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[本]のメルマガvol.315
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■■ [本]のメルマガ                 2008.3.15.発行
■■                              vol.315
■■  mailmagazine of books      [図書館は何を目指すのか 号]
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■CONTENTS----------------------------------------------------------
★トピックス 

★「育児と書」柳瀬徹
→今月もお休みですが、来月から復帰予定でーす。

★「図書館の壁の穴」/田圃兎
→図書館はなぜ公務員がやる必要があるのか……根源的な問いを発する筆者
でした。

★「虚実皮膜の書評」/キウ
→現代文学の極北について語ります。

★「帰ってきた中国古典で浅学菲才が直る?」/守屋淳 
→器量人の条件を探ります。

★「ひよっこ行政書士のRock'n'law(ロッケンロー)相談室」/うすいまき
→今回はお休みの月でーす。

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■「図書館の壁の穴」/田圃兎
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第19回 発想の転換について

 僕が大学図書館から公共図書館に移った2002年頃、公共図書館のシステム
に関する話題は、ICタグをはじめとした業務省力化の話が中心だった。

 システムによって、利用者が様々な情報源にアクセスするのを支援すると
いう発想はあまり感じられなくて、それにあたるのはホームページのリンク
集くらいだったように思う。
 リンク集は、図書館員が利用者をナビゲートする目的で、情報源をセレク
トし編集しているのだから、もちろん便利なものも多い。
 だが多くの大学図書館では、既に5年以上も前からオンラインジャーナル、
学術系のデータベース、機関リポジトリといったネット上の情報源に、利用
者を適切に導く方法を考えるなど、個人向けの情報サービスを明確に意識し
始めていた。
 それ以前からそうなのかもしれないが、少なくともその頃には公共図書館
は、情報サービス機関として周回遅れになっていた。

 確かに大学と公共とでは、サービス対象となる利用者が違う。
 だが、外科も内科も医者は患者を健康な状態にするのが仕事であるように
司書は利用者と情報源との橋渡しをすることに変わりはない。
 現に公共図書館は、インターネットを自由に使いこなす市民に対しても、
情報サービスを行っているのだから、利用者をいかに情報源に導くかについ
て、大学図書館から学べることは少なくない。

             *  *  *

 世界各国の図書館と図書館関連ブログを紹介する「LibWorld」というドイ
ツのブログがある。
 既に30か国近くの有志が、自国のレビュー記事を執筆していて、日本から
は「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」というブログを書いている方が
中心となって国内の図書館系ブログをまとめ、記事を編纂してきた。

 これを眺めてみると、専門図書館や大学図書館、あるいはソフトウェア業
界の方や図書館情報学の研究員、図書館系の学生といった人たちと、公共図
書館員とでは、明らかに視点が違うことがわかる。
 情報サービスの仕組みや著作権制度、情報流通過程の考察などを通して、
よりサービスを向上させるにはこんな方法があるんじゃないか?と活発に問
題提起しているのは、公共以外の図書館や情報サービス業の人が圧倒的に多
い。
 それに対して公共図書館員のブログでは、公共図書館に関するトピックや、
指定管理者の話などの政策について論じているものが多いように思う。
 図書館経営や予算、人材などの話も重要だが、それ以前に図書館は何を目
指すのかという大前提が欠落しているように僕には感じられる。

 例えば、公共図書館員は頻繁に異動するから人材が育たないという話をよ
く聞く。
 人事制度にももちろん問題はあるが、異動で図書館に配属されてた行政職
員が「図書館のことはよくわからない」と言いながら、それでも何とか勤務
できてしまうという公共図書館の現状は、どう見ても甘すぎる。
 意欲も能力も低い人は、きちんと淘汰できるような評価制度を図書館内に
設けるくらいのことをした方が、利用者の期待値も図書館の価値そのものも
ずっと高まるのではないかと思う。

