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[本]のメルマガ vol.711

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 ■■ [本]のメルマガ                 2019.3.15.発行
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 ■■  mailmagazine of book         [サクラサキソウ号]
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 をするのか? それは「脳のなかのゾウ=隠された動機」のせい。AIと経済
 学の気鋭研究者が進化心理学からときあかす「戦略的不合理」の真相。
 
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 【連載】………………………………………………………………………………
 
 ★「散慮逍遥月記」 /  停雲荘主人 
 → 第58回「名指揮者の相次ぐ逝去」

 ★「ときには積ん読の日々」 / 吉上恭太
 → 
第117回 ページから細野さんが聞こえる 
  
 ★「本棚つまみ食い」 / 副隊長 
 → 『科学の黒歴史』…その暗黒な闇
  
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 ■トピックス
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 1つのイベントをご紹介します。
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 ■「散慮逍遥月記」 /  停雲荘主人
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 第58回「名指揮者の相次ぐ逝去」
 
 こんにちは。
 
 あれこれ図書館や著作権のネタを寝かせていて,さて今回は「違法ダウンロー
 ドの対象範囲を全著作物に拡大すること」を目的とした著作権法改正案の今国
 会への提出が見送りになった件(1)を取り上げるべきところ,近頃ふたりの
 名指揮者が相次いで世を去り,このふたりがわたしのレコード音楽との付き合
 いの上で欠かせない指揮者だったものですから,そちらを取り上げさせてくだ
 さいませ。
 
 ひとりは2月28日に亡くなったアンドレ・プレヴィン(1929-2019)です。ラフマ
 ニノフとショスタコーヴィチに関してわたしがプレヴィンの録音から受けた影
 響はひとかたならぬもので,ラフマニノフではEMIに録音した交響曲第2番やウ
 ラディミール・アシュケナージとDECCAに録音したピアノ協奏曲全集(オーケ
 ストラはいずれもロンドン交響楽団),ショスタコーヴィチではシカゴ交響楽
 団とEMIに録音した交響曲第4番,第10番,第13番やロンドン交響楽団とDGに録
 音した第8番など,いずれもご贔屓の録音でありました。なかでもショスタコ
 ーヴィチの交響曲第4番は,交響曲としてはやや破格の一風変わった音楽から
 豪快な演奏を引き出していて,常任指揮者ゲオルク・ショルティの薫陶宜しき
 を得た1977年当時のシカゴ交響楽団のアンサンブルを存分に堪能できる録音で
 す。わたしは,いまもなおショスタコーヴィチの第4番ではこの録音を第一に
 推すものです。
 
 プレヴィンはジャズ・映画音楽からクラシックの指揮者に転身したひとであっ
 たこともあり,1980年代の初めごろまではその出自故にプレヴィンを嫌う音楽
 評論家がおりました。例えば長いこと「レコード芸術」誌の交響曲選評を担当
 していた大木正興がプレヴィン嫌いで,どんな録音が出てもけなしつけていた
 のでした。わたしが「レコード芸術」を読み始めた1970年代後半は,まだ選評
 がジャンルごとにひとりで当たっていました(現在は新譜はふたり体制になっ
 ていたかと)から,プレヴィンはレコードセールスでかなり損をしたのではな
 いかと思われます。東日本大震災のあとで処分してしまったのですが,わたし
 はあるところからいただいた「レコード芸術」を20年分を所持していまして,
 それを手に入れたときに上で触れたショスタコーヴィチの交響曲第4番を大木
 正興がどのように評価しているか確認してみたら,何とその月は大木正興急病
 のため宇野功芳大先生が代打で登場し,ショスタコは大先生の「準推薦」だっ
 たというですね(苦笑)。ちと残念な思い出です。
 
 そして亡くなった名指揮者のいまひとりが3月8日に亡くなったミヒャエル・ギ
 ーレン(1927-2019)です。南西ドイツ放送交響楽団の常任指揮者として果敢な
 現代音楽の紹介者として知られた指揮者ですが,わたしにとってはクラシック
 を聴き始めFM放送のエアチェックを始めた1970年代後半からこの方,グスタフ
 ・マーラーの交響曲を感情過多に陥らず(マーラーの感情過多な演奏もそれは
 それで好きですが,そればっかりでは息苦しい)厳しく明晰に交通整理して聴
 かせることにすぐれた指揮者である,と評価していた指揮者でした。1970年代
 後半にFMで聴いたギーレンによるマーラーの演奏が第7番だったり第6番だった
 り,いわゆる「リュッケルト交響曲」とも呼ばれる中期のすぐれた素オケの作
 品群であったことも幸いしました。録音ではしばらく,第二次世界大戦で破壊
 されたフランクフルト歌劇場の跡に建てられたコンサートホールのこけら落と
 し公演だった1981年の交響曲第8番「千人の交響曲」の録音(CBS)くらいしか
 なかったのですが,1980年代後半からこつこつと録音されたものが全集として
 まとめられています(ヘンスラー → SWR Music)。
 
