行の出来事の縮図です。

この界隈は人種の坩堝なので住民も縮図化しています。
今回ガス漏れ事故のあった地域は、ユダヤ人もたくさん住む少し裕福な下町地
域です。

ライブハウスや小さな映画館、劇場がたくさんあります。日々すれ違っていた
人達の中に今回の被害に遭ってしまった人もいるはず。あ〜、今年も何が起き
るかわからない年の始まりです。

そこで何か励みになるネタはないかと探したところ、ありました!
2018年の女性作家オークション取引高TOP1に輝いた草間彌生大先生です。

草間彌生作品の2018年落札総額 $102,532,176。
2位 Joan MITCHELL (1926-1992) $83,925,120
3位 Georgia O’KEEFFE (1887-1986) $66,666,700

現役女性アーティストとしてはぶっちぎりです。この巨大エネルギーの正体
は、彼女の回顧展に行ったときに会場に渦巻いていたあの得体のしれない強烈
な気なのです。

あやかりたい、このアクティブエネルギー。
天真爛漫で純粋無垢なエネルギーです。

この1年が様々なハプニングにみまわれようと、この彌生先生あやかってkoko
エネルギーで乗り切っていけますように。どうかうちのパリの家が平和であり
ますように(祈)

皆さんも草間彌生作品から元気もらってくださいね。
考えるだけが現代アートではないのだと我に返った今回です。

◎koko
円とユーロとドルの間で翻弄されるアートセールコーディネーター。
まぐまぐメルマガ「Sacres Francais!映画と美術とパリジャンと」。
http://www.mag2.com/m/0000191817.html(現在休刊中)
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■スプートニクとガガリーンの闇 15 内藤陽介
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ティトーとソ連の宥和
第二次大戦後のソ連は自国の周辺を自分たちの意のままになる衛星国で固め、
西側からの攻撃を防ぐための防波堤とすることを基本政策としていたが、それ
が可能であったのは、第二次大戦中、枢軸国の支配下に置かれていた東欧諸国
の多くが、ソ連によって“解放”されたという過去があったためである。

ところが、バルカン半島南西、イタリアの対岸に位置する旧ユーゴスラヴィア
王国の地域では、ヨシップ・ティトー率いるパルチザンが自力で国土の解放を
進め、はやくも1943年11月には、ソ連とは無関係に臨時議会と臨時政府を樹
立していた。その後、1944年10月にベオグラードを解放したティトーは、翌
1945年3月、独力で人民政府を樹立。同年11月には王制の廃止とユーゴスラ
ヴィア人民共和国連邦(以下、ユーゴ)の成立を宣言する。

こうした経緯もあって、ティトーの権威は国境を越えて周辺諸国にも及んでお
り、ユーゴにも他の東欧諸国のようにソ連に従属する必然性はなかった。この
ため、1946年、ソ連はユーゴを資源供給国として位置づけるため、石油・鉄
鋼開発のための両国合弁企業の設立を提案したが、ティトーはこれを自国に不
利として拒絶。さらに、ソ連とパルチザンが全土を解放し、衛星国化していた
アルバニアに対して、ユーゴスラヴィア人民共和国連邦への加盟を要求した。

こうしたティトーの姿勢はスターリンをいらだたせていたが、1948年、ティ
トーがスターリンに無断でブルガリアとの関税同盟構想を推進したことが発覚
すると、スターリンは激怒。同年のコミンフォルム第2回会議でユーゴ追放決
議が採択され、ソ連との関係も事実上断絶する。

1953年3月、スターリンが亡くなると、フルシチョフが共産党第一書記とし
てソ連の権力を掌握。フルシチョフは、スターリン時代に悪化したユーゴとの
関係改善に乗り出すべく、1955年5月、首相のブルガーニンとともに、ベオ
グラード(ユーゴの首都)を訪問。その結果、ユーゴとの和解のためにはスタ
ーリン路線との決別が不可欠と考えたフルシチョフは、1956年初、ソ連共産
党第20回大会でスターリン批判を行った。

ところが、フルシチョフのスターリン批判は、“スターリン主義者”の圧制に苦
しんでいた東欧諸国の国民の反ソ感情に火をつけることになり、1956年10月
には、ハンガリーで、かつてソ連の圧力で失脚した改革派の元首相、ナジ・イ
ムレの復権を求める大規模な反ソ・反共騒乱が発生した。
いわゆるハンガリー動乱である。

結局、ハンガリー動乱はソ連軍の軍事介入によって鎮圧され、一時的に復権し
たナジも逮捕され、1958年6月には処刑されてしまうが、この間、ソ連は軍
事介入へのユーゴの支持を得るべく、対ユーゴ宥和政策を推進しようとした。
しかし、ナジの改革路線を支持していたティトーはソ連軍によるハンガリー動
乱への介入を非難し、両者の関係は再び冷却化する。

ナジ処刑後の1958年10月24日にユーゴは「国際地球観測年」の記念切手
http://blog-imgs-42.fc2.com/y/o/s/yosukenaito/2011041523255799f.jpg

を発行したが、その1枚には月と地球の周りをまわる人工衛星の軌道が描かれ
ている。曲がりなりにも、ソ連の人工衛星を想起させるデザインの切手が発行
されたのは、1956年のスターリン批判を受けての対ソ宥和路線が、ハンガリ
ー動乱をめぐる対立の後も、完全には放棄されなかったためだろう。

ただし、ソ連に忠実な他の共産主義諸国が人工衛星やロケットを描き、東側世
界の盟主としてのソ連の技術力を誇示しているのに対して、ユーゴの切手には
衛星やロケット等のメカは登場していません。こうしたところからも、他の東
欧諸国とは違う、ユーゴのソ連に対する微妙なスタンスが見えてくるのであ
る。

内藤陽介
1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会
員。
フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や
地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し研究・著作活動を続けている。主
な著書に、戦後記念切手の読む事典<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵
趣出版、全7巻+別冊1)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『
切手と戦争』(新潮新書)、『皇室切手』(平凡社)、『満洲切手』(角川選
書)、『大統領になりそこなった男たち』(中公新書ラクレ)など。最新作『
パレスチナ現代史: 岩のドームの郵便学』えにし書房
電子書籍で「切手と戦争 もうひとつの昭和戦史」「年賀状の戦後史」角川
oneテーマ21などがある。
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り、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。
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■編集後記
先月の広告にある拙著、本日増刷になりました。ありがとうこざいます。

で、このメルマガの編集は、ワープロではなく、二種類のエディタを使ってい
た。ひとつでつくって、その後別のエディタでにコピーして全行35字の改行入
りに整形する。

前段階で使う、20年以上使っていたエディタがバージョンアッブしなくなっ
て10年経った。最新OSでも動作に支障はない。とはいえ、Macintoshは、来
年のバージョンアップで32ビットアプリを切るので、来年には使えなくな
る。

それで今回、別のエディタに乗り換えて編集をしているのだが、これだと一本
で全てできると分かった。20年以上使っていたエディタは名残惜しいが、致
し方ない。
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