[本]のメルマガ

配信済のメルマガのバックナンバーを見ることができます。また、記事に対するコメントもお待ちしております。
<< [本]のメルマガ vol.447 | main | [本]のメルマガ vol.449 >>
[本]のメルマガ vol.448
■□------------------------------------------------------------------
□■[本]のメルマガ【vol.448】11年10月25日発行
               [弱い者を守れない国は弱い国である 号]
 http://honmaga.net/
■□------------------------------------------------------------------
□■     創刊は1999年5月10日、現在の読者数は5410名です。
■□ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました。
□■------------------------------------------------------------------

★トピックス
→コショコショ、古書を売るイベント

★「甘くて苦いイタリア」 雨宮紀子
→10年後のヨーロッパ

★「今月のこの一冊」 小谷敏
→合計特殊出生率3のもつ意味とは

★「ちょっとそこを詰めていただけませんか」 竜巻竜次
→私は味オンチなのか?

★「はてな?現代美術編」 koko
→ドラッグなんか要りません。

★「日豪戦争」内藤陽介
→オーストラリア軍の日本進駐開始

----------------------------------------------------------------------
★PR★ 原 書 房 最新刊 ★ http://harashobo.co.jp

『サグラダ・ファミリア:ガウディとの対話』

外尾悦郎著 宮崎真紀訳

B4変型判 192頁 定価8400円 ISBN:9784562047482

専任彫刻家・外尾悦郎が読み解く聖堂のすべて。ガウディの壮大な構想とは?
図面のないままいかに彫刻を完成させてきたか? 図版200点超、細部まで間近
に体験できるカラー豪華愛蔵版●内容案内PDF⇒ http://goo.gl/2mfg6

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■第2回くにたちコショコショ市
現在、全国を席捲中の一箱古本市。その国立(くにたち)版が開催されます。そ
の名も「第2回くにたちコショコショ市」

【日時】 11月27日(日) 11:00〜16:00(雨天順延)
【開催場所】  やぼろじ(東京都国立市)

江戸から続く旧家の古民家をリノベーションした話題のマルチスペースです。
本邦初の「古民家で古書市」。当日はカフェや食堂、木工作家のワークショッ
プ、ライブ演奏など古本以外のイベントもあるので、従来の古本市とは趣の異
なる雰囲気になりそう。乞うご期待。

詳細は下記で
http://d.hatena.ne.jp/kunikosyo-market/20111022

■内藤陽介氏の新刊
日本人は「年賀状」に何を託してきたのか?
「年賀状」から見える新しい戦後史!  
『年賀状の戦後史』
 角川oneテーマ21  税込760円

出版元特設HPは
http://s.kadokawa.co.jp/book/bk_detail.php?pcd=201108000304

■トピックス募集中です!
----------------------------------------------------------------------
■Italia dolce e amara: 甘くて苦いイタリア / 雨宮紀子
----------------------------------------------------------------------
第27回 10年後のヨーロッパはこうなる

政治家を一掃して実務家(テクノクラート)で閣僚を固めたモンティ首相の内
閣が動き出したイタリア。欧州の金融市場不安の中で、財政赤字をゼロにする
財政計画の健全化を目指すという、だれが見ても困難な状況に乗り出した。そ
うなった国債市場の背景については、主要な日本の新聞の電子版でも専門家な
どが解説してくれているのでわかりやすい。

さて、モンティ首相の上院での所信表明を読んで、「欧州の“弱い輪=イタリ
ア”から脱して、強いイタリアを望まない派が作った負のモデルにならないこ
と」とあったのに注意を引かれた。いったい、強いイタリアを望まない派とい
うのは、何を意味するのか。

なんと、その2日後の19日に米国でいちばん読まれているというウォールストリー
トジャーナル電子版に「2021: The New Europe」(2021:新しい欧州)が掲載
され、イタリアの電子版Dagospia.com がニュースにしていた:
http://www.dagospia.com/rubrica-3/politica/1-benvenuti-nelleuropa-del-
2021-quando-gli-italiani-faranno-i-camerieri-e-i-giardinieri-32390.htm
#Scene_1

