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[本]のメルマガ vol.305
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■■ [本]のメルマガ                2007.12.05.発行
■■                             vol.305
■■  mailmagazine of books     [酒を飲まないと人付き合いは 号]
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■■     創刊は1999年5月10日、現在の読者数は6481名です。
■■ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました。
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★PR★ 原 書 房 12月5日・重版出来 ★ http://harashobo.co.jp/

『図説 「最悪」の仕事の歴史』

トニー・ロビンソン:著 日暮雅通・林啓恵:訳
定価2940円 A5判 344頁 ISBN:9784562041190

反吐収集人、蛭(ひる)採取者、王様の便器番、煙突掃除人…。古代から近代ま
で、黙々と遂行された「過酷な庶民の仕事」の歴史を通して描く、もうひとつ
の英国史●担当編集者ブログ http://d.hatena.ne.jp/rikiyaishige/20071113

■CONTENTS-----------------------------------------------------------

★トピックス
→ トピックス募集中です!

★ベストセラー、一歩手前
→ 『女性のためのハッピー転職バイブル』の山下さすがさん登場!

★「神戸発、本棚通信」 / 大島なえ
→ 書肆アクセスの閉店の一週間前

★声のはじまり / 忘れっぽい天使
→ 白鳥信也詩集『ウォーター、ウォーカー』(七月堂)

★気になる本・業界の動き / 野澤敦子
→ アマゾンの携帯型書籍リーダー

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■トピックス
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■渡辺和博展「ホーケー文明のあけぼの」
└─────────────────────────────────

今年2月に惜しまれつつもこの世を去った、イラストレーター・ナベゾ画伯
こと渡辺和博さんの展覧会を行ないます。毎週末「南伸坊とホーケー文明な
放談会」開催! 詳細はこちらから http://www.littlemore.co.jp

 2007年12月7日(金)〜12月25日(火)無休
 12:00〜19:00 入場料200円
 お問い合わせ・ご予約:
 お電話 03-3401-1042 リトルモア 平日10-18時

ゲスト:泉麻人,みうらじゅん、手塚能理子、内田春菊、近田春夫、都築響一、
上杉清文、末井昭、河井克夫 ※順不同

■田中 純×大宮勘一郎「ベンヤミン、あるいは都市の書法」
└─────────────────────────────────

 ベンヤミンから都市へ,あるいは,ベンヤミンの都市へ──.
 都市を遊歩し,旅行し,陶酔し,低徊し,そして,記述した批評家ヴァル
ター・ベンヤミン.19世紀から21世紀へと世紀の閾をこえて,思考のモデル
としてのベンヤミンを「いま・ここ」に召還し,その書法(スタイル)を問
う。写真・映画・建築・文学・考古学…にわたって横断的な都市論を展開す
る田中純,そして,ベンヤミンのテクストから,記憶と回想,物語と分身,
複製技術と残余,批評と翻訳…の問いを切り開く大宮勘一郎──東京大学教
養学部ドイツ科同窓の両氏による,初対談.田中純著『都市の詩学──場所
の記憶と徴候』(東京大学出版会),大宮勘一郎著『ベンヤミンの通行路』
(未來社)の2冊の刊行(11月末予定)を記念したイヴェントです。

日時:2007年12月10日(月) 午後6:30〜
場所:ジュンク堂書店新宿店8F喫茶にて(40名まで)
入場料:1000円(1ドリンク付き)
受付:ジュンク堂書店新宿店7Fカウンターにて
 (電話予約:TEL 03-5363-1300)
お問合せ:ジュンク堂書店新宿店

【講師紹介】
田中 純(たなか・じゅん)http://before-and-afterimages.jp/profile.html
大宮勘一郎(おおみや・かんいちろう)慶應義塾大学文学部教授.専攻:ドイ
ツ文学・思想,メディア理論

■『魅せられた身体』 (青土社刊) 刊行記念
│小沼純一 トークショー “本屋の教室 音楽の時間 vol.8”
│魅せられること――コリン・マクフィーの音楽とその時代
└─────────────────────────────────