 これは余談ですが,フランクフルト歌劇場の再建されたホールのこけら落とし
 に当初招かれていたのはカール・ベーム(1894-1981)だったのだそうです。す
 でに高齢だったベームはそのこけら落とし公演を振ることなくこの世を去って
 しまうのですが,ほとんどマーラーを振らなかった(オーケストラ伴奏の歌曲
 集をフィッシャー・ディースカウと録音していることはしていますが)ベーム
 が健在だったとして,果たしてマーラーの交響曲第8番を振ったのかどうか興
 味深いところではあります。
 
 残念ながら,ギーレンの録音は2000年ごろを境に厳しかった造形が遅緩し始め,
 テンポも遅くなっていきます。わたしの手元には,ギーレンによるマーラーの
 交響曲第9番の2種類の録音がありますが,1990年に録音された古い方の録音は
 張り詰めた雰囲気と少し早めのテンポを基本に進んでいく演奏で,それが例え
 ば第1楽章の85小節後半のリタルダンドがハッとするような鮮烈な印象を残す
 (1988年頃FMで聴いた同じ曲の演奏では一層際立っていた記憶があります)の
 ですが,2003年に録音したものは全体にテンポが遅くなっており(旧盤はCD
 1枚に収まっていたものが新盤はCD2枚にまたがっている),第1楽章85小節後
 半のリタルダンドもあることはありますがさほど印象的ではなくなっています。
 ひとはそれを「巨匠的」と呼ぶのかもしれませんが,わたしは異なる感慨を持
 つものです。
 
 プレヴィン,ギーレンとも最近まで現役で指揮を続けており,年齢的には逝去
 もやむを得ないと言えないこともないのですが,わたしの音楽人生にもたらし
 た愉しみは甚大なものがありました故に,その逝去を悼むものです。
 
 
 「2月は逃げる,3月は去る」と言う言葉もありますが,このところ慌ただしい
 日々を過ごしておりまして,なかなかゆっくり原稿を書く時間もとれませんで,
  みなさまにもご迷惑をおかけしております。3月末で「出版ニュース」が休刊
 するということで,来月はわたしの立場から見た「出版ニュース」の功と罪に
 ついてお話できればと考えております。では,また次回。
 
 
 注記
 (1)政府、著作権法案提出を見送り - 毎日新聞 
   https://mainichi.jp/articles/20190313/k00/00m/010/037000c
 
 (2)追悼 アンドレ・プレヴィン(1929年4月6日 - 2019年2月28日)
                                                - TOWER RECORDS ONLINE 
    https://tower.jp/article/campaign/2019/03/01/03
 
 (3)追悼 ミヒャエル・ギーレン(1927年7月20日 - 2019年3月8日)
                                                - TOWER RECORDS ONLINE 
    https://tower.jp/article/campaign/2019/03/11/03
 
 
 ◎停雲荘主人
 大学図書館の中の人。南東北在住。好きな音楽は交響曲。座右の銘は「行蔵は
 我に存す,毀誉は他人の主張,我に与らず我に関せずと存候。」(勝海舟)。
  
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 ■「ときには積ん読の日々」 / 吉上恭太
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 第117回 ページから細野さんが聞こえる