これを目にした直感は、モンティ首相のいった「強いイタリアを望まない派が
作った負のモデル」とは、まさにこの記事が描いているイタリアではないか、
ということだった。タイトルが「2021年の欧州にようこそ、イタリア人がドイ
ツ人のセカンドハウスでメイドや庭師をする」と始まるからだ。スケッチもカ
リカチュアのようで、地図の中央にドイツをすえ、その西と南にあるフランス、
スペイン、イタリアには「休暇ランド」と書かれていて笑える。

しかし、この記事のタイトルに羅列されていることは深刻そのものだ。

(1)10年後のヨーロッパは欧州合衆国(USE)となり、首都はウィーンになる。
ユーロはまだ通貨だが、現金ではなく電子貨幣としてである。

(2)ドイツ周辺国であるイタリア、スペイン、ポルトガル、アイルランド、ギ
リシャの状況はなお悪い:失業率は20%にまで高まり、人口の5分の1は65歳以
上の高齢者になる。

(3)サルコジ仏大統領の2012年の敗北とメルケル独首相の2013年の大敗が予測
され、ドイツ以外の各地で超ナショナリズムの政党が台頭。

現在の危機を乗り越えようとしている矢先に、10年後の予測がすでにされてい
るとは!

そして“欧州南部”では高齢者も失業者も人口の5分の1となり、多くの高齢者
には生活を楽しむ余暇ができ、失業者はドイツ人のセカンドハウスで働いてた
くさんユーロも稼げる、と皮肉ってあるのには苦笑する。

また、ユーロは「政府殺し」の貨幣で、2010年6月以降、すでに7ヶ国が倒れ、
スペインの後はフランスだという。

ユーロについて行われた暗い分析にもかかわらず、ユーロが生き残れたのは欧
州中央銀行を貸主にできたマリオ・ドラギ総裁の効果的な措置のおかげとか。
バルト3国やポーランドにもユーロは導入される。そして、これらの国の税金や
給与が低いため、ドイツ人のもっぱらの投資先となるのだ。

しかし、欧州にとってマイナス因子もあり、英国ではキャメロン首相がユーロ
不信派に押されて国民投票を行い、英国メディアのキャンペーンの余波も受け
て欧州連合を脱退する。その投票率も59%と書かれている。

原文の英語版はハーヴァード大学の歴史学者ニーアル・ファーガソン(NIALL
FERGUSON)氏によって書かれたかなり長いもので、丁寧に読めば、情報力も英
語力もつこうというもの。

原文の記事はこちら:
http://online.wsj.com/article/SB10001424052970203699404577044172754446
162.html?mod=WSJ_LifeStyle_LS_Books

イタリア人読者のコメントは、怒るのか、案外当たっていると感心するのか、
と思って、いつもはスルーするのだが他のイタリア版のコメントを読んでみた。

151件のコメントを全部読むわけにもいかないが、この記事を扇動と見て自尊心
に満ちて怒る人や、ドイツは今だって牛耳っているではないか、ギリシャのよ
うにドイツ製品の不買運動をすべし、というのもあった。ユーロは聖なるもの
ですべての元凶はベルルスコーニにあり、ラ・レプッブリカ紙が書いたのがま
だ十分じゃないのか、とか。ユーロ加入に反対だった派は、それ見たことか、
これを機に欧州中央銀行や市場からも脱退し、王政復古すべし、というコメン
トさえある。やはりコメントを読むのは苦手だ。

----------------------------------------------------------------------
■今月のこの一冊 グロバール化した世界を斜め読みする 小谷敏
----------------------------------------------------------------------
エマニュエル・トッド 『自由貿易は民主主義を滅ぼす』藤原書店 2800