日時:2007年12月11日(火) 19:00〜20:30 (開場18:30〜)
会場:青山ブックセンター本店内 A空間
入場料:800円(税込) ※ 電話予約の上、当日ご精算
電話予約&お問い合わせ電話:青山ブックセンター本店
(電話:03-5485-5511)受付時間:10:00〜22:00

カナダから合衆国、フランスと学んだコリン・マクフィー(1900-1964)は、
20年代後半にバリ島のガムラン音楽に触れ、かの地に渡ります。長期に渡
り滞在、第二次世界大戦が近づいた頃、合衆国に居を定めますが、不遇の時
を過ごします。漸くマクフィーに光があたるようになるのは、50年代も後
半、作曲家に残された時間はわずかでした。ここでは、マクフィーが魅せら
れたガムラン音楽から、マクフィー自身のガムラン編曲、ガムランに影響を
受けた作品はもちろん、20‐30年代にやはりガムランなどのアジアの音
楽に影響を受けて書かれた作品、身近にあったアメリカのモダニズムの音楽、
珍しい音源など、実際に触れていただきます。

■『多宇宙と輪廻転生 人間原理のパラドクス』
│(青土社刊、12月中旬予定)刊行記念
│三浦俊彦さん講演会、ゲスト:若島正さん
└─────────────────────────────────

小説・翻訳から哲学・論理学、果ては宇宙まで...。
奇才二人が、縦横無尽に語り尽くします。

日時:2007年12月20日(木)19:00〜20:30(開場18:45)
場所:東京堂書店神田本店6F
参加費:500円(要予約)
問い合わせ・ご予約:東京堂書店神田本店
(電話:03-3291-5181)
※ 電話または、メール(tokyodosyoten@nifty.com)にて、
件名 「人間原理のパラドクス」・お名前・お電話番号・参加人数、
をお知らせ下さい。

■トピックス募集
└─────────────────────────────────

 当メルマガではトピックスネタを随時募集しています。出版関係のイベン
トや展示会・講演会などを皆様より募集しております。できる限りそのまま
紹介させていただきたいと考えていますので、トピックスの項で紹介できる
くらいの分量でのご投稿をお願いします。分量のだいたいの目安は、5行〜
10行程度です。多い場合には編集しますのでご了解ください。

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■ベストセラー、一歩手前
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「ベストセラー、一歩手前」では、これからベストセラーになりそうだな、
あるいは、ベストセラーまではいかないけれど、頑張っていますという本
をご紹介していければ、と思っています。

メールにて、インタビューを受けていただける著者の方、募集中です。

 【著者インタビュー希望】と表題の上、
 下記のアドレスまでお願い致します。

 5日号編集同人「aguni」まで hon@aguni.com

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書名:女性のためのハッピー転職バイブル
著者名:山下 さすが
出版社:中経出版
ISBN-10: 4806128058
ISBN-13: 978-4806128052
出版日:2007/9/1

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−この本が誕生したきっかけを教えて下さい。

山下「名刺コーチングをされている方がいて、その方に名刺を作ってもらっ
たのです。その名刺は、クライアントの経歴を聞いて、コーチングしながら、
なりたいものを決めて目標を入れるという名刺なのですが、名刺を作ったと
きに、裏面に「転職ウラワザコンサルタント」の肩書きを入れてもらいまし
た。」

−そんなに転職回数が多いのですか?

山下「転職は7回しています。転職を4回した後、32〜35までは大学に社会人
編入し、この期間は正社員としては働いていないブランクです。

卒業後、再就職して、その後もう2回転職しています。

回数が多い理由は、バブル育ちなので、転職に抵抗がないというのと、
「どうにかすれば、なんとかなるさ!」という楽観的な性格だからなのでし
ょう。

転職活動を重ねるにつれ今まで合計すると、約1000社に応募して、約250社の
面接を受けています。優秀な経歴をもつ人間ではないので、いかに書類選考
を通過するか、面接でどうしたらうまくいくかを研究していました。」

−その経験が今回の本につながったということですね?

