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[本]のメルマガ vol.693


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 ■■ [本]のメルマガ                 2018.9.15.発行
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 ■■  mailmagazine of book          [小さい秋見つけた?号]
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 ★PR★ 原 書 房 最新刊 ★ http://harashobo.co.jp/
 
 『世界史を変えた13の病』
 
 ジェニファー・ライト著 鈴木涼子訳
 四六判 338ページ 本体2,500円+税 ISBN: 9784562055982
 
 数多くの犠牲者を生み、時には文明を崩壊させた疫病の数々が、人類史に与え
 た影響とは? 無知蒙昧からくる迷信のせいで行われた不条理な迫害や、命が
 けで患者の救済に尽くした人、病気にまつわる文化までの知られざる歴史。 
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 【連載】………………………………………………………………………………
 
 ★「散慮逍遥月記」 /  停雲荘主人 
 →今月はお休みです。次回にご期待ください。 

 ★「ときには積ん読の日々」 / 吉上恭太
 → 第111回 リズムがみえる
 
 ★「本棚つまみ食い」 / 副隊長 
 → 歴史マニア必読?「分国法」で戦国大名がどんなことに心を砕い
   ていたかを読み解く
  
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 ■トピックス
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 ひとつ、イベントをご紹介します。
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 ■「ときには積ん読の日々」 / 吉上恭太
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 第111回 リズムがみえる

  アレサ・フランクリンが亡くなった。8月16日、「ソウルの女王、死去」と
 いうニュースが大きく報道された。ふだんはFMラジオでも滅多に流れな
 いアレサだが、いくつかの番組で追悼特集が組まれて、あのパワフル
 な歌声を聴くことが出来た。

 
  アレサの力強い歌声を聴いているうちに映画『ブルースブラザース』を
 見たくなって、レンタル店に走った。ブルースブラザースのジェイクとエル
 ウッドがバンドを再結成しようと、ギタリストのマット・マーフィーを誘いに
 くるシーンを見たかったのだ。アレサはソウルカフェのおかみさんの役で、
 出て行こうとする夫マットを引き止めよう、というか、身勝手な男に対して
 抗議しようと「Think」を歌う。大きな体をゆさぶって歌うアレサ、やっぱり
 最高だ。この時代のソウルミュージックは、ダンスも楽しいね。
「ブルース
 ブラザース」という映画、ストーリーはめちゃくちゃだけど、黒人音楽への
 愛情が溢れていて見ていると胸が熱くなる。続編の「ブルースブラザース
 2000」も亡くなったジョン・ベルーシは出ていないけれど、B.B.キング、エ
 リック・クラプトンからドクター・ジョン、アイザック・ヘイズやら書ききれな
 いほどの大御所ミュージシャンが登場するし、もちろん音楽が素晴らしい。
 クラプトンが本当に嬉しそうにギターを弾いているのを見ていると、感動し
 て涙がこぼれてしまう。

 
  そういうわけで、ここのところブルースや、ソウルを聴いていたのだけど、
 このタイミングで一冊の本が届いた。ダンボールを開けてみると、
 『リズムがみえる』(文 トヨミ・アイガス 絵 ミシェル・ウッド 訳 
 金原瑞人  監修 ピーター・バラカン サウザンブックス社)という絵本だ
 った。ピーター・バラカンさんのフェイスブックで知って、
 サウザンブックス社のクラウドファンディングで購入した。この絵本も黒人
 音楽への愛情があふれた素晴らしい本だった。
 『リズムがみえる』はアフ
 リカ系アメリカ人の音楽の歴史を描いた絵本で、黒人音楽のルーツである
 16世紀のアフリカ音楽から始まり、奴隷歌、ブルーズ、ラグタイム、ジャズ
 の誕生、スウィング、ビバップ、クール・ジャズ、ゴスペル、R&B/ ソウル、
 ファンク、ロック、そして、現代のラップ/ヒップホップまでを追っている。

  
  
とにかくダイナミックでエネルギッシュな絵に目を奪われる。画家の
 ミシェル・ウッドはこの絵本のためにミュージシャンのことを調べ、黒人
 コミュニテイの視点をさぐるために老人から若者までインタビューをしたとい
 う。
「はじまり」の見開きにあるアフリカの絵からは太古のリズムが響いてく
 るし、奴隷時代の絵からは農場で働く奴隷たちの労働歌が聞こえてくる。
 ジャズが誕生したニューオーリンズのストリートでは、にぎやかだけれど、
 どこか悲しいディキシーが流れている。とても大胆にデフォルメした絵、でも
 ディテイルがきちんと描かれていて、その時代の音楽や空気が伝わってくる。
 たとえばハーレムのジャズスポットのムッとするような空気を感じることが出
 来る。
 デューク・エリントン、ディジー・ガレスピー、あっ、このピアニストは
 モンクかな?
  と登場するミュージシャンを見ているのも楽しい。絵本にジミ・ヘンドリックス、
 Pファンクも登場するなんて最高だな。