 TPPはあらゆる財とサービスについての参入障壁を撤廃し、貿易と投資の自由
化を推し進めることを目的としています。これに参加すれば日本の経済主権は
大幅に制限されます。「この国のかたち」の変更を強いる条約の締結について
は、選挙で民意を問うべきもの。しかし野田首相は、政権与党内部の議論を尽
くすことすらせず交渉への参加を表明しました。主要メディアの大半は、TPPへ
の参加を肯定しています。自由貿易は絶対的な善。TPPという「バスに乗り遅れ
る」と日本は世界の孤児になる。マスコミ人はそう考えています。

 エマニュエル・トッドは1976年に、第3世界並みに高いソ連の乳幼児死
亡率に注目。弱い者を守れない国は弱い国であるとしてソ連崩壊を予言してい
ます。またトッドは、金融資本に特化したアメリカ経済の歪さを指摘し、リー
マンショックのような事態が起きるだろうと述べています。さらにトッドは、
識字率の上昇は合計特殊出生率の低下を招き、それが「3」を下回った時には
民主化への要求が起きるとして、今回の一連の中東革命をも予測していました。
現代の預言者トッドはいま、自由貿易批判の論陣を張っています。

 1970年代までの世界経済の黄金時代には、自由貿易は世界の人々を豊か
にしていました。ところが今日、安価な中国製品が流入することによって、製
品価格は下がり労働者の賃金も下降を続けます。内需とは勤労者の賃金の総和
なのですから、自由貿易を続ければ内需は収縮する一方です。自由貿易はいま
や災厄と化したのだから、EUは保護主義をとり、中国製品の流入を防いで勤労
者の賃金をあげ、内需の拡大を目指すべきである。それは中長期的には、高度
な技術力をもつ日本の利益にかなうものだとトッドは述べています。

 借金なしには経済が回らないアメリカは、世界を必要としている。他方、ア
メリカは金をせびり戦争を始める世界のお荷物でしかありません。それなのに
何故世界はオバマ大統領の当選に熱狂したのか。平等主義と文化的洗練を重ん
じるフランスで下品な差別主義者のサルコジが大統領になったように、世界は
いま深刻な価値の混乱ないしは空白に直面しています。黒人大統領バラク・オ
バマの出現は、かつて世界の理想を体現していたアメリカが復活するという幻
想を世界に与えた。それがかの熱狂を呼んだとトッドはみています。

 安価な製品の流入を招く自由貿易は内需を減らす。この命題は日本にも当て
はまります。自由貿易を極限にまで推し進めるTPPへの加盟は完全に誤った選択
です。野田総理もマスコミも、トッドの言に耳を傾けるべきでしょう。アメリ
カに辛らつなトッドも、日本には好意的です。日本はEUに入ればよいとさえ言っ
ている。権威主義的で上下の序列を重んじ秩序だった行動を好む点で日本人と
ドイツ人はよく似ているが、ドイツ人と違って日本人にはユーモアのセンスが
ある。この1点でトッドは、日本人を大いに気にいっています。

◎小谷敏
大妻女子大学人間関係学部教授。「余命5年」の難病から生還し、こうしてモ
ノが書けることに感謝。
最新刊「若者は日本を変えるか-世代間断絶の社会学」世界思想社

----------------------------------------------------------------------
■ちょっとそこを詰めていただけませんか 竜巻竜次
----------------------------------------------------------------------
今回は「味の記憶」の話

私がいままで食べた中の「3大不味モノ」の2つが京都にある。その内の一つ「
コーヒーぜんざい」なるものが、先日見た京都のガイドブックに「名物」とし
て載っていた。それもイロモノ的名物ではなく「美味いモノ」として紹介され
ていたのだ。

「どーゆー事?味が変わって美味しくなったの?それとも不味いと感じたのは
私だけで皆はあれを美味しいと感じるの?」
謎は深まるばかり。

文章で説明するのは難しいけど「美味しく炊いた小豆にコーヒーを注いだ事で
隠し味の塩味が立って、小豆の塩味コーヒー浸し」のようなノ

とにかく食べた時に「これは何かの間違いに違いない!」と思った記憶がある。
もう四半期前の一度きりの味なのだが「二度と頼まないモノ」として記憶され
ている。

京都にはなかなか「不味いもの」がたくさんあって、それも大仏商法のような
「いいや、一回限りだし」と言う後ろ向きな不味さではなく「アクティブに攻
めて失敗した」パターンの不味いものが多数存在している。