 これを突き詰めていくと、公務員人事とは相容れない話になるのだが、現
場の担当者が公務員である必要など、そもそもないんじゃないかと思う。
 だからといって民間に委託すればいいのかというと、委託内容を決めて、
お金を出すのが役所側である以上、役所に図書館事業を評価する能力がある
のかという点が、どうしてもネックになる。
 公共図書館は行政から独立した教育委員会に属しているが、いくら独立し
ているといっても、人も予算も役所が握っているので、人事問題の解決は期
待できない。
 新たに図書館を建てておきながら、建物ができれば完成したとばかりに、
資料費やシステム費が出せなくなるような、ランニングコストにすら考えの
及ばない見通しの悪いやり方を最近よく聞くのだが、それはもう人事制度以
前の問題だろう。
 現状を見ていると、人もお金も完全に地方自治体とは切り離さない限り、
長期的な図書館政策に基づいた人事や予算配賦が実現するとは思えない。
 文部科学省でも国立国会図書館でも企業でも構わないが、例えば国立大学
法人のようなイメージの、自立した運営母体を立ち上げられないものだろう
か?
 それくらいの荒療治をしなければ、流れは変えられないんじゃないかと思
う。
             *  *  *
 
 研究者が自分のテーマについて、何か専門的な事項を調査しているような
場合、大学図書館員もそれほど効果的なレファレンスサービスができるとは
限らない。
 ただ僕の経験上、何か具体的な資料を探している場合には、割と効果的な
サポートができたことが多かったように思う。

 公共図書館ならば、その地域の行政・文化・歴史など、あらかじめ司書が
一定の知識を持っていなければならない分野はあるが、基本的にはあらゆる
分野の資料を扱っているし、どんなレファレンスにでも対応しなければなら
ない。
 だからといって、いくらあらゆる分野といっても、例えばマニアと呼ばれ
るような人が公共図書館のレファレンスサービスで、その筋のコアな具体的
事実を確認しようとは思わないだろう。
 それでも、何か具体的な資料を探そうという場合には、司書がサポートで
きる余地があるというのは、館種を問わずどの図書館も同じだ。
 だから公共図書館は、文献調査についてもっとツールを揃え、その使い方
を習得するとか、情報源を探すといった方向に力を入れた方がいいと思う。
 そこが弱いと情報サービス機関としての価値は著しく下がってしまう。

             *  *  *

 僕がこんなことを言うまでもなく、大学図書館や民間の情報サービスを参
考にして、公共図書館のサービスを見直した方がいいと思っている公共図書
館員ももちろんいる。
 だが残念なことに、そういうことを考えている人たちは、図書館運営に関
して何かを決定する権限を持っていないことが多い。

 権限がなくても、自由に意見を出せるような職場ならば良いと思うが、そ
うではない場合は、できる範囲で自分の思うサービスを実現させながら、目
指しているサービスの方向性や、どんな利用のされ方を期待しているのかを、
利用者向けに本音でどんどん発信して欲しいと思う。
 図書館のような組織で仕事をしていると、相手に言質を与えないという暗
黙のルールに縛られてしまい、利用者と率直に対話できる機会は、一般的に
そう多くはないだろう。
 でも、当たり障りのない議会答弁のようなことを言っているだけでは、利
用者の関心は高まらないし、いま以上の支持を得ることは難しいだろう。
 図書館の持っている情報で、外部に漏らせないのは利用者の個人情報くら
いなもので、大抵のことはオープンにしても差し支えないのだから、妙に役
所や上司に気兼ねする必要はないだろう。
 もっと率直に利用者に語りかけ、対話を通して理解と支持を求めていくと
いうのが、やはり正攻法ではないかと思う。

 そういうことを抑えつけるような組織は、恐らく早晩消えてなくなるだろ
うし、頑張って低い賃金で働いても、それではあまり面白くないだろうと、
僕は思う。

             *  *  *

 身近な発想の転換ということで、僕のいる図書館の例を2つばかり。

 前回お知らせした通り、図書館のデータを各個人の好みに合わせて提示す
る、サービスのパーソナライズ化計画が、役所の都合で一度中止になってい
る。
 これを受けて、それならばブログをはじめとした無料の外部サービスを使
って、やれることを模索しようという方向に切り替え、現在はまたゲリラ戦
に突入している。

 まず、ブクログという仮想本棚サービスを使って、季節ごとのイベント棚
の紹介を今月から開始してみた。
 書影が表示されたり、同じ本が入っているほかの人の本棚を参照できると
いったブクログの機能そのものに魅力を感じて使用に踏み切ったのだが、こ
うした外部の無料サービスを使って、新しい情報サービスの実験を行うこと
が、将来的に自前でシステムを構築する場合に備えた情報収集にもなると考
えている。