 
  トヨミ・アイガスの文章は、歴史を描いているが、決して解説ではなくて、そ
 れぞれの時代の音楽を詩にしている。音楽を文字にするのは難しいと思うの
 だが、とてもリズミックで読んでいるとまるでブルースを歌っているようだ。翻
 訳のうまさなのだと思う。ぼくは「読み聞かせ」という“風習”は嫌いだが、こ
 の絵本ならば、気分よく読めそうだ。

 
  それぞれの見開きに解説と年表がついていて、アフリカ系アメリカンにとっ
 て重要な歴史的な事件と音楽のトピックがいっしょに書かれている。南北戦
 争、公民権運動など、黒人音楽は歴史と切り離せないことがよくわかる。

 
  たとえば1969年にマーティン・ルーサー・キング牧師が暗殺された翌年に
 ウッドストックフェスティバルでジミ・ヘンドリックスが激しいギターソロで
 「星条旗を永遠なれ」を演奏している。ブルース、ジャズ、そしてロックは抵抗
 の音楽だったんだ。

 
  黒人音楽はアメリカのポップスの原点だといえるだろうし、日本のポップス
 も大きな影響を受けている。いま日本でも主流の音楽はヒップホップ(ダンス
 も含めてね)なんだろうけれど、そのルーツである黒人音楽の歴史をたどっ
 てみてはどうだろう。『リズムがみえる』は理想的な教科書になりそうだ。
 
「ファンクによって産みだされ、母なるアフリカによって育てられた
  ヒップホップのリズムがみえる
  わたしのなかに生きつづけるリズムがみえる。」
                                            (ラップ/ヒップホップの章から)

 
  こんなかっこいい教科書だったら、勉強したくなるでしょう?
 
  黒人音楽の歴史を知ったうえで、今のヒット曲を聴くと楽しさに深みが加わ
 ると思う。

 
 ◎吉上恭太

 文筆業。エッセイ集『ときには積ん読の日々』がトマソン社から発売中。詳し

 くはトマソン社のサイトを見てください。http://tomasonsha.com/ 。

 セカンドアルバム「ある日の続き」、こちらで試聴出来ます。

 https://soundcloud.com/kyotayoshigami2017

 タワーレコード、アマゾンでも入手出来ます。よろしくお願いします! 


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 ■「本棚つまみ食い」 / 副隊長
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   西日本では台風、北海道では地震と災害が多い夏になりました。被害に遭
 われた方々にお見舞い申し上げます。
 
  テレビでは外国人観光客の人たちが途方にくれる姿も報道されていました。
 正直なところ日本では地震・台風・火山の噴火などは避けられないのですから、
 外国人の方々には「日本は安全」というよりも「災害にあっても何とかなる」とい
 うアピールが大事かもしれませんね。
 
  関西の某空港のように、災害に巻き込まれると途方に暮れるほどひどい目に
 遭うという印象をもたれてしまうのは残念なことです。その点でも原発は全廃し
 た方が外国の人たちも安心して遊びに来れますね。
 
  ともあれ今月の本はそのこととは何の関係もありません。
 
 『戦国大名と分国法』、清水克行、岩波新書、2018
 
  分国法というとアレですね。日本史の教科書に出てくる、「六角氏式目」とか
 「相良氏法度」とかいう、戦国大名が領内の統治のために定めた法律のことで
 す。
  
  とか聞くと、堅い話みたいだから興味ないよ、という方もいるかもしれません
 が、そんなことはありませぬ。分国法の世界を覗いてみれば、戦国大名がど
 んなことに心を砕いていたのか、当時の社会はどんな感じだったのかが見え
 てきます。
 
  とりあげる分国法は五つ。下総結城氏「結城氏新法度」、伊達氏「塵芥集」、
 六角氏「六角氏式目」、今川氏「今川かな目録」、甲斐武田氏「甲州法度之次
 第」。どれも分国法業界(?)では名の知れたラインナップです。
 
  分国法というと「法」という名前が付いているだけに、仰々しいものであると
 いう印象を私たちは受けますが、じつはそこまで厳密なものではなかったよう
 です。
 例えば「結城氏新法度」ではその条文には妙に具体的な箇所があったりしま
 すし、その上この法度を定めた結城政勝の独白のような箇所も見出すことが
 できます。
 
  法律を定めるというと、家臣も含めて皆で合議して決定というイメージがあり
 ますが、この「結城氏新法度」については、結城政勝がひとりで書き上げたよ
 うなのです。そのためか野放図で自分勝手な家臣に対する、愚痴のような文
 章も頻出します。
 