その「アクティブに不味い筆頭」に位置していた「コーヒーぜんざい」が…
店が存在してメニューからも外されていないところを見ると、この味を不味い
と感じるのは「私だけ」の可能性が色濃くなってきた。

「過去に食べたおいしいものの記憶が時間と共に増幅され、実際に食べてみる
とがっかりする」話はよく聞く。また味覚の変化で美味しいと思ったものが大
人の舌になると美味しく感じない、と言う例もある。もちろん「店主が変わっ
て味が落ちた」ケースもあるだろう。

そうすると今回の場合
「過去の不味い味の記憶が増幅され実際食べてみると思ったより不味くない」
のか「味覚の変化で大人になると美味しく感じる」のか「店主が変わって美味
しくなった」のか。

ただ「私だけが不味いと感じる」可能性を加味するとわざわざ京都東山まで出
向いて、そこそこいいお値段を出してまで検証する勇気がわかない。

味の記憶と言うものは良くても悪くてもそっとしておいた方が身の為のような
気がするな。

ちなみにもう一つの不味いものは今は無き河原町阪急百貨店最上階で食べた「
一回もジュ〜〜と言う音のしないお好み焼き」
この店は即つぶれたので記憶も味覚も正しかったと思う。

◎竜巻竜次
マンガ家 自称、たぶん♀。関西のクリエーターコミュニティ、オルカ通信の
メンバーとしても活躍中。この連載も、呑んだ勢いで引き受けてしまった模様
http://www.mmjp.or.jp/orca/tatumaki/tatumaki.html

----------------------------------------------------------------------
■はてな?現代美術編 koko
----------------------------------------------------------------------
第23回 『前衛芸術家 Yayoi Kusama』

水玉模様のカボチャのモチーフをご覧になられたことがありますか。
水玉のカボチャといえば草間彌生とくるのが世界の常識といっても過言ではあ
りません。
実は今、彼女の回顧展がパリのポンピドゥーセンターで開催されています。
□かぼちゃの映像 (ビデオ)
http://www.youtube.com/watch?v=62cfQPUf97c
□ポンピドゥーセンター≪Kusama Yayoi≫展 告知ビデオ
http://www.dailymotion.com/video/xlover_yayoi-kusama-du-10-octobre-201
1-au-9-janvier-2012_creation?start=2#from=embediframe

強迫神経症に悩まされながらというか、それを全てのインスピレーションの源
として、1957年から60年代ニューヨークでの活発なアーティスト活動の後、70
年代から80年代は日本に戻り精神病院に住みながら作家としても有名になりま
した。

彼女が復活を遂げて、現役アーティストとしてまたまた注目されだした1989年
のヨーロッパ初の大規模回顧展や1993年のヴェネチアビエンナーレからという
もの、本人自身の存在感もメディアで注目されつつ、彼女の作品の価格はグン
グンと上がり、女性現代アーティストとしては最も注目の高い存在になったの
でした。

□草間彌生公式サイト
http://www.yayoi-kusama.jp/j/information/index.html

彼女のことを知る人はみんな彼女をかわいい人だと語ります。自伝を読むと、
ますます彼女の人生の爆発度に読者はいい刺激を受けるようです。
小さい頃から精神科医の世話になっていた彼女が、その持ち味を十分に活かし
て前衛アーティストとして成功をおさめたことは、ある意味当然の結果だった
のかもしれません。

23歳の時、精神科医である西丸四方に才能を見出され、地元松本市で初の個展
をやったのが彼女のキャリアのスタート。その頃の作品を私はまだ見たことが
ないのですが、2004年から2005年に日本を巡回した「草間彌生―永遠の現在」
展」ではその頃の作品が展示されていました。
□ブログ 弐代目青い目日記帳 展覧会感想ブログ
http://bluediary2.jugem.jp/?eid=51