 
  2月28日、千駄木にある古書ほうろう(https://horo.bz/)での最後のイベ
 ント「サウダージな夜」には12名のミュージシャンが駆けつけてくれた。あ
 いにくの冷たい雨という天候に関わらずお客さんもたくさん来てくれた。2時
 間のライブは、それぞれのミュージシャンが古書ほうろうへの思いをこめた素
 敵な演奏を披露してくれた。本棚の間に流れる個性的な音楽を聴きながら、ひ
 とりで弾き始めた8年前のことを思い出していた。地味な小さなイベントだけ
 ど、こんなにたくさんの人たちに愛されているんだな、と感謝とうれしい気持
 ちでいっぱいになった。古書ほうろうは、上野池之端に移転するけれど、
 「サウダージな夜」も続けることになっています。4月中頃に開店するという、
 古書ほうろうの新店舗がとても楽しみです。
「サウダージな夜」が終わって、
 たくさんの人たちがまだ残ってビールを飲んだり、話をしている中、後片付け
 をしようとマイクのコードを巻こうとしていたら、友人が「はい、これをどう
 ぞ」と紙袋を手渡してくれた。紙袋をのぞくと『緑の歌。』(Gao Yan 作
 
  劉堅白 訳 Mangasick)という、薄いコミック本が入っていた。台湾の
 アーチスト、Gao Yan(高妍)が細野晴臣の音楽にインスピレーションを得て
 描いた作品で、ぼくはブックギャラリーポポタムのサイト(https://popotame.
 com/)でこのコミックのことを知って、ずっと気になっていた。台湾での細野
 晴臣のコンサートに行ってきた友人がおみやげにくれたのだ。「緑の歌」は、
 細野晴臣の曲にインスピレーションを得た4つの短編を収めているから、細野
 さんの台湾コンサートの最高のおみやげだった。

 
  最初の一編のタイトルは「風をあつめて」。高校時代に「風をあつめて」を
 聴いた主人公が日本を訪れて、すぐにタワーレコードに行ってアルバム「風街
 ろまん」を買う。そのとき店内に流れていた曲が気に入って、店員に曲名を訊
 く…。そこに流れていたのは「恋は桃色」だった。モノローグのような静かな
 作品でストーリー展開もほとんどないのだけれど、「細野さん愛」にあふれて
 いて、読んでいて涙が出そうになった。ぼくが初めて細野晴臣の音楽を聴いた
 ときに感じた、あの頃の感覚を思い出したからだ。


  作者のGao Yanは、まだ22歳の女性で、日本でも雑誌にイラストを描くなど
 活躍しているアーティストらしい。彼女のtwitterには、細野さんとの記念写
 真があがっていた。
「風をあつめて」を収録している、はっぴいえんどのセカ
 ンドアルバム「風街ろまん」がリリースされたのは1971年だから、もう半世紀
 近くも前の曲だ。
「風街ろまん」を買ったとき、ぼくは14歳だった。近所のレ
 コード店で、人相の悪い4人の顔がならんだジャケットを見つけたときのこと
 をよく覚えている。はっぴいえんどは、フォーク歌手・岡林信康のバックバン
 ドをしている頃から知っていて、ファーストアルバム「はっぴいえんど」
 (通称ゆでめん)も買っていた。でもセカンドアルバムが出ていたことは知ら
 なかった。その日は、たぶん、マデュラというロックバンドのデビュー盤を買
 いに行ったのに、邦盤ロックの棚に「風街ろまん」を見つけたとたん、マデュ
 ラのことは頭から飛んでしまっていた。ちなみにマデュラのレコードを買った
 のは、あれから40数年後の昨年のこと。中古で700円だった。いまから考える
 と、町の小さなレコード店なのに、それほど有名でないバンドのレコードも置
 いてある品揃えのいい店だったようだ。昔はそういう小さな店がたくさんあっ
 たんだ。
「風街ろまん」は、どの曲も良くて何度も繰り返して聴いたけれど、
 なかでも細野さんが作り、歌っている「風をあつめて」は大好きな曲だった。
 そのころギターはうまく弾けなくて、イントロのギターをどうやって弾いてい
 るのか見当もつかなかったっけ。まあ、「風をあつめて」のギターはなかなか
 難しいから当然だろう、細野さん本人もうまく弾けないくらいなのだから。

 
  ぼくが中学生のころは、まわりはだれも、はっぴいえんどのことなんか知ら
 なかった。ロック好きの男子も知らないのだから「風をあつめて」を聴いたこ
 とのある女の子はどれだけいたんだろうか?
 
  インターネット、SNSのない時代、だれがどんな音楽を聴いているかなんて、
 知りようもなかった。はっぴいえんどの曲は、テレビはもちろん、ラジオで
 もあまりかからなかった。
 

 

 台湾で「風をあつめて」はどんなふうに聞こえたのだろうか。言葉だってわ
 からないだろうし、40数年まえの曲がどんなふうに彼女に響いたんだろう。日
 本のアニメと漫画を見て育った世代だから、それほどギャップは感じなかった
 のだろうか?
 