  結城氏といえば源頼朝を烏帽子親に持つ結城朝光以来、連綿と続く名家に
 して、室町時代には「関東八屋形」のひとつにも数えられた名門ではあります
 が、戦国時代には本拠地結城(茨城県)周辺に勢力を張るのみでした。有力家
 臣の多賀谷氏・水谷氏・山川氏などは半ば独立勢力とも言える状態で、周りを
 見ても佐竹・宇都宮・小田といった大名に囲まれ安穏としていられるような状
 況ではありませんでした。
 
  それだけにこの結城政勝の著した「結城氏新法度」もグチグチした中身にな
 ったのでしょうか。そして残念ながらこの法度の実効性は疑問符が付くようで
 す。なんだか悲しい。
 
  そういった点では伊達稙宗の著した「塵芥集」もやや似たようなところがあり
 ます。ちなみに伊達稙宗はあの独眼竜こと伊達政宗の曽祖父に当たる人物
 です。
 
  その稙宗がおそらく「御成敗式目」を参考に作ったのであろうと考えられるの
 がこの「塵芥集」です。それもおそらくひとりで。なぜなら明らかに
 「御成敗式目」を参考にした箇所とそうでない箇所で内容の一貫性が無かっ
 たりしているのです。おそらくブレーンがいて内容のチェックや矛盾の解消をし
 たり、なんてことはしていない。
 
  「塵芥集」からは、土地問題についての条文の粗雑さから、まだ当時の東北
 には未開発地が多くあり、他の地域ほど土地争いが深刻がしていなかったの
 ではないかとか、落し物は居城である西山城下に立て札を立てて持ち主に返
 すようにと定められていることから、徐々に家臣団が大名の居城に集住する
 ようになっていたのではないかとか、色々と興味深い解読がなされていきます。
 
  このほかにも色々面白いテーマがありますが、そんな「塵芥集」を完成させた
 稙宗は、家臣団にこの法への服従を誓わせます。
 
  ところが、稙宗はその六年後に息子晴宗を担ぎ出した家臣団に攻勢をかけ
 られ、すったもんだの挙句隠居に追い込まれてしまいました。どうも独裁的な
 稙宗に対して家臣団の不満が高まっていたようです。そして「塵芥集」は無か
 ったことに…。
 
  あれ…。教科書に取り上げられるほどの分国法ですが、なにやら雲行きが…。
 
  あと本書で取り扱っているのは織田信長に本拠地を追われた近江の六角氏
 と、桶狭間での敗戦で一気に衰退した今川氏と、勝頼の代に滅亡に追い込ま
 れた武田氏。いずれも戦国時代を生き残れていませんね。
 
  分国法を定めた大名は戦国時代のなかでもとりわけ進んだ大名という気が
 していましたが、なにやらそれも怪しくなってきます。最終章では個別の
 分国法を見た上で、何故法を整えようとした大名は衰退していったのかとい
 う点について考察がなされています。
 
  分国法のイメージが変わると共に、分国法から見た戦国時代の社会が生き
 生きと描かれてます。戦国時代好き(?)必読の一冊です。
  
 ◎副隊長 
 鉄道とペンギンの好きな元書店員。
 
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 ■トピックス
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 ■ 30周年記念
  沖縄の出版社 ボーダーインクフェア in ジュンク堂書店那覇店
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 実はボーダーインクもうすぐ30年なんです。
 
 ということでジュンク堂那覇店一階にて
 
 ボーダーインクフェアを開催します。
 9月1日(土)から9月30日(日)のまるまる1ヶ月
 
 場所はモノレール側の入口入ったあたり
 
 イタリアントマトの近くの広いスペースです。
 
 ボーダーインクの本でこれだけ埋められるのか。。。
 
 と思いましたが、なんとかなりそうです。
 ボーダーインクの新刊、既刊本、希少本まで
 全て並べます。
 
 会長宮城が選書した50冊(ボーダーインクの本ではない)や
 ヨシ子さんの写真展や本のイラスト展もあります。
                                                〜HPより抜粋〜
 
 
 ◆日時:2018年9月1日〜30日 10:00〜22:00 
 
 ◇場所:ジュンク堂書店那覇店1F
     〒900-0013
     沖縄県那覇市牧志1-19-29 D-NAHA 地下1階〜3階
       TEL098-860-7175

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 ■あとがき
 一ヵ月の間、近畿地方を台風が襲い、北海道では大きな地震がありました。
 被災された方々に心からお見舞い申し上げます。まだまだ大変な思いをされ、
 つらい生活を強いられていらっしゃると思います。どうか一日も早く、日常生活
 を取り戻されるよう祈っております。
 
 やっと少し涼しくなって、頭が落ち着いてきたような気がします。イベントで
 ご紹介9月いっぱいさせて頂いていますが、那覇のジュンク堂書店さんで
 沖縄の出版社、ボーダーインクさんの大大的フェアが催されています!
 30周年!素晴らしいですね。30年間の沖縄の現場の声、生の暮らしが
 出版物に表現されている!そんな感慨を覚えました。ますますお元気で、
 今の視点で沖縄を語っていただきたいです。ファンです!!畠中理恵子
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