この人の何が素晴らしいかというと、その純粋さ。ひたすら自分が幼い頃から
見てきた幻覚へのオブセッションが全ての根底にあるという単純極まりない、
しかし強烈な体験に基づく故の表現活動のブレのなさ。これは他のアーティス
トにはなかなかないものです。彼女の足跡を見ると表現方法にこだわらずどん
どんと自分の精神世界を表現できそうな手法や手段を試しまくった様子が見え
てきます。

「あっぱれ!」の一言。
これが草間彌生を世界のKusama Yayoiにした理由でしょうか。

≪ある日、机の上の赤い花模様のテーブル・クロスを見た後、目を天井に移す
と、一面に、窓ガラスにも柱にも同じ赤い花の形が張りついている。部屋中、
体中、全宇宙を埋め尽くされて、遂に私は自己消滅し永遠の時の無限と空間の
絶対の中に回帰し、還元されてしまう。これは幻ではなく現実だ。私は驚愕し
た。ここから逃げなくては赤い花の呪詛にかけられて生を奪われてします。夢
中で階段に逃げていく。下を見ると、一つ一つの段々がバラバラに解体してい
く有様に足を取られて上から転げ落ち、足をくじいてしまった。解体と集積、
増殖と分離。粒子的消滅感と見えざる宇宙からの音響。あれは何か。≫
「わが魂の遍歴と闘い」1975年

正直、普通のアーティストは薬なんかをやってこんな体験するんでしょうね。

≪これらの絵は、静的な分割されぬ一面の空間がカンヴァス上にフラットに定
着したもので ・・・(略)。 このタッチの一つ一つの行為を時間の中で反
復することによって、ドライな白い絵具の層は極めて現実的な可視的視野の中
で、空間に無限の具体性を加える。
 この限りなく繰り返しうるリズムとモノクロームの表面が、規定された絵画
の約束上のコンストラクションや方法論によっては定義できないところの、異
質の「光」をもって新しい絵画への試みを提出する。かつこれらの絵は、一つ
の定められた焦点や中心を一切放棄している。これは私の独創であり、この発
想は日本で遠く10年前にさかのぼる私の制作の随所に見出される。≫
                 「無限の網 草間彌生自伝」2002年

きちんと自分の作った作品の分析もしてますよね。
見た感じよりもずっと頭の中はクリア―な方なのかもしれません。

彼女の作品には相反する要素がいつも共存しています。<ユーモア>と<不気
味さ>、<狂気>と<知性>。また<無垢な純粋さ>や<究極の自己中>が同
居しているのが魅力です。

彼女は自分のために活動するアーティストであり、その意味で他の追随を許さ
ない強さを持っています。そんな彼女の創った空間に身を委ねると、Kusama
Yayoi Worldへ一瞬でワープします。そこには無重力宇宙空間に似た無限の世界
が広がっています。悪意や欲みたいなものが感じられないのです。私にはそれ
が素晴らしく心地よい空間に思えます。

一般的に彼女の活動で特に評価が高いのは、1958年から60年初めに作られた
Infinity netsシリーズ。モノトーンで網や水玉模様が描かれた抽象キャンバス
作品です。現在よく見かけるカラフルな水玉作品は年をとってからの作品で、
もともとはモノトーン作品でした。黒のバックに白で描かれた作品群。これは
今でも億単位で取引されます。

特に2008年のオークションに出品された『No.2』(1959)というタイトルの作品
は$5,794,500で落札されました。これって2008年時点では現役女性アーティス
トとして最高額なんだそう。この絵が特に高い評価なのは、草間彌生からドナ
ルド・ジャッドが直接受け取った作品であるということが関係しているのです
が、それにしても大した評価ではありませんか。

ここで一つ大きな不思議があります。
あれほど全てに平等なアートの世界で、なぜに女性アーティストの評価は低い
のか?価格の点からみても、歴史的な観点から見ても、女性アーティストが占
める地位はまだまだ向上の余地があります。

前衛アーティストとしてはオノ・ヨーコ、第一印象としては山本太郎にも少し
通ずるところがあるかもしれません。とにもかくにもKusama Yayoiは世界に知
られた日本女性の代表であります。