  それでも半世紀近く前の中学生と同じように感動した、台湾の女の子がいる、
 ということに驚いてしまう。「風をあつめて」は時代も国境も越えてしまう音
 楽で、そして、このコミックのように新しい作品を生み出している。世の中、
 悲観することばかりではないのだな。

 
  主人公がタワーレコードで聴いた曲は「恋は桃色」だった。細野さんのファ
 ーストソロアルバム「HOSONO HOUSE」に入っている。主人公はこの曲を聴いて
 「とても昔になくした、でもどこか懐かしい思い出に足を踏み入れたみたいだ
 った」と感じている。細野さんの音楽を聴いていると、昔懐かしい風景が目に
 浮かんでくる。でも、それは実際にある風景ではないだろう。細野さんは、当
 時暮らしていた福生の風景を描いていると語っているけれど、それは細野さん
 の頭の中にある“懐かしい風景”なのではないか、と思う。細野さん独特のメ
 ロディ、和音、リズム、そしてα波が出ているという細野さんの歌声が作り出
 す細野さんの“ノスタルジーの世界”に入り込んでしまうのだ。現実にはあり
 得ないパラダイス、「はらいそ」なのだろう。

 
  Gao Yanの『緑の歌。』を読んでいると、細野さんの歌が聞こえてくる。そ
 して台湾に住んだことのないぼくにとっても「とても昔になくした、でもどこ
 か懐かしい思い出に足を踏み入れたみたい」な気持ちになる。きっとGao Yan
 の、「はらいそ」に行っているのだろう。
つい先日、『HOSONO HOUSE』を新た
 に録音した『HOCHONO HOUSE』がリリースされたばかり。新バージョンの
 「恋は桃色」を聴きながら、もういちどページをめくりたい。

 
 ◎吉上恭太
 
文筆業。エッセイ集『ときには積ん読の日々』がトマソン社から発売中。詳し

 くはトマソン社のサイトを見てください。http://tomasonsha.com/ 。翻訳絵
 本『あめのひ』『かぜのひ』は徳間書店から出ています。
 セカンドアルバム
 「ある日の続き」、こちらで試聴出来ます。

 https://soundcloud.com/kyotayoshigami2017

 タワーレコード、アマゾンでも入手出来ます。よろしくお願いします! 


 
 
  

 
 
 
 
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 ■「本棚つまみ食い」 / 副隊長
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    この版元の本はずっと気になっていました。近所の書店でも数学書の棚で
 イチオシされているもので…。しかしながら実際に手に取ってみると数学とは
 縁遠い人生を送ってきた私には、容易に理解できそうもないものが多く敬遠し
 ておりました。そんな中ようやく私にも理解できそうで、ここでも紹介できそうな
 本を発見。
 
 『科学の黒歴史』、茗荷さくら、暗黒通信団、2018
 
  「黒歴史」とはインターネット上などではよく目にすることばですが、もう一般
 的に使われているのでしょうか?まだ少し早いか。意味としては封印してしま
 いたいような過去の行いのことです。
 
  科学の発展というときらびやかな印象ですが、もちろん皆さんもご存じのと
 おり、 そこには後ろ暗いあれこれもつきまとっているものです。
 
  まずはエジソンとニコラ・テスラという大物が登場。ニコラ・テスラというとマッド
 サイエンティストというイメージもあったりして黒いのはテスラかと思いきや、電
 流戦争という送電システムを巡る争いの中ではエジソンがかなり悪辣な行いに
 出ました。
  
  送電システムには直流と交流がありますが、当時直流を売り出そうとしてい
 たのがエジソン、交流を推し進めていたのがテスラでした。そしてこの争いの
 中で、エジソンは交流電流のネガティブキャンペーンを始めます。その中で用
 いられたのが動物に感電させて交流電流がいかに危険かをアピールすると
 いう方法です。それは次第にエスカレートしていくことになるわけですが…。
 歴史上の大発明家とされるエジソンですが、これはちょっとひどい。
 
  さらには核兵器の開発も科学の黒歴史と言えるでしょう。核兵器による一般
 市民の大量虐殺は、当時の倫理観からしても看過できるものではないでしょう
 (もちろん日本軍の行いにも同様に看過できないものがありますが、本書は戦
 争についての本ではないので)。
  
