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[本]のメルマガ vol.516

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 ■■ [本]のメルマガ                 2013.10.15.発行
 ■■                             vol.516
 ■■  mailmagazine of book   [やっと秋が来た。そしてまた台風...号]
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 『ケネディ回想録:フォト・メモワール』
 
 ジャック・ロウ著 龍和子訳
 A4変型 224ページ 本体4800円+税 ISBN:9784562049271
 
 ケネディ家の厚い信頼を得ていた写真家が残した記録をもとにまとめられた回
 想録。ジョン・F・ケネディをはじめ、一族の素顔が伝わってくるような写真
 の数々を豊富に収録。ケネディ没後50年・国際共同出版。

【連載】………………………………………………………………………………

 ★「散慮逍遥月記」 /  停雲荘主人
 → 第5回「『図書館戦争』は表彰され『はだしのゲン』は……」

 ★「ときには積ん読の日々」 / 吉上恭太
 →  第52回 オン・シノバズ・ブックストリート

 ★「本棚つまみ食い」 / 副隊長
 → 個性派、あさりよしとおのコミック『ASTEROID Miners』の魅力を語ります。

 ★「カバー、おかけしますか?」 / 豆大福
 →ちいさな女の子「ゆず」がお客さんにぴったりのお弁当をつくるコミック、
  葵梅太郎著『ゆずべんとう』をご紹介します。

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 ■トピックス
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 4つのイベントをご紹介します。
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 ■「散慮逍遥月記」 /  停雲荘主人
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 第5回「『図書館戦争』は表彰され『はだしのゲン』は……」

 こんにちは。
 
 今回は「『はだしのゲン』騒動について」の後編をお送りする予定でしたが,
 『はだしのゲン』騒動と併せて考えると興味深いニュースが飛び込んできま
 したので,予定を変更してそのニュースについて思うところを述べていきます。
 
 図書館業界関係者にはおなじみの図書館総合展にて毎年表彰される
 「Library of the Year」の今年の部において,『図書館戦争』の「原作者、
 出版者、映画関係者、関係する図書館等、ムーブメントとして」特別表彰され
 ることが決まったのだそうです。
 
 Library of the Year 2013 プレスリリース - loy13-prel.pdf
 http://www.iri-net.org/loy/loy13-prel.pdf

 このニュースを聞いたとき,僕は心の底から落胆しました。
 
 出版当時に購入したにもかかわらず,『図書館戦争』は文体にも内容にも馴染
 むことができず,どうしても10ページ以上読み続けることができなかったので
 すが,これが「キッチュ(まがいもの)」である,と確信したのは,あるひと
 から「図書館を舞台にした,『図書館の自由』を取り上げた映画なのに,テレ
 ビで流れている宣伝を見たら,銃火で本を吹き飛ばすシーンがあるんですよ」
 という話を聞いたことでした。
 
 銃火で本を吹き飛ばすシーンを映像化することが可能な「図書館」理解の貧困
 さ,それまで図書館という場所に積み上げられてきた「記憶の継承」をないが
 しろにして「図書館の自由」を賛美したと称しているようなシロモノは,それ
 が何であれ,まず「キッチュ」であることを疑った方がいいでしょう。
 
 「図書館」という場所は,価値の共生はもちろんのこと価値相対化ですらない
 「価値の並立」という状態を,何とか維持するために継承されてきた叡智を学
 ぶための場所でもあります。そのような存在が必要なのは「価値にかかわるす
 べての問題は最終的な答えを出すことはできない」(アイザイア・バーリン)
 からなのです。安易な価値相対化の問題ではないのですよ。突き詰めたら血を
 見るような価値の衝突を回避する余地を作る,世の中が両立し得ない価値と価
 値の対立故に,戦火に巻き込まれないようにするにはどうしたらいいか,その
 知恵が継承され詰まってる場所のはずです。
 