【参考】
□草間彌生1967年ビデオ作品 「Self-Obliteration(自己消滅)」 part1(〜
Part3)
http://www.youtube.com/watch?v=7h0hExzfS5Q


◎koko
苦節10年、円とユーロとドルの間で翻弄されるアートセールコーディネーター。
まぐまぐメルマガ「Sacres Francais!映画と美術とパリジャンと」(通常は隔
週、この夏は不定期発行) 発行中。
http://www.mag2.com/m/0000191817.html

----------------------------------------------------------------------
■日豪戦争 内藤陽介
----------------------------------------------------------------------
 日豪戦争(17) BCOFの日本上陸

 日本との戦争が続いていた1945年初めの時点で、英本国、インド、オースト
ラリア、ニュージーランドから構成される(日本)占領英連邦軍(BCOF:
British Commonwealth Occupation Forces)が米軍と協力して、戦後の日本占
領を行うという方針は固められており、対日降伏文書の調印も済まない8月の
時点で、早くもオーストラリア国内ではオーストラリア軍は日本占領に参加す
る志願兵の募集を始めている。

 ところが、BCOFの艦船は東京湾には停泊していたものの、部隊の日本上
陸はなかなか実現しなかった。対日戦争で最も大きな犠牲を払った米国は日本
占領を実質的に自国単独で行うことを志向していたし、さらに、英本国も、ド
イツとの長年にわたる戦争により激しく消耗していたこと。

その上旧日本軍占領地域のうちのマレー半島や香港、ビルマなど、大戦以前に
英領だった地域の主権回復のために相当規模の兵力を割かねばならず、自国の
直接的な権益には結びつかない日本占領に積極的に関与するだけの余裕はほと
んどなかったからである。

 ところが、建国以来、長年にわたって日本の脅威を意識し続け、日本との直
接の戦闘で多大な犠牲を払ったオーストラリアとしては、戦勝国として日本占
領に関与し、自国に対する日本の脅威を減じるという果実は何としても必要で
あった。

 このため、9月半ばを過ぎても、一向に自国軍部隊の日本進駐が具体的に進
展しない状況に業を煮やしたオーストラリアは、10月に入るとワシントン駐在
のオーストラリア大使館が米国政府と直接交渉を開始。以後、BCOFの日本
進駐に関しては、英本国ではなく、この問題に最も熱心なオーストラリアが英
連邦を代表して折衝を重ね、12月までに歩兵旅団4個相当のBCOF兵力を、
連合軍総司令部(要は米国ということである)指揮下の占領軍として日本本土
に派遣するという合意を成立させる。

 これと並行して、10月から11月にかけて、東京では連合軍総司令部とBCO
Fの間で、すなわち、実態としては米豪間で実務者レベルの協議が行われ、12
月18日、マッカーサーとオーストラリアの陸軍参謀総長、ジョン・ノースコッ
トとの間でBCOF進駐に関する協定が調印された。これにより、オーストラ
リア軍はようやく、日本占領に参加する“権利”を獲得することになった。

 ちなみに、ノースコットは1890年3月24日、連邦発足以前のヴィクトリア・
クレスウィクで生まれた。メルボルン大学在学中の1908年に予備役としてオー
ストラリア陸軍に入隊し、卒業後の1912年に将校として正式に入隊した。第一
次大戦ではガリポリの戦いに参加して負傷し、戦後、イギリス防衛大で学ぶ。
第2次大戦中は、第一機甲師団長、陸軍参謀総長を歴任し、BCOFの日本進
駐が決まると、その初代総司令官として着任した。