 それからもうひとつ。
 パーソナライズ化を指向したシステムが、すぐには構築できないならば、
いっそ蔵書データを丸ごと利用者に差し出して、好きなように利用してもら
ってはどうかと考えている。
 これは、ずっと昔に流行ったエンドユーザーコンピューティングの考え方
そのもので、図書データをダウンロードしてもらって、あとは利用者側で自
由に検索でも加工でもしてもらおうということだ。
 普通、図書館の利用者は、仕組みが良くわからない蔵書検索機能を提供さ
れて、たまたまそこで検索してヒットしたものを見せられているに過ぎない。
 それに対して図書館で働いている側は、必要に応じて例えば郷土資料やDVD
を、受入日や配架場所などで自由に条件を指定して抽出し、作業に使ってい
る。
 こうした図書館員が日常的に使っている作業用のリストは、貸出情報など
が出ていない限りは、大抵はそのまま公開しても差し支えないものだ。
 だったら、自分達が便利に使っている、必要に応じてデータを抽出して自
由に加工するための材料を、丸ごと利用者に開放しない手はない。

 そうはいっても、何十万件もの大量のデータをそのままダウンロードして
もらったところで、使い方に困る人も多いだろう。
 そこでMS-Accessを使って、データを活用するためのユーティリティを自作
して、それも公開しようかと考えている。
 これから具体的に動き出そうという段階なので、見通しは何ともいえない
が、大学図書館にいた頃に、MS-Access2.0でスタンドアロンの検索端末を自
作して公開したこともあったので、何とかなるだろうと思っている。
 いずれここで報告できるよう、がんばってみたい。

<参考URL>
「LibWorld」
  
「かたつむりは電子図書館の夢をみるか」
  
「ブクログ」
  

◎田圃兎
 某市立図書館副館長…兼、係長兼雑誌担当兼システム担当。

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■「虚実皮膜の書評」/キウ
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『白暗淵(しろわだ)』 古井由吉 講談社 07.12

 文學界の四月号で「ニッポンの小説はどこへゆくのか」という表題で、司
会の高橋源一郎を含めて十一人の作家・評論家が集まって座談会が組まれて
いる。そのなかで古井由吉はこんなふうに述べている。

「私の場合を言いますと、私の気質からしても、歳からしても元気な解体は
できない(笑)。ぶっ壊しはできない。けれども、束ね束ね、守りながらほ
ぐしていくということはできるんじゃないかと。そのときどういうことにな
るかというと、小説から文学へ退くんです。あるいは、文学から言葉まで退
いてしまうんじゃないかと思うんです。小説の意味とか世界に対する働きと
いうことでも、ひょっとして世間一般の読む、書く、話す、の基本的な現実
まで考え直さなきゃならないとこに来ているんではないか。そうすると小説
の形を維持するのは確かに難しいです。難しいのでいろいろ工夫しなきゃな
らない。その都度の工夫ですよね。」(P118)

 この十二の連作短篇を読めば、まさにこの著者の発言を踏まえての作品集
であることが分かる。というよりも著者が長い年月をかけてやってきたこと
とはそういうことであり、また、今回の作品集も同じであるとは言える。し
かし、この作品集はほぐれすぎているのではないかと思えるほど、ほぐれて
いる。四年ほど前の作品である『野川』(講談社)と比べても、ますます追
うべきストーリーはなく、知るべき構造や状況はない。あるのは「情景」で
あったり、「感じ」であったりするばかりだ。連作短篇となっているが、連
作と銘打たれるような連続性はどこにもない。それぞれが独立した短篇と読
めるだろう。もし一貫して流れるモチーフがあるとすれば、ほぐれているこ
と、であるとしかえいないのではないだろうか。現実がほぐれ、記憶がほぐ
れ、死さえほぐれてしまっている。ほぐれてしまったその先になにが立ち現
れるのか。戦前の空襲の記憶から、高度成長、バブル崩壊、そして現在へと
至る閉塞した状況を感じ取る、その空気か。その危うさ、悲しさ、のような
ものであろうか。しかし時代の空気を写し取る作品としては『白髪の歌』
(新潮社)ほどの明確さはない。「死」すらほどけ切っている。社会や個人
といったものを超えてしまっているようなのだ。