山下「転職回数が多いのは、自分でわかっていたのですが、それをどう仕事
に結びつけたらいいか、わかっていませんでした。しかし、飲み会や勉強会
で、その名刺を配っていましたら、たまたまそれを覚えていたOLさんたち
が転職の相談にのってほしいと声をかけてくれるようになったのです。言わ
れてみて初めて、自分の転職のテクニックをどう教えはじめ、経験談をまと
めるようになりました。

ちょうどその頃、友人の行政書士さんとランチを食べに行ったら、彼女が講
師をしている資格の学校で、セミナー講師をやらないかと誘われまして、講
師というものをやったことがありませんでしたし、セミナーで何を話せばい
いのかわからないと答えたのです。

思いつきで、そのとき相談に乗っていた「転職」の話をしたら、即それにし
よう!と彼女が学校側に話を通してくれました。

まったくの無名の人間のセミナーですから、それほど盛況ではありませんで
したが、私としては初めての経験でしたし、とても面白かったのです。

その話を、たまたま飲み会で話してみましたら、昔、編集者をやっていた方
が「本を出すこと」をすすめてくれたのです。

その方から、今回の編集さんをご紹介いただき、なんとか出版にたどり着き
ました。」

−なぜこの出版社に決まったのですか?

山下「紹介された編集者の先輩がちょうど転職したばかりだったそうで、転
職というキーワードにとても反応してくれたからです。

またその編集者が偶然にも、知り合いの飲み友達であることが判明して・・・
(笑)。俄然、ここで出したいと強くプッシュしたのが運の分かれ目だった
のかもしれません。」

−飲み会でのきっかけが多いようですが?

山下「趣味が、「飲み会」なのです・・・。

とりあえず、気になる人を呼び出すきっかけに「酒」を飲みに行くのが一番
だと思ってます。

心がオヤジな人間なので「酒を飲まないと人付き合いははじまらない!」と
か思っているためでしょう。

酒の席で自分の営業をするのはイヤなので、売り込みとかの目的を持って飲
みにいかないから、気楽に話せるのが、結果的にいい方向に繋がったんだと
思っています。」

−編集の担当の方に一言!

山下「時間がない上に、さしこみマンガの台詞にまで、細かく注文をつけて
しまい、大変お手間かけました。

ここまで出来上がったのはひとえの編集さんの手腕だと思っております。

ありがとうございました。」

−書籍を形にするまでにいちばん苦労したことは?

山下「とにかくまとまりのない膨大な量を書いてから、それを削るところで
しょうか。自分では面白いと思う部分が多かったので、書くよりも削るほう
が大変でした。」

−書籍を出版していちばんうれしかったことを教えてください。

山下「とにかく転職回数が多く、あっちこっちにぶつかって生きてきた人生
だったので、「すべてが無駄じゃなかった!」と心から言えるようになりま
した。

あと、友人が「暖めていたネタがやっと本になったね」と言ってくれて、な
んだかとても嬉しくなりました!」

−これから本を出したいんだけど、という方にアドバイスを!

山下「まず、諦めない。時期を待つ。あとツテを探す。

意外なことに、「本を出したいんだけど・・・」と相談すると出版プロデュ
ースの人などを教えてくれる人が多いのですが、はっきり「ビジネス書の編
集さんを紹介してください!」というと、何かしらの繋がりで何人か見つか
るということ。

編集さんのナマの声でダメなところを指摘してもらったほうが、どうしたら
いいかがハッキリします。」

−最後に御著書の宣伝をどうぞ!

山下「やりたいことがあるけどもう年齢的にできないから諦めて「来世でが
んばろう〜」とか思ってませんか?

フツーのOLでも、30過ぎでもボロボロ経歴でも
このヒミツのテクニックさえあれば大丈夫!

いくつからでもやりたい仕事に転職できます!

【本書の内容】

・男性にはできない目的にあわせたキャリア選びをしよう!
・あなたの売りを見つける方法
・書類審査を突破するコツ
・面接官に好印象をもたれるコツ
・経歴書をうまく書くテクニック
・求人広告のウソの見つけ方
・トクする転職情報の探し方・・・など等

すぐに役立つ方法がいっぱいです!!」

−ありがとうございました!