 ただし、1946年には退役して帰国したので、BCOF総司令官としての任期
は短期間に終わった。帰国後は、オーストラリア出身者として初めてニュー・
サウス・ウェールズ総督に任じられ、1966年8月4日、76歳で亡くなっている。

http://blog-imgs-23.fc2.com/y/o/s/yosukenaito/20051210141703.jpg

は、そうした状況の下で、オーストラリア海軍の艦船によってニュージーラン
ドまで運ばれた公用便である。

 東京・麹町の英国大使館は、1945年9月の降伏文書調印を受けて業務を再開。
BCOF諸国の東京における活動拠点となっていた。

 郵便物の中身は残念ながら、筆者が入手したときにはすでに失われていたが、
左下の“英國大使舘商務官”や右上の“英國大使舘情報部”、“印刷物在中”
などのスタンプからすると、日本の状況についてのレポートのようなものが入っ
ていたのではないかと推測される。

 封筒には“英國大使舘情報部”と同じ印色で“航空”の印もされているが、
別途、料金無料を示す“PASSED FREE OF POSTAGE”ならびにオーストラリア海
軍を示す“H.M.A. SHIPS(この時代だと国王はジョージ6世だったから、His
Majesty's Australian Shipの略)”の紫印が押されている。

 おそらく、差出人は航空便を希望したのだろうが、当時はまだ、BCOFが
日本進駐をはたしておらず、自前の野戦郵便局も開設されていなかった。この
ため、日本本土からBCOF諸国宛に航空便を出そうとすれば米軍の野戦郵便
局を利用せざるを得なかったため、東京湾に停泊していたオーストラリア海軍
の艦船が逓送したということなのだろう。

 さて、BCOFが進駐する権利を得た地域は、“本州南部”として、広島、
岡山、鳥取、島根、山口の各県であった。当初の予定では、四国には蒋介石の
中国国民政府(国府)軍が進駐するはずだったが、国府軍にはその余裕はなく、
四国も担当範囲に加えられた。

 BCOFによる日本占領は、公式には、1946年2月13日からスタートしたが、
これに先立ち、先遣隊としてオーストラリア海軍の駆逐艦ワラムンガが1月17
日にシドニーを出港し、2月1日に呉に入港する。ついで、2月21日にはラブア
ンからオーストラリア空軍の本隊が到着。3月以降、岩国、防府などで活動を
開始した。

 一方、陸軍に関しては、モロタイ島に駐留していた第34歩兵旅団の本隊が2
月22日に呉に到着した。モロタイ島は、インドネシア東部、モルッカ諸島の島
で、第二次大戦以前はオランダ領であったが、1942年に日本軍が占領。さらに、
1944年9月に米軍が再占領し、フィリピンおよびボルネオ攻撃の拠点として用い
られており、戦後はオーストラリア軍が駐留している。ちなみに、

http://blog-imgs-44.fc2.com/y/o/s/yosukenaito/2011112509194595d.jpg

は終戦直後のモロタイ島に置かれていた豪野戦局からシドニー宛に差し出され
たエアメールである。差出地の表示はないが、野戦局に割り当てられた番号で
差出地を特定できる。この第34歩兵旅団に第65、66、67歩兵旅団が続き、5月
までには呉から8キロ西の江田島に総司令部が設置された。

 こうした中国地方の駐留部隊に加え、東京では連合国総司令部との連絡のた
めのスタッフが駐留し、

http://blog-imgs-44.fc2.com/y/o/s/yosukenaito/2011112509313852e.jpg

の郵便物にみられるように、1946年2月6日には彼らの連絡用に、東京にオー
ストラリア第8基地局が設けられた。かくして、オーストラリアを主軸として、
BCOFによる日本占領が本格的にスタートする。
 
◎内藤陽介(ないとう・ようすけ)
1967年、東京都生まれ。東京大学文学部卒業。郵便学者。日本文芸家協会会員。
フジインターナショナルミント株式会社・顧問。切手等の郵便資料から国家や
地域のあり方を読み解く「郵便学」を提唱し研究・著作活動を続けている。主
な著書に、戦後記念切手の読む事典<解説・戦後記念切手>シリーズ(日本郵
趣出版、全7巻+別冊1)、『外国切手に描かれた日本』(光文社新書)、『
切手と戦争』(新潮新書)、『皇室切手』(平凡社)、『満洲切手』(角川選
書)、『大統領になりそこなった男たち』(中公新書ラクレ)など。最新作『
年賀状の戦後史』角川Oneテーマ21
http://yosukenaito.blog40.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

