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[本]のメルマガvol.324
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■■ [本]のメルマガ                 2008.6.15.発行
■■                              vol.324
■■  mailmagazine of books           [閉塞したまま 号]
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■CONTENTS----------------------------------------------------------
★トピックス 

★「育児と書」柳瀬徹
→今回もお休みでーす。

★「虚実皮膜の書評」/キウ
→現代における閉塞感を評します。

★「帰ってきた中国古典で浅学菲才が直る?」/守屋淳 
→吉凶禍福の運命について、考えます。

★「ひよっこ行政書士のRock'n'law相談室」/いそむらまき
→今回はお勉強が忙しくてお休みでーす。

★「図書館の壁の穴」/田圃兎
→今回はお休みの月でーす。
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『ケータイ小説的。:"再ヤンキー化"時代の少女たち』

速水健朗著 定価1575円 四六判 224頁 ISBN:9784562041633

あゆ、郊外、ケータイ依存。彼女たちの物語はどこから生まれたのか? 
コミュニケーションという地獄を生きる少女たちの文化と生態をケータイ小
説から読み解くと……いま最も注目されるライターによる、ケータイ小説論
かつ郊外論かつメディア論かつ浜崎あゆみ論かつヤンキー論。濃いです。
+----------------------------------------------------------------PR+

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■トピックス
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●★紀伊國屋書店・柏書房共催イベントのご案内
第113回 新宿セミナー @ Kinokuniya
〈日本主義〉ブックフェア開催記念・佐藤優×竹内洋トークイベント
いま、あらためて〈日本主義〉を問う―蓑田胸喜的なるものと現代―

日時: 6月29日(日) 19:00開演(18:30開場)
会場:新宿・紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店4F)
料金:1,000円(全席指定・税込) ※前売券発売中
前売取扱:キノチケットカウンター(新宿本店5F/受付時間10:00〜18:30)
前売券予約:紀伊國屋ホール 03-3354-0141(受付時間 10:00〜18:30)
*内容に関するお問合せ:柏書房編集部/電話03-3947-8254(担当:山口・
山崎)

●『ディスポジション:配置としての世界』刊行記念シンポジウム
「うまくいく」ことの倫理と技術
6月21日(土)14:00〜17:00 会場:代官山・ヒル
サイドプラザ
ゲスト:岡崎乾二郎(近畿大学教授・芸術家)、小林康夫(東京大学教
授)、藤村龍至(建築家)
参加費:1000円 http://liv-well.org/
「ディスポジション」とは、世界を均質化・合理化する近代的思考を批
判し、生き生きとした現実の生活世界を配置や関係性によって生け捕り
にするための概念です。若手の論者=執筆者たち(柳澤田実、萱野稔
人、染谷昌義、大橋完太郎、平倉圭など)と多彩なゲストが
「哲学」と「アート」を軸にディスポジションの射程をめぐって徹底討
論します。
予約/問い合わせ先:現代企画室 Tel.03-3461-5082 
y-ogura@yha.att.ne.jp

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■「虚実皮膜の書評」/キウ
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『切れた鎖』 田中慎弥 新潮社 08.2

 「不意の償い」「蛹」「切れた鎖」の三篇を収録。「蛹」は川端賞受賞、
「切れた鎖」は芥川賞候補のあと三島賞受賞。

 「切れた鎖」は、非常に読みにくい。この粘着質な、文章の構成自体が読
み取りにくい体裁は、悪文といっていいと思う。時制も入り乱れる。何度か
行きつ戻りつして読んだ。

 赤間関(下関の古称)の旧家、桜井家を女三代に渡って、その没落を描
く。コンクリート事業で財を成した桜井家は、明治から平成にかけて「国と
地方合わせて十人以上の政治家を出してもきた」一族だが、今は後継者も立
てられないほど没落している。視点人物の梅代は、桜井家の一人娘で、婿に
入った重徳とのあいだに一人娘美佐子がいるが、美佐子が生まれてまもな
く、重徳は桜井家の裏にある在日朝鮮人のキリスト教系新興宗教の教会の女
の元に走り、帰ってこなくなる。やがてその教会に子が生まれ、梅代は重徳
の子ではないかと疑う。美佐子は長じて、「顔がいいだけの男」とのあいだ
に一人娘美佐絵をもうけるが、やはり男とは別居していて、複数の男と付き
合っており、家に居つかない。没落した旧家で、梅代は孫の美佐絵ととも
に、小道一本挟んで裏に存在する教会への憎悪を募らせながら、閉塞した状
況を生きている。

 このような地方の一族の物語を、粘度の高い文体を用いて、時制を自由に
行き来しながら描くというあり方は、中上健次を思わせるが、その小説世界
を横溢している閉塞感は、読んでいるこちらの気をも塞ぐ。絶対に神話には
ならない一族物語、どこにも飛翔していかない過去と未来。赤間関の荒涼と
し閉ざされた現在の空間。中上健次の世界とは何もかもが対極にあるといえ
る。

 語り手の梅代の母・梅子の描写が印象的。朝鮮人を罵ったり、自分の娘の
梅代を性的に貶める暴言をはいたり、浮気先から戻った重徳の素っ裸にして
塩で洗ったりと、異常な言動に、嫌悪感を覚える。この人物が鮮烈に記憶に
残る。

 「蛹」もまた、閉ざされている。

 この作品には人間が登場しない。カブトムシの、幼虫から蛹へと成長する
が、成虫へ羽化しようとしない、その意識を描く。父カブトムシの奮闘とそ
の死や、母カブトムシの屍骸の目撃、なども描かれて、成虫へと羽化しよう
としない理由が語られたりもする。世へ出ようとしないことの言い訳が語ら
れる。