 そのような場所であり,存在であるはずの「図書館」を,原作者が描きたかっ
 たラブ・コメディと軍事のために,「図書館の自由」をダシにして図書館を戦
 場にする,そのような創作が「キッチュ」ではなく何だと言うのでしょうか。
 そして,キッチュを称揚し,顕彰する図書館業界の舞い上がりぶりは,既に業
 界のオールド・ウェーブを代表するひとびとが編集する「ず・ぼん」13号に掲
 載された,『図書館戦争』原作者と編集部の対談記事が,その一端を示してい
 ました。
 
 お断りしておきますが,僕は子供の頃からテレビで「コンバット」のような戦
 争物に馴染んで育ってますので,教条主義的な左翼のような「戦争一般への嫌
 悪感」のようなものは持ち合わせていません。「史上最大の作戦」とか好きで
 すし。あくまでも,『図書館戦争』は図書館と軍事の関係が「図書館」という
 場所のあり方から逸脱している,歪んでいることが問題なのです。
 
 中には「創作だから」「ラブコメだから」「映画だから」と弁護する方もいら
 っしゃいますが,僕が問題にしているのは表現技法ではありません。そこで描
 き出される,もしくは描き出されたものの背後にある「図書館」へのまなざし
 そのものに問題があるのですから。アニメだろうが実写だろうがフィクション
 だろうが現実だろうが同じことです。
 
 戦火に巻き込まれた図書館の話としては,ルーヴァン大学の図書館(『図書館
 炎上』法政大学出版局,
 http://www.h-up.com/books/isbn978-4-588-00385-1.html )やアルジェリア
 独立戦争時のアルジェ大学図書館,また最近では『バスラの図書館員』(晶文
 社, http://www.shobunsha.co.jp/?p=1057 )もあります。図書館が破壊され
 ることは「ひとつの文化が消滅する」象徴として扱われているのですよね。
 
 そのあたりを,あの原作者がそもそもわかってないだろうなあ,という推測は,
 原作に対する図書館業界関係者の苦言に対して,発言者の乗降する駅まで調べ
 上げたという発言で暗に圧力をかけたという,「ず・ぼん」で自らが明らかに
 した原作者の振る舞いから,それほど間違ってるとも思えないわけです。
 
 「ず・ぼん」の編集部は左翼系であり図書館問題研究会系の方々だから,ます
 ます疑問がふくらむのです。つまり,このひとたちは「図書館の自由」を守る
 ために「耳をすませば」や「相棒」にクレームを入れ,公共図書館の門前に旧
 日本軍の大砲を展示することを批判した方々に,思想的には極めて近いはずで
 す。であるにもかかわらず,「図書館の自由」という「悠久の大義」があれば,
 目的が手段を神聖にするとばかりに,フィクションとはいえ戦争を,武器をと
 ることを肯定したのは紛れもない事実。
 
 『図書館戦争』がすぐれて「図書館と政治」の問題であるが故に,政治思想的
 には左翼だったはずの「ず・ぼん」の編集部があそこまで『図書館戦争』と原
 作者を持ち上げたのは,図書館業界を代表するオールド・ウェーブには致命的
 な失陥でした。彼らは善良なアナキストでしょうが,政治的にはおおよそ無能
 なリビジョニストということができます。結果的に彼らの中で「図書館の自由」
 は手段ではなく,自己目的化してその思想的基盤は枯渇してしまったというこ
 とが言えます。
 
 『図書館戦争』は本当にキッチュでしかないのだけど,キッチュがこれだけも
 てはやされることについて,いわゆる大衆消費社会と新自由主義におけるキッ
 チュの役割と効果を,図書館業界は立ち止まって考察する必要があるのではな
 いでしょうか。『図書館戦争』を称揚したことに口を拭って,相変わらず『は
 だしのゲン』問題でも「図書館の自由」を図書館業界が錦旗にしているのは自
 家撞着でしょう。
 