■広告募集のお知らせ:当メルマガは現在5410名の読者の皆さんに配信してお
り、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。

----------------------------------------------------------------------
■編集後記
ノートパソコンのハードディスクが前触れもなく壊れた。データはバックアッ
プをとっているので大丈夫。近くの専門店にハードディスクを買いに行く。

タイの洪水により、価格が高騰しているS-ATAの2.5インチハードディスクは、
容量1TB前後で価格は1万円ほど。500GBとか、容量が少ない、安いものはない。
160GBのハードディスクもガラガラだったのに、1TBなんて使いようがない。

で、横に見えるは最近話題のSSD(ソリッドステートドライブ)。ハードディス
クより圧倒的に読み込み速度が速いと評判のストレージ。120GBで13000円とい
う価格は、ちょっと高いが使いきれない大容量のハードディスクよりは魅力的
に見えた。

そんなわけでSSDを買ってきて、OSをインストールする。計測したわけじゃない
が、ハードディスクより二倍か三倍、起動が速くなった。

でも、世間で言われるほど速さに感動しない。その昔、Macに搭載されてい
たCPU、PowerPC604をPowerPCG3に載せ換えた時、データベースの速度が20倍ほ
ど速くなった経験があるのだ。

ソートするのに二分ほどかかっていたのが、5秒ほどで処理を終える。あの時
に比べると、二倍や三倍程度では感動しない。過去にいい思いをすると、感動
は薄まるのかと、ちょっと残念。

ちなみに買ったSSDは、三年のメーカー保証がついていた。ハードディスクのメー
カー保証とそう変わらない保証がつくと言うことは、巷でいわれるほど耐久性
に難はなくなってきたと言うところか・・・。


ー====================================================
■ 電子メールマガジン「[本]のメルマガ 」(毎月5・15・25日発行)
■ 発行:[本]のメルマガ発行委員会
■ 掲載されたコンテンツを小会の許可無く転載することはご遠慮ください。
■ copyrightはそれぞれの記事の記者が有します。
■ ご意見・ご質問は25日号編集同人「朝日山」まで
メールアドレス asahi_yama@nifty.com
(あっとまーくは、全角ですので半角にしてください)
■ バックナンバーurl http://back.honmaga.net/
■ このメルマガは『まぐまぐ』を通じて発行しています。
■ メールマガジンidナンバー:13315
■ 購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行えます。
====================================================
◎[本]のメルマガ
のバックナンバー・配信停止はこちら
⇒ http://archive.mag2.com/0000013315/index.html
| バックナンバー | 22:22 | comments(1) | trackbacks(1)
コメント
編集後記を読みました。SSDを使った経験はありませんが、起動時間は早いのですか。
| ハードディスク 方法 | 2013/06/04 8:57 AM |
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://back.honmaga.net/trackback/979071
トラックバック
-
管理者の承認待ちトラックバックです。
| - | 2011/12/26 11:49 AM |
SEARCH
[本]のメルマガ
哲学・思想・社会などの人文書や、小説や詩など芸術の最前線、書籍の出版流通、電子出版などの「本」の現在を気鋭の出版社員、書店員が伝える、まさに[本]のメルマガです。
発行周期発行周期:月3回
バックナンバーバックナンバー:すべて公開
マガジンIDマガジンID:0000013315

メールアドレス:

メールアドレス:
Powered by まぐまぐ
※読者登録は無料です

コーチ募集(コーチングバンク) 灰谷孝ブレインジムラーニング 無料 コーチング カーディーラー経営品質向上 相続・遺言 新都心相続サポートセンター 無料 eラーニング CSR コンプライアンス 経営倫理 実践研究 BERC 「付加価値型」会計アウトソーシング−株式会社サンライズ・アカウンティング・インターナショナル フリーラーニング
LATEST ENTRY
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
CALENDAR
S M T W T F S
  12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  
<< August 2017 >>
ARCHIVES
LINKS