「肉親の死後を生きているということを、折りに触れて意識させられると、
自身もすでに自身の、生前をまだ生きているような心地へ惹きこまれる。ま
して兄の亡くなる半年前には自身、手術の日を待って、命を一日ずつ、先へ
送って暮らした時期がある。昨日がもう思い出せぬほどに遠くなり、明日へ
繰り越されるだけの今日だった。母はもう三十年も、死んでいる、と数えて、
その持続のほうが、刻々の間へ狭められていく自分の現在よりも、確かな存
在に感じられた。」(P86)

 「雨宿り」という短篇の一節である。生前を生きている、三十年も死んで
いる、といった表現のほぐれ方はどうであろう。自身の現在の生よりも「三
十年も、死んでいる」ことの確かさを、登場人物は語る。この文章の主体は
どこにあるのだろうか。

 「雨宿り」は、主人公の笹山が、知人を病院に見舞った後に駅まで歩いて
帰る道すがら、強い雷雨に見舞われて、仕舞屋風の平屋の軒下で雨宿りする
話である。その軒下にはすでに老人が一人雨宿りしている。二人黙って雨宿
りしていると、平屋の奥から男女の交わる気配が伝わってくる。雨脚が緩ん
だ頃、老人は「若い者は、眼が強くて、恐い」と呟いて軒を離れた。

「それほどに格子の窓の内の男女は迫って交わっていたのだろうか、と笹山
は記憶へ耳をやった。雷雨の間を割って切れ切れに、一声ごとに切羽詰って
鳴る踏切りの警報器の音が聞こえて来るばかりだった。しかしその音の鳴る
につれて、目を開いたまま睡るような老人の、横顔がたしかに、眉から頬ま
で、凄惨なまでに歪んだ。傘の柄を持つ手が、拳に握り締められた。剛い白
毛の、金気の焼けるような臭いがひろがった。
 殺意、刹那の殺意ではなかったか、と笹山は十年も隔てて思った。縁もな
い男女の交わりに、どうして年寄りが、殺意を覚えなくてはならないのか、
と自分で呆れたが、得心の念が内で動いたのを怪しんで、背後へおのずと感
覚を澄ますうちに、窓の内で気配が止んだ時に、男女の交わりだったと勘づ
くよりも先に、背中に戦慄の走ったことを思い出した。女の息のもう一度洩
れるのを聞いて安堵したものだ。
 男女の交わりも切迫すれば殺人に劣らぬ気配を発散させるものか、と笹山
は老人の身のほうに付いて眉をひそめ、そんなことを感じるようになったの
も、その間にそれだけ自分の内から、性欲の掛ける幻想が引いたしるしか、
と十年の歳月を思った。しかし老人の姿は、顔こそ忿怒の相を永劫に刻まれ
たように浮き立たせたが、ひきつづき何事にも触れられずに睡っているかの
ようで、軒はまたひとしきり雨の音につつまれ、雨に打たれながら立ち静ま
る青鷺を思わせた。背後から寄せるどんな陰惨な気配も、心身を素通りさせ、
わずかに面にだけ、もうおのれの個を超えた、忿怒の相として映す、そんな
老齢の境はあるのだろうか、と笹山は五十のなかばになって目を瞠った。」
(P87-88)

 そしてまた「あれはまやかしのような夕立だった。雷鳴とともに雨が走り、
あの窓の内の女も今では高年に入ったことだろう、まして老人はおそらくと
うにこの世にはいない、もう長年、死んでいる」(P92)と数え返す。この
短篇の中で実際に起こった殺人事件がいくつか取り上げられている。そのよ
うな現実の現れに対して、このような老人の情景を対置する。個々の事実で
はなく、それらを超えて人間の生業の底に流れる陰鬱な情景を、生死の、ま
た性の、一般的なありようをほどいていく中で、浮かび上がらせる。