 そして,図書館業界のオールド・ウェーブによる称揚だけではなく,図書館総
 合展という業界のニュー・ウェーブにおいても『図書館戦争』が表彰されると
 いうことは,図書館業界が挙げて『図書館戦争』に,原作者に,「図書館の理
 解者」であることを認定したに等しい行為です。いくらなんでも,これはおか
 しい。
 
 結局のところ,業界が1980年代の成功をもたらした偉大な政策文書である『市
 民の図書館』を現在もなお信奉し続け,来館者数や貸出冊数の多寡が図書館業
 界において「よい図書館」の指標で在り続ける限りは,「図書館」そして自己
 目的化した「図書館の自由」が新自由主義の申し子とも言えるキッチュに侵食
 されることを押し止めることは難しいのでしょう。僕は2000年頃からこちら
 『市民の図書館』を奉じることは,公共図書館経営を新自由主義に明け渡す,
 その橋渡しだという意味のことを繰り返し言ってきたのですが……。
 
 図書館業界の方々は何を考えて,どんな効果を狙って,『図書館戦争』を表彰
 するのでしょうね。
 
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 ■「ときには積ん読の日々」 / 吉上恭太
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 第52回 オン・シノバズ・ブックストリート

  10月15日に「オン・シノバズ・ブックストリート」というCDをリリー
 スします。タイトルのとおり、不忍ブックストリートをテーマにした曲を集め
 たアルバムです。この原稿を書いている時点では、まだ納品されていないので、
 果たして無事に納品されるのか、出来上がりがどうなのかわからず、妙に緊張
 している。もちろん生まれて初めてのアルバム。本職は、児童書の翻訳や編集、
 ライターだけれど、ふだんはほとんどの時間をギターを弾いたり、音楽のこと
 を考えて過ごしている…といってプロとして人前で演奏していたわけでもなく、
 音楽やギターはつねに傍らにいる、ときどきやっかいなことを起こす親友のよ
 うなものだった。ただときどき、たとえば感じのいい喫茶店や書店などを見る
 と、こんなところでギターを弾けたらいいなあ、なんて考えることはあったの
 だけれど。
 
  それが3年前、奇跡なようなことが起きた。古書ほうろう
 (http://www.yanesen.net/horo/)の宮地さんが「よかったら月に一度お店で
 ギターを弾いてみませんか」と声をかけてくれたのだ。その1年ほど前に不忍
 ブックストリートの企画で毎月、
 千駄木の「ブーザンゴ」(http://www.bousingot.com/)というカフェで行わ
 れている茶話会で、ぼくの音楽の師匠である伊勢昌之というギタリストの話を
 したことがあった。“伝説のギタリスト”と呼ばれながら、必ずしも広く世の
 中に受け入れられなかった伊勢さんの話をしたあとに不肖の弟子としてボサノ
 ヴァを何曲か演奏した。それがきっかけとなっての話だった。

  2010年7月から、月に一度、最終の金曜日の夜8時から一時間ほど、無料の
 ライブが始まった。「サウダージな夜」というタイトルで行われたライブは、
 最初のころは、ブラジルの曲や日本のポップスをアレンジして弾いていたが、
 2011年3月11日、東日本大震災のあと、転機が訪れた。当時、不忍ブックスト
 リートがUSTREAM放送「しのばずブックストリーム」のテーマ曲を募集してい
 た。大震災のあと、だれもが音楽どころではなかった。でも、だからこそ、
 何か楽しい曲を作って送ろうと応募しようと思ったのだが、同じように考える
 人がいるもので、ぼくよりも先に応募していた。しかもそれは作詞だった。作
 詞部門の募集などなかったのだが…。その歌詞を見たときに、そのリズムのよ
 さ、不忍に集まる人たちを的確にとらえた詞の内容にに、ぜひメロディーをつ
 けたい! とすぐにとりかかった。仕事部屋は、地震のあとのまま。コンピュ
 ータのモニターは床に転がり、レコードのターンテーブルもひっくりかえって
 いた。本やCDが散乱する部屋でギターを弾き始めると、なんと20分ほどで曲が
 出来上がっていた。それほど“歌”になりやすい歌詞だったのだ。それがアル
 バムの冒頭に入っている「しのぶしのばず」という曲だ。