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■「神戸発、本棚通信 / 大島なえ」
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 第三二回: 本は買って読むもの

 2007年も早くも終わりが近づいて来ました。今年も相変わらず、不景
気なニュースは襲ってきます。書店閉店の波は年末になっても聞こえてくる。
書肆アクセスの閉店の一週間前11月10日に、なんとか東京へ行った。

新幹線を降りると雨で神保町も冷たい雨で濡れそぼっている中とにかく書肆
アクセスの見慣れた店内に入ると、畠中さんが忙しくしておられ一年ぶりの
最後のご挨拶をした。その一週間後に某ブログで詳しく閉店の最後までの様
子を写真を多数使って知らせていたのを見つけ、朝から(読んだのが閉店翌
日の朝だった)しみじみとした。地方のミニコミ版元さん達には、東京での
大事な拠点だった人も多いだろう(私もその一人)言い換えれば、東京で地
方のミニコミ出版物を手に入れる大事な場所だった。儲からないのは百も承
知で置いてくれた、畠中店長に会う為に全国から神保町にやってきた人達で
閉店の日は溢れかえっていたのだ。

 とりあえず神保町へたどり着いた後、あわただしく一時間後に高円寺まで
行った。高円寺はどこか下町風情のある商店街があり、その市場のような道
を歩いて茶房高円寺書林へ伺っていた。午後4時までに来て欲しいと店主の
原田さんから電話で言われていたから、荷物もホテルに置かずに時計を見な
がら、なんとか4時5分前に到着。東京に着いたのが午後2時だったから、
なんとも東京時間は忙しいのだ。高円寺書林は落着いたブックカフェで開店
して一年未満の新しいお店で、豆本や手作り雑貨などの展示イベントを試み
ておられ、原田さんは書店界で長年仕事を続けている言わば、業界の方だっ
た。今の本が売れないのが、どれ程ひどい状況か一時間ほどお聞きしたが、
業界人でもない私にもそれはわかる気がしている。昔からのやり方で地道に
本屋を続けていたのが、軒並売れなくなって、閉店に追い込まれている。新
刊、古書共に神戸だけで今年だけでも何回、胸が痛むような閉店の知らせを
聞いただろうか。

どうして?と聞かれても本を買う人が減っているから。としか思いあたらな
いし、現実私の友人知人でも本は買わない、図書館で借りる人が沢山いる。
しかし、客のひとりとして見た時にふと目につく書店側の人の「本が売れな
い」話を聞こえてくる時に、この人等は自腹で本をどれ位買うんだろか。と
思うような人も多い。もうひとつ言うと、本屋の本知らずと言うように、本
をどれほど読んでいるんだろう。と思う人もおられる。古書店などで、うろ
うろ本を見ているとなんだか胡散臭そうな視線で、ごちゃごちゃせんととっ
とと本買わんかい。と無言のハタキをふられている気がすることも何回もあ
る。本屋は本売るもので、本買うものじゃない。とか思う人も多いのかも。
(勿論、そうじゃない本好きな人もいる)この場合、買うのは店で置く本で
なく自分が読むために好きで他所で買う本のこと。
つまり定価で自分の金で買って読む本。何が言いたいのかと言うと、お客さ
んはいつも定価で乏しい財布の中から自腹切っていつも読みたい本を買って
いること。客を本を買うただの財布の金のように見ると、こっちだってわか
るものなのだと、あえて申しあげたい。私がずっと尊敬している小さな本の
雑誌を発行していた人は、いつも本は自腹で買え。と言われていた。身銭切
って買う大事さは、そうしている人にしかわからないのだ。

大島なえ(おおしま・なえ):1958年生。神戸在住のふらふら兼業主婦
もしている。師走は坊さんが走る忙しい月、そういえば最近の坊さんが袈裟
姿でバイク乗ってる姿見ませんねぇ。親の誕生日を忘れた。今頃思いだして
クリスマスプレゼントで穴埋めしようと思う親不幸者。

フリ−ぺ−パ−「ほんの手帖」発行人。書店巡り愛好者。
http://www.geocities.jp/nmzdrysk/nae/naeix.htm

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■声のはじまり/忘れっぽい天使
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第23回 動きから生まれるエネルギー
―白鳥信也詩集『ウォーター、ウォーカー』(七月堂)