「光の世界で王となる未来に興奮し、思い描いたことがあまりに素晴しいた
めにもう動けても動けなくても一緒だと勘違いしそうだったので、想像はそ
のくらいにしておき、再び上の世界の光に憤り地中から出られるのを待つ時
間が始まった。しかしまた誰かの手違いなのか想像力の使いすぎで昂った神
経が元に戻らなくなり、これまでより周りのことが奥の奥まで分かるように
なっていた。目の前にはいない生きものたちの行動がまるで見えているよう
に感じ取れた。(中略)上の世界のことまでがこんなにもはっきり分かるの
だから、ひょっとして知らないうちに皮を脱ぎ捨てて地中から顔を出しかけ
ているのではなかろうか。」(P58)

 このようなメンタリティが、現代の社会へ出ようとしない一群の人たちの
ものであるのだろうか。この作者も高校を卒業して以降、一度も労働という
ものをしたことがないという。三十三歳で新潮新人賞を受賞してデビューす
るまでは、母に養ってもらい、小説を書いていたようだ。

 時代の空気を描き取るという役割が文学にはあるだろうけれど、少し暗澹
とした気分にはなった。そのような空気を跳ね飛ばすような、閉塞感を打ち
破るようなエネルギーはここには見られない。徹底的に状況を描くことで、
その閉鎖状況を自壊させるような戦略も、また、ない。それでも、この作家
の感じ取っているものには、何か引かれる。

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■「帰ってきた中国古典で浅学菲才が直る?」/守屋淳 
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31「塞翁が馬」『淮南子』

今回は、『淮南子』にあるあまりにも有名なお話をご紹介します。

**************************
 国境の砦の近くに、世の法則に通じた男がいた。
 ところが彼の持ち馬が、突然逃げ出して、異民族の領土に言ってしまった。
 人々が口ぐちに
 「お可哀そうに」
 と言うと、彼は、
 「どうしてこれが幸いにならないことがありましょう」
 と答える。
 数か月後、逃げた馬が、異民族の持つ駿馬と一緒に帰ってきた。人々が
口々に
 「よかったですね」
 と言うと、彼は、
 「どうしてこれが禍いにならないことがありましょう」
 と答える。
 やがて、その家には良馬が育ち、彼の子供も馬に乗ることを好むように
なった。ところが子供が馬から落ちて、太腿を骨折してしまう。人々が口ぐ
ちに
 「お可哀そうに」
 と言うと、彼は
 「どうしてこれが幸いにならないことがありましょう」
 と答えた。
 一年後、異民族が砦に攻めてきた。若者は弓を持って戦場に赴き、近辺で
は十人のうち九人が戦死した。ところが落馬した子供は、足が悪かったため
戦争に駆り出されず、父子ともども生き残った。
 幸いが禍いとなり、禍いが幸いとなる。この変化は見極め難く、その深遠
さは測ることができない。
*******************************
 
ここから、有名な「塞翁が馬」「人間(じんかん)万事塞翁が馬」といった
言葉が生まれたわけですが、こういった経験って多いですよね。

個人的にも、10年ほど前に、ほとんど先の展望もなく会社をやめたことが
ありますが、人生どうなっちゃうんだろう、と流石に考えてしまうときもあ
りました(笑)でも、今はそこそこ食えるようになって、一番苦痛だった通
勤地獄からも解放されて、ある面、とっても楽になったりしています。今だ
から言える、「やめてよかったなー」(笑)

また、大きな話をしてしまえば、日本って資源のない国で、発展するのには
非常にハンデを背負っていたんだけど、それをバネに経済成長を遂げていっ
たわけです。しかし、その時の勝ちパターンが使えなくなると、不景気や格
差問題に悩むようになっていき……

でも、この「塞翁が馬」の大きなポイントは、そうはいっても、ほとんどの
人がその場その場の良い悪いしか見えない、ということなんでしょう。ただ
一人「塞翁」だけは、そんなことはない、と言い続けるんですが、でも、こ
れってその場で見れば唯の変わり者、ひねくれ者でしかないわけです(笑)

さらに、周囲の人の見方に理がないのかといえば、そんなこともないわけで
あって、たとえば不幸は不幸を呼ぶし、幸福は幸福を、チャンスはチャンス
を呼んだりもするわけです。

世の中、結局、循環するものもあれば、泥沼に陥っていくものもある。それ
がわかれば苦労はしないんですが、わからないから苦労するんですなあ(笑)

この意味で、「塞翁」はひたすら循環論の人なんですが、でも、これって当
然あたらないことも出てくるでしょう。先ほどの日本でいえば、循環論から
いえば、日本にはまたバラ色の未来が巡ってくるはずなんですが(笑)、そ
れが本当かどうかはまったくわからない。

みなさんの人生、何が循環して、何が循環せずに一直線でしょうか。
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■あとがき
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>日本でも中国でも、地震による被害が出ましたが、被災者の方には心より
お見舞い申し上げます。
>はあはあ
>それで、私、むかし四川省に団体旅行でいったことがあるんです。で、一
行のなかに、建築業の人がいて、工事中の現場(人はいなかった)にずかず
か入って行って、建築物を見ていたんです。僕も、面白いから跡ついていっ
たんですが……
>へー、その人は職業柄、興味があったんですかね
>そうそう、それで、一言「ここって、地震がないんだろうなー、でなけれ
ば、あり得ない作り方だな」と。
>ありゃ、それで今回の大地震ですからね……
>そうそう、それである人に聞いたら、中国は結構地震があるんだそうです。
ぜひ、他の地区でも耐震性のチェックはして欲しいな、と思います、ハイ。
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