  その後、作詞をした鴬じろ吉さんから、歌詞がつぎつぎと送られてくるよう
 になった。そのほとんどが不忍ブックストリートに関係する人をテーマにした
 歌詞で、しかも楽屋落ちのような仲間うちだけで受ければいいという内容では
 ない。鴬じろ吉さんは、本職は編集者で、おもに詩集を出版している会社にも
 勤めていたこともあり、詩についての造詣も深い。とくに「かもつせん」とい
 うタイトルの曲があるとおり、どこかじろ吉さんが敬愛する辻征夫さんの詩を
 思わせる歌詞が多い。詩はもちろん歌詞を書くのは生まれて初めてという鴬じ
 ろ吉さんだったが、生まれた歌たちは、あっという間に10曲以上になっていた。

 「サウダージな夜」は、曲だけでなく、新しい音楽の仲間も連れてきてくれた。
 ベテラン、若手を問わず、いろいろなギタリスト、歌う人が来てくれていっし
 ょに演奏してくれるようになった。小川倫生さんのような日本を体表するアコ
 ースティックギタリストまで来てくれた。昨年のはじめぐらいから、サウダー
 ジな夜で歌っているオリジナルの曲をアルバムにまとめたいな、という話を冗
 談半分にしていた。ただそれはあくまでも夢みたいな話でまったく具体的なも
 のではなかったのだが、それを聞いた若手のバンド「ゆるさ」のメンバーたち
 がすぐに手伝ってくれると申し出てくれた。50歳半ばのおじさんが、20代、30
 代の若手におしりをたたかれるようにして、昨年の8月の半ばから録音が始まっ
 た。ただプロのエンジニアを頼むにはお金がないし、ずぶの素人の気後れもあ
 って、安いレコーダーを用意して自分で録音をすることにした。基本的なギタ
 ーと歌のほとんどは、自宅の4畳半でこっそり録音した。耳をすますと隣室の
 不動産屋さんが電話でがなっている声が聞こえるかも(笑)。その録音をスタ
 ジオに持っていって、ゆるさのメンバーにベース、ギター、キーボード、コー
 ラスを重ねてもらって出来たのが今回のアルバムというわけだ。

  初めてのアルバム作りに力を貸してくれたのは、ミュージシャンだけではな
 くて、ジャケットのイラストは、
 保光敏将さん(http://cotoristudio.com/)の作品。木版画で、古書ほうろう
 でのサウダージな夜の雰囲気を見事に表現してくれた。そしてジャケットデザ
 インは、板谷成雄さんが何パターンも用意してくれただけでなく、レーベルの
 デザインもしてくれた。ライナーノーツは
 不忍ブックストリート(http://sbs.yanesen.org/)を立ち上げた
 南陀楼綾繁さん(http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/)、古書ほうろうの宮地
 健太郎さんが書いてくれた。鴬じろ吉さんの歌詞の解題など、読み物として面
 白い。結局、ブックレットは24ページという豪華版! このアルバムは、サ
 ウダージな夜という素人のライブを応援してくれる不忍の友人たちや、ぼくの
 50数年の人生を支え、今も支えてくれている本や本に携わる人、そして音楽
 やギターへの感謝の気持ちを表現したものです。ぜひ、機会があれば聴いてく
 ださい。ジャケットやブックレットを読むだけでも(笑)。
    
 ◎吉上恭太 文筆業。仕事よりギターを弾いていることが多い。
 
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 ■「本棚つまみ食い」 / 副隊長
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  イプシロンが飛んだり飛ばなかったり、火星への移住計画があったり(ただ
 し帰還は不可!)。宇宙の話題は尽きぬもの。ただ、人類が月へ行ったのはも
 うかなり昔のことなのに、なかなか人類は宇宙には飛び出ていけません。しか
 し、マンガの世界なら簡単に飛び出せるんですね、これが。
 