 普通、ものを書くという行為の最初のステップは、批評であれ創作であれ、
作者がテーマとなる対象を俯瞰する位置につくことであろう。そして一人称
で書かれることの多い詩文学では、この「俯瞰する作者」のほうにぐっと重
きが置かれる。特に現代詩においては、外界の対象物はテーマの中心という
よりも、むしろ作者の心的状態を表すための比喩のような扱いをされてしま
う。現代詩における発話の主体は動的な外界との対話をやんわりと拒否した
静止した状態に置かれ、語りは自閉的なモノローグになりがちになる。

 しかし、この秋に刊行された白鳥信也の詩集『ウォーター、ウォーカー』
(七月堂)では、発話主体は、形ある身体を動かし、形ある物を見つめ、形
ある想念を作る存在として描かれている。そしてそれらの形は、一時たりと
も静止することはない。

 詩集『ウォーター、ウォーカー』は「ウォーター」(=水)のパートと、
「ウォーカー」(=歩く人)のパートの二部構成になっている。気象や器の
形によって無限の変態を遂げる水と、絶えず動き続ける自身の身体を切り口
に、平凡な中年のサラリーマンがダイナミックな存在へと変容を遂げるので
ある。

最初の「あっ」という詩は、戸外で突然雨に見舞われたことをテーマとして
いる。ぽつりぽつりと振り出した雨はやがて大降りになる。話者の気分は昂
ぶっていって、やがて「カワウソ」になって身をくねらせ、「水の毛皮」を
まとうことを想像する。激しい雨滴を肌で感じているうちに、感覚が解放さ
れ、気持ちがノッていく過程が丁寧に描かれている。

 「血はダンスしている」は、車のタイヤの内底に水がたまっていてそこに
ボウフラが沸いていた、という詩。表面がぴくぴくする水を眺めているうち
に、人の血を吸った蚊から「ボウフラのダンス」が生まれ、そこからまた蚊
が生まれて血を吸うという循環に思い当たる。話者はユーモラスにそれを「
血液の旅」と名づけたりする。蚊に血を吸われるのも、ボウフラが沸くのも
不愉快な体験だが、それを言葉にしてしまうと精神の遊び道具になるのだ。

 「最後の水カマキリ」はややしんみりした作品。子供が開いていた図鑑の
中で水カマキリを見つける。話者は幼い頃、水のあるところでよく遊び水カ
マキリも日常的に見ていた。だが、自然環境が破壊されて、水挙げた棲の動
物や昆虫は皆いなくなってしまった。話者は最後の一匹になった水カマキリ
のことを考える。「最後の水カマキリは最後だということを/もちろん知ら
ない」。そして彼は、食卓のへりから水が滝となって流れ出す様を想像し、
想像上の水の中から「何か動くもの」を発見する。しんみりした思い出は湿
っぽさを払って、雄大な情景に形を変えていく。

 「パンを買いに行く」は、焼きたてのパンを買いに自転車を走らせる間の
ことを書いた詩。途中、消防車に出会ったことがきっかけで炎のイメージに
囚われ、燃えることにまつわる記憶を思い出す。そして買ったばかりのパン
ももちろん炎の中にあったわけだ。外見上はただ自転車を走らせているだけ
だが、頭の中では、火のイメージが、様々な場面に文字通り燃え移っていっ
ているのだ。

 「しっそうする蒲田」はナンセンスな虚構の詩。電車に乗っていて蒲田で
降りようとするが、何と蒲田駅がまるごと消失してしまっていて大騒ぎが起
こっている。びっくりしていたら携帯電話が震え、「カマタ」と名乗る男か
ら「旅に出るので追いかけないでほしい」と告げられる。虚構の大騒動の様
子が、ラップのような小気味のよいリズムでおもしろおかしく語られる。

 この詩集に収められた作品は、目に映るもの、及び自らの身体との対話が
軸となっている。密室にこもって沈思黙考するのでなく、動きが思考を生ん
でいく。白鳥信也にとって詩作とは、様々な縛りを受けている中年サラリー
マンとしての自分を一人の人間として解放することであり、凝り固まってく
る思考を物や身体の運動の中で解きほぐすことではないかと思う。