  核兵器の開発中に行われた、後にデーモン・コアと名付けられたプルトニウ
 ムの球を使った実験は放射線の脅威をまざまざと感じさせます。臨界に達す
 るかどうかのぎりぎりのラインをマイナスドライバーで調整するなんて恐ろしす
 ぎます。
 
  それでも原爆が投下されると核兵器には批判的な態度をとる科学者が多く
 出ました。しかし中にはエドワード・テラーのように核開発に邁進し続けた人
 物もいました。彼が計画したものとして本書に紹介されているチャリオット作
 戦なるものは、実行こそされなかったものの、本当にそんな計画があったの
 かとあきれてしまうような内容です。まさに黒歴史と呼ぶにふさわしいのかも
 しれません。
 
  他にもロボトミー手術だとかサリンの人体実験だとか、気の重くなるような話
 が続きます。軍事が絡んでいたり、未発達の分野で実験が行われたりする時
 に黒歴史が生まれているようにも思えます。戦争に勝ちたいとか、新技術で利
 益を得たいとか名誉を得たいとか、そういった欲望が絡むと何か別のところを
 踏み外してしまうのでしょうか。
 
  現代も様々な科学技術が発展し続けているだけに、今もどこかで黒歴史が
 生まれ続けているのかもしれません。著者は出生前診断の例を引いています。
 胎児が生まれる前に遺伝子疾患の恐れがあるから中絶してしまうことは議論
 があるところかもしれませんが…。
 
  人間は平等でむやみに生命を奪うことはよくないこと。というのは現代社会
 の基本だと思うので、そこは肝に銘じておかないと、世の中は変わったとか科
 学の進歩とかいう言葉に惑わされて、黒歴史にうっかり巻き込まれかねません
 ので気をつけないといけませんね。
 
  ちなみに暗黒通信団はこのほかにも数学や科学関係の難しそうな(薄い)本
 を多数刊行してしておりますので、興味のある人は手に取ってみたらよろしい
 のではないでしょうか。そして数学や科学関係の難しそうな(薄い)本以外の本
 も多数刊行してしておりますので、興味のある人は手に取ってみたらよろしい
 のではないでしょうか。
   
 ◎副隊長 
 鉄道とペンギンの好きな元書店員。
  
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 ■トピックス
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 ■ 武藤良子『先頭断片日記』刊行記念トークショー    ブックギャラリーポポタム
 └─────────────────────────────────
  イラストレーター武藤良子さんの初の単行本が
  金沢の龜鳴屋から出ることになりました。
 
  ゆかりの地、池袋で刊行記念のトークショーが開催されます。
 
 
 ◆日時:2019年4月25日(木) 19時半〜21時
      オープニングパーティートーク ゲスト:内堀弘(石神井書林)×武藤良子
 
      ★入場料:1500円(1ドリンク付)
      ☆定員:20名(要・予約)
 
      2019年4月26日(金) 19時半〜21時
      トークイベント ゲスト:南陀楼綾繁×武藤良子
 
      ★入場料:1500円(1ドリンク付)
      ☆定員:20名(要・予約)
 
      2019年4月27日(土)まるまる一日サイン会
       入場無料
 
 □予約は、ブックギャラリーポポタムまで、TELかメールでお願いします。
 
       TEL 03−5952−0114
 
       email popotame@kiwi.ne.jp    (営業時間は13時〜19時です)
 
 ◇場所:ブックギャラリーポポタム
      〒171-0021 豊島区西池袋2−15−17
      
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 ■あとがき 今年の春は暖かく、もう桜が咲きそうですが、本の世界は(いつも
 ですが)厳しい話ばかり耳にします。出版も流通も読者も、当たり前のように
 変わっていくこのとき。しっかり目を開けてみていこうと思います。 畠中理恵子
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 おり、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。
 ■ COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
 ■ 今号のご意見・ご質問は
  15日号編集同人 「畠中理恵子」まで nora.7-4.ttpnkffb.c@ezweb.co.jp 
 ■ トピックスの情報提供もよろしくお願いします。
   なお、当メルマガは配信日によって、情報の提供先が変わり
   ・5日号:aguni原口 hon@aguni.com
   ・15日号:畠中理恵子 nora.7-4.ttpnkffb.c@ezweb.co.jp
   ・25日号:朝日山 asahi_yama@nifty.com
   ただし、掲載の可否については編集同人が判断します。
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