 『ASTEROID Miners』(2巻まで刊行)、あさりよしとお、徳間書店、2010〜
 
  作者のあさりよしとお氏は『まんがサイエンス』(学研教育出版)でも著名
 なマンガ家。そこで描かれるのは、ワープ航法とかそんな夢のような宇宙の
 話ではなく、あくまで舞台は地球とその周辺の星々です。地球に近いところ
 では宇宙ステーションから、遠くても火星の外側の小惑星帯くらいまで。だ
 から、なんとなく話がリアルに感じられるSFなのです(リアルなサイエンス
 フィクションて、なんかおかしいですけどね)。
 
  しかし、そこで描かれている世界を見るにつけ感じるのは、地上の感覚では
 理解しづらい物理や宇宙の過酷さです。

  例えばとある小惑星を開発する男の話。地球で怪しげな会社の求人に応募し
 て飛ばされたのは、火星の外側の小惑星帯。そこでたった一人で四年ものあい
 だ水を掘り、惑星開発をしなければなりません。相方(?)は妙にこまっしゃく
 れたロボット一体だけ。
 
  なぜ一人しかいないのか。それはまだ開発途上(というか始まったばかり)な
 ので、全ての物資を地球から運んでこなければならないから。人が一人増える
 とそれに伴う空気・水・食糧などが増え、さらにそれに伴い打ち上げるロケッ
 トも巨大(もちろんより高価)になってしまいます。任期が四年と長いのも、物
 語の中では語られませんが、きっとロケットの打ち上げ回数を減らすためなの
 でしょう。
 
  選ばれし存在という宇宙飛行士を思い描いていた主人公ですが、彼は自分の
 姿を『蟹工船』の労働者にだぶらせてしまいます。よく宇宙に行く際の適性試
 験として孤独に耐えることがあげられたりしますが、いくら地球との通信回線
 があっても四年も一人ぼっちはきついですね。
 
  必然的に食事も少量で高カロリーなものが貴ばれるわけですが。病気になっ
 て特別に許可された動物性たんぱく質の摂取。そこで出てきたメニューはなん
 と蚕。…理屈は分かりますけど、モチベーションの維持という点からはどうな
 んでしょう。
 
  逆に言えば、宇宙では遊びが許されない。効率だけを考えねばならない。特
 に、この主人公が働いている会社は民間の開発会社という設定ですのでなおさ
 らです。とかく宇宙には夢や希望が転がっていると考えがちですが、直視しな
 ければいけない現実のハードルが非常に高いのです。
 
  では、開発が軌道に乗り小惑星にめでたく人が移り住むまでに至ればいいの
 か?というとそんなことは全然ありません。結局作れないものは地球から持っ
 てこなければならないことは変わらないのです。居住空間に空気を満たすため
 に低い天井、人間の死体も排泄物も貴重な資源として循環せねばならない日常
 がそこにはあります。
 
  そして資源が減ってくると人口を養えなくなるので、計画的に人口を減らさ
 なければなりません。しかし人を移動させるにも一苦労。自分のいる小惑星と
 目的の星が接近したタイミングでないといけないからです。そして太陽を回る
 軌道が近いほど、そのタイミングは得難くなります。なぜなら太陽を回る速度
 が近いのでなかなか追いつきも追い越されもしないからです。場合によっては
 一度地球を経由したほうがいいくらいのことも出てくるのかもしれません。
 
  こうなってくると結局、地球が宇宙開発の起点であり、容易に宇宙で人間が
 自給自足できるようにはならないということが分かります。おそらく人間が宇
 宙に飛び出していっても、太陽系の内側でうろうろしているうちは地球なしに
 は生きていけないんでしょうね。大気があり水があり太陽の光が程よく降り注
 ぎ、優れた循環システムがあるこの星の素晴らしさがかえってよく分かります。
 