 他の短篇もすぐれたものが多いが、ここではこれ以上取り上げられない。
それらはもはや現実の種々相を描くのではなく、その一歩奥にある層を描く
ことに集中しているのではないだろうか。これらはもはや小説という表現形
態を逸脱するぎりぎりのライン上にある作品群であるように思われる。表題
作の「白暗淵」は聖書の「地は定形(かたち)なく、嚝(むな)しくして、
黒暗淵(やみわだ)の面にあり」から取られている。元始、太初、へと著者
のまなざしは注がれているのかもしれない。

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■「帰ってきた中国古典で浅学菲才が直る?」/守屋淳 
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28「赤心を推して人の腹中に置く。いずくんぞ死に投ぜざるをえんや」
――素直な心で我々を信用してくださった。この人のためなら死ねる『後
漢書』

今回は、ちょっと趣を変えて、歴史書における名言を取り上げます。
後漢王朝をたてた光武帝にまつわるものです。

会社にいたころ、中間管理職をやって、僕自身が痛切に思ったことの一つが、
部下は上司の鏡なんだなーってことでした。

「あ、この人すごく使えるなー」とか「いやに反抗的だな」とか「使えない
なー」と新しく部下になった人に対して感じる場合、その人が一番影響を受
けた上司が誰だったかによって、なるほどなーと納得できる部分が少なから
ずあったりしました。

「なるほど、あの人が育てたのなら、そりゃ優秀だよな」とか「あの人の部
下だったらこうなっちゃうのも仕方ない」とか……

裏を返せば、自分の部下だった人も、「こいつ使えないと思ったら、やっぱ
り守屋の部下だったか」と思われている可能性も当然あったんでしょうねー
(笑、いや泣だって)

それともう一つ、部下はこちらが信用すれば、信用し返してくれるし、疑っ
たりマイナスな感情を向けてしまうと、それがそのまま返ってくる、という
面があって、これもまさに鏡に他ならないわけです。

中国の歴史を見ますと、後漢王朝を創始した劉秀(後の光武帝)という人物
は、これが非常にうまくできた人でした。相手を信用することで、相手の忠
誠を勝ち取ることのできる、大きな器量を持っていたのです。

冒頭の言葉は、銅馬という劉秀の敵軍だった将兵が発した言葉。銅馬は、劉
秀軍と戦って一端は降伏したものの、劉秀を信用しきれずに軍内は動揺して
いました。

この有様を見て取った劉秀は、みずから軽騎にのって、銅馬の各部隊に視察
に訪れたのです。丸腰に近い格好ですから、よほど相手を信用していないと、
こんな行動はとれません。これを見た銅馬の将兵は、

「赤心を推して人の腹中に置く。いずくんぞ死に投ぜざるをえんや(素直な
心で我々を信用してくださった。この人のためなら死ねる)」

といったわけです。個人的にこういうのって、憧れるんですねー。何せ自分
がまったくできない行動だから(笑)

こんな器量があったら、もう少し会社でも出世できていたのかなーと思いつ
つ、ま、そういう器量の大きな人に使われているのも楽でいいのかな、と
思ったりして。心の底から小人物タイプなんですね、トホホ……
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■あとがき
---------------------------------------------------------------------
>最近、ひょんなご縁から、潰れちゃったNOVAの猿橋元社長と、不祥事
起こした東横インの西田前社長の講演CDを聞く機会があったんです。
>ああ、豪華社長室で顰蹙かった人と、会見の傲慢な態度で批判浴びた人で
すよね。やはり講演にも、そういった面が滲み出ていたんですか?
>それが、ぜーんぜん、そんなことないんです。それどころか、言っている
内容はしごくまとも。話し方も魅力的で、ああ、素晴らしい社長だな、成功
する人はやはり違うな、と思う内容だったんです。
>へー、やっぱり人は言葉だけでは内実がわからないんですかね。それとも、
元々は素晴らしかったのに、下手に成功して堕落しちゃったんですかね??
>正直、中身も喋りもダメダメで、堕落するほどの成功を収めたことのない
私からすると、まったくわからないん世界なんですが(笑)両方あるのかな、
という気がします。まあ、もうNOVAは使いようがないし、東横インも余
程のことがないかぎり、泊まらないだろうなーと思うんですが……、
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