  と同時に、有人宇宙開発の必要性に対する疑問と、それでも人間は宇宙に進
 出していくのかなあというぼんやりした予感も抱きます。
 
  今のところ二巻まで刊行中ですが、地球周回軌道上に民間の宇宙ステーショ
 ンが出来てきた時期→月面開発期→小惑星開発期→小惑星定住期の四つくらい
 の時代の話がそれぞれランダムに並んでいます。これらが最終的にひとつなが
 りにまとまっていくのかは分かりませんが、架空の宇宙開発の歴史を経巡るこ
 とができるのもこのマンガの楽しいところです。明確なストーリーはありませ
 んが、独立したエピソードのひとつひとつはリアル(?)SFの魅力に満ちています。
 
  というわけで、宇宙で暮らす事自体がとても大変なことなのです。そこに万
 が一事故でも起きようものなら、その状況は想像を絶するものがあります。そ
 ういうのは小川一水『天涯の砦』(ハヤカワ文庫、2009)などを読むと少し想
 像できるかもしれません。息苦しいですけど…。
   
  ◎副隊長 鉄道とペンギンの好きな元書店員。

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 ■「カバー、おかけしますか?」 / 豆大福
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 吹く風の中に、少し秋の気配が感じられるようになった今日このごろ。
 皆さま、いかがお過ごしでしょうか。ちょっとご無沙汰しておりました、
 豆大福です。
 
 秋といえば、行楽。行楽と言えば、そう……お弁当です!
 暑さから開放されて、お弁当解禁です!
 と、言うわけで?今回はこの漫画をご紹介します。

 『ゆずべんとう』
 
 とある老夫婦が旅先で訪れた田舎の港町。
 そこで犬を連れた小さな女の子、”ゆず”と出会います。
 
 お昼ごはんを食べられるところはないかと、おばあさんが尋ねると
 ゆずは、うちはお弁当屋だから食べにおいでと言います。
 坂道や長い階段を越えて、
 やっと辿り着いたのはお弁当屋さんには見えない立派な古民家。
 
 誰がお弁当を作るのかと思えば、なんとゆずが作るといいます。

 長年連れ添った夫婦。言葉にしなくても分かり合える仲を築いていましたが、
 おばあさんはおじいさんが無口であるとこに寂しさを感じていて、
 おじいさんはおじいさんで、ずっと支えてきてくれたおばあさんに
 伝えたい気持ちがあるのに言えずにいました。

 そんな2人の想いを繋ぐ、ゆずのお弁当。さてどんなお弁当が登場するので
 しょう。
 
 と、いうのが第一話です。

 連作短編の形式で、ゆずのお弁当屋さんを起点に、いろいろな想いを抱えた
 お客さんが登場します。
 
 天真爛漫なゆずが作るお弁当は、そのお客さんに合った、とても可愛らしい
 お弁当です。

 2巻目では、ゆずの従姉妹である”あんず”も登場し、さらにゆずの事情が
 解き明かされていきます。
 ここは涙なしには読めません!

 漫画は全2巻なので、もっとゆずのお弁当を読みたい!と思いました。
 連載雑誌が作風と合っていなかったのかなぁと少し残念です。
 大事にページを捲りたくなる、そんな一冊です。是非、読んでみて下さい。
 
 『ゆずべんとう』 全2巻 葵梅太郎 スクエア・エニックス刊
 
 
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 ■トピックス
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 ■ 公開講演会「記憶の伝承と図書館私感」
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 社団法人茗渓会支部・図書館情報学橘会(旧・図書館情報大学同窓会橘会)で
 は,筑波大学のホームカミングデーに合わせて,下記の公開講演会および全卒業
 生交流会「大橘会」を平成25年11月3日(日),筑波大学春日エリアにて開催い
 たします。公開講演会は,同窓生以外の方もご参加いただけます。お近くの方,
 ご興味のある方は是非足をお運びくださいませ。
 
 公開講演会「記憶の伝承と図書館私感」
 
 ◆日時:平成25年11月3日(日):15:00-16:30
 ◇場所:筑波大学春日エリア
    情報メディアユニオン・メディアホール
     (つくばエクスプレス
      つくば駅A2番出口から徒歩10分)
 □講師:大滝則忠 国立国会図書館長
     (東京教育大学文学部法律政治学専攻卒)
 ★参加費:無料
 ☆定員:120名(先着順)
 
  主催:図書館情報学橘会
   共催:筑波大学 図書館情報メディア研究系
      知識情報・図書館学類、図書館
      情報メディア研究科
 
 ※講演会の概要・略歴 → 
 http://www.tachibana-kai.com/dai_koenkai2013.pdf
 ※公開講演会ポスター → 
 http://www.tachibana-kai.com/dai_poster2013.pdf
 ※春日キャンパスへの案内図 → 
 http://www.tachibana-kai.com/map_Kasuga.jpg
 ※参加申し込みは以下のURLからお願いします。締切は10月27日(日)です。
 なお,講演会当日も受付します。
 http://www.tachibana-kai.com/
 

 ■ 第54回 東京名物神田古本まつり
 └─────────────────────────────────
 ◆日時:2013年10月26日(土)〜11月4日(月・祝)
 ◇場所:岩波会場(神保町交差点)
     /靖国通り会場(三省堂前〜山本書店前舗道)
     /特設会場(千代田区神田小川町3‐22 東京古書会館地下催事場)
 
 詳細は⇒ http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html
 
 
 □青空掘り出し市/□特選古書即売展/□じんぼうチャリティー・オークション
 
 
 □東京古書会館でのイベント (地下ホール・2F情報コーナー)
 
 ●お化け大学校特別講座in神保町「怪と本の20年」(主催:角川書店)
  11月3日(日) 16:00開始
 
 ●スペシャル対談――石田千×有山達也 「町と本、町の本」
           11月4日(月・祝) 15:00〜17:00
 
 ●本の街の名画座、ここにあり 〜神保町シアターのあゆみ展〜
  10月26日(土)〜11月4日(月・祝) 11:00〜18:00(最終日16:30)
 
 ●みんなの森──和紙グッズ制作体験(主催:みんなの森財団)
         10月28日(月) 10:00〜18:00
 
 □併催イベント
 
 □蔵書印まつり
 □映画「疎開した40万冊の図書」上映会
 □とみこはんの「消しゴムはんこ教室」(主催/庭のホテル 東京
                         ×ナビブラ神保町)

 ■ BOOKUOKA 2013 
 └─────────────────────────────────

 ◆日時:2013年10月20日(日)〜11月20日(水)
     (メインイベントは11月2日〜4日)
 
 詳細は⇒http://www.bookuoka.com/
 
 □第8回一箱古本市inけやき通り:中央区けやき通り
       2013年11月3日(日)11:00〜16:00
 
 □福岡の書店員が選んだ激オシ文庫フェア;福岡県内約40書店店頭
     10月20日(日)〜11月20日(水)
 
 □ミロコマチコさんによるブックオカ2013 特製文庫カバー 配布!
   :福岡県内約40書店店頭 10月20日(日)から
 
 □書店員ナイト in 福岡:リブラボ(中央区大名1の6の8 2階)
   11月2日(土)20時から
 
 □ブックカフェ & NEW WAVE古書店の つくりかた
   :ヌワラエリヤ(中央区赤坂1の1の5 2階)
    11月3日(日)18時から
  
 □第3回 書店フリペの世界展:11月1日(金)〜11月20日(水)
 
 □カフェで再現!ブックレシピ 10月20日(日)〜11月20日(水)
 
 □『MONKEY』&『アメリカン マスターピース』刊行記念
           柴田元幸トーク & 朗読会
   :リブラボ(中央区大名1の6の8 2階) 10月29日(火)19時半から
 
 □『忘れられない日本人移民』 (岡村淳)刊行記念
                     「郷愁は夢のなかで」 上映会
   :リブラボ(中央区大名1の6の8 2階) 11月2日(土)16時から
 
 □編集長が語る 犖電疑渓文庫甞擴囲叩Д蹈灰魯Ε浩嶌笋硫
                     (中央区赤坂3の6の23)
       11月4日(月・祝)16時から17時半
 
 □映画『世界一美しい本を作る男〜シュタイデルとの旅〜』上映会&トーク
   :KBCシネマ1・2(中央区那の津1の3の21)11月16日(土)夜
 
 □旅する絵本カーニバル:JR博多シティ アミュプラザ博多
                    (博多区博多駅中央街1の1)
   10月11日(金)〜28日(月) 9時から21時

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 ■ 佐藤英和講演会   子どもと本をつなぐ〜本に親しむ、心育む
 └─────────────────────────────────
 ◆日時: 2013年10月25日(金)10:15〜11:45(受付開始;9:45〜)
 
 ◇場所 : <大正区コミュニティセンター>2階会議室 電話06-6553-5511
 
      http://osakacommunity.jp/taisho/index.html
 
      551-0003. 大阪市大正区千島2丁目6番15号
 
 ★参加費 : 資料代200円 *定員50名(申込先着順 定員になり次第締切)
 
 □申込・問合せ:おはなしボランティア「アナンシ」 070-6921-7231
 
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 編集者として数々の絵本出版に関わっていらした佐藤英和さんを迎え、絵本の
 魅力、読書の大切さなどをお話しいただきます。子どもたちの心の中に豊かな
 想像力をかきたてる絵本の楽しさを実感しませんか・・・
 
 講師プロフィール;佐藤英和(さとう・ひでかず)
  こぐま社相談役、東京子ども図書館監事
  1928年生れ。長崎県島原で幼少年時代を送る。大学卒業と同時に児童書編集
  を志して河出書房に入社、編集者となる。1966年、創作絵本のこぐま社を設
  立。以来2009年まで43年間に、『11ぴきのねこ』シリーズ全6巻、『こぐま
  ちゃんえほん』シリーズ全15巻、『私のワンピース』など196冊の絵本、
  『子どもに語るグリムの昔話』全6巻、『子どもに語る日本の昔話』全3巻、
  『サンタクロースの部屋』『木を植えた人』『マローンおばさん』など30数
  冊の書籍を出版する。
 
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   以上、アース・インテグレート川口 正氏の
   <関西・業界トピックス>13・10・03より抜粋掲載させて頂きました。
  いつもありがとうございます。
 
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 ■あとがき
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 十年に一度、と言われる台風接近中。先月も15日近辺は台風でした。
 
 さて、読書の秋。福岡でも名古屋でも、神保町でも…色々なところで本のイベ
 ント。何だか元気がないような本の世界も、個性的なイベントで盛り上がって
 いけばいいなあ、と思います。
 
 うれしい予告を。
 
 「図書館の壁の穴」の田圃兎さん、新たな立ち位置で図書館界に帰っていらっ
 しゃいました。やった!
 来月、特別寄稿という形で現在関わっていらっしゃる図書館についてご寄稿い
 ただく予定です。
 ご期待ください。
 
 そして、新連載。
 今年オープンした岡山の古書店「古書五車堂」さんの日常を、
 「古書五車堂あるじ」さんと、「古書五車堂 のん」さんが交代で連載してく
 ださることになりました。
 奇数月は古書五車堂 のんさんの「わたしの古本屋修行」、
 偶数月は古書五車堂あるじさんの「けやき通りの古本屋から」です。
 こちらも、どうぞご期待くださいませ。
 
 【プロフィール】
 「古書五車堂あるじ」:十数年の古書店勤務を経て、2013年6月岡山市中区浜に
                       古書五車堂を開店。
 
 「古書五車堂 のん」:新刊書店勤務、出版社勤務を経て2013年6月より
                       古書五車堂店員になりました。

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コメント
台風接近中ですね。
| 世界一美しい曲@吉野 | 2013/10/15 11:33 PM |
台風過ぎましたね。。
| 坪江 | 2013/10/16 5:17 PM |
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