 詩は、作者が心の中の出来事を語る形式を持つという意味で、自意識の文
学と言うことができるだろう。現代詩は、この自意識を高密度のものに凝縮
し、聖域化するベクトルを持っている。だが、白鳥信也の詩は、人間なら逃
れることのできない自意識を、絶えず外界に晒すことで凝り固まる隙を与え
なくし、ダイナミックな変容を遂げさせようとする。彼は、気象に、物体に、
自分に、絶えず話しかける人である。その生々しいコミュニケーションから
エネルギーを得た言葉は、自律性を獲得し、躍動的な思考のリズムを生む。
読む者はノッた気分になり、元気を与えられるのだ。市民的な秩序を尊重し
ておとなしく暮らす平凡な男が、想像力の領域ではいつでもそこから脱出す
る術を持っているということ−何とも愉快な詩集ではないか。

*白鳥信也詩集『ウォーター、ウォーカー』(七月堂 税込1470円)

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■気になる本・業界の動き / 野澤敦子
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第四回: アマゾンの携帯型書籍リーダーがついに実用化

Amazon.comのCEO、ジェフ・ベゾス氏は11月19日朝、マンハッタンの記者
会見場で待望の書籍リーダー、キンドル(Kindle)の発表記者会見を行った。
299ドルに値を下げたソニーの書籍リーダーに対抗し、価格は399ドル。
無線接続が可能で、パソコンを介さずに9万タイトル以上の書籍をダウンロー
ドすることができる。書籍だけでなく、新聞・雑誌の定期購読もでき、辞書
機能も持っている。

発売開始以来ものすごい反響で、商品は品切れ、12月25日の入荷待ち。賛
否両論のカスタマーレビューは12月4日現在でほぼ900。「Amazon’s New
Wireless Reading Device Forum」というアマゾンのキンドル開発チームが質
問に答えるフォーラムまでできている。反応は、キンドルで30ページほど読
み進んだら偏頭痛が起きた、キーボードが打ちづらい、値段が高すぎる、カセ
ットテープと同じように、新しいディバイスが出てきたらすぐ使えなくなる、
友達にどうやって本を貸したらいいんだ、とかアマゾンはなぜこんな役立たず
な器械を作り出したんだ、という素朴でネガティヴな意見から、文字のサイズ
が選択でき、寝ている間に定期購読紙がキンドルに届いている、本のセレクシ
ョンが豊富といったポジティヴな意見まで様々。

電子書籍は読まなくても、電子辞書を使ったり、携帯で小説や漫画を読む人た
ちは増えてきている。電子書籍リーダーはますます携帯に近づいていくようだ。
いまのところ、無線接続が可能な地域はアメリカ国内に限られているが、これ
が全世界に広がり、辞書機能が充実し、形状も日本人好みにより軽量化・小型
化されれば、電子書籍リーダーがぐんと身近なものになるのではないだろうか

そういえば、2003年4月に開催された東京国際ブックフェアの基調講演で、
立花隆氏が2003年は電子書籍が飛躍的に伸びる年になるだろう、と予言し
ていた。だが、ソニーの電子ブックリーダーなど、ハードウェア企業が数々の
電子書籍リーダーを発表してきたものの、ウォークマンのようなわけにはいか
なかった。
今回は話が違う。オンライン書店自らが開発した書籍リーダーなのだ。
キンドルによって日本の電子書籍が一気に汎用化する日も近いのかもしれない。

◎ 野澤敦子(のざわ・あつこ):アマゾン ジャパン(株)マネージング・
エディターを経て、良書の普及を目指し(有)ブックを設立。読売新聞PR誌
「本のとびら」のサラ・ネルソンコラム、WAVE出版刊『トレイシー・ローズ』
を翻訳。

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■あとがき
--------------------------------------------------------------------

2007年最後の5日号をお届けしました。発行が遅れまして申し訳ございませ
ん。

今回は久々にフルスペックでの発行でした。インタビューあり、トピックス
もたくさんいただき、コラムも充実です。

広告も出稿いただきました。ありがとうございます。

ちょっと早いですが、来年も当メルマガを宜しくお願い致します。(あ)

+PR----------------------------------------------------------------+
     株式会社コーチングバンク代表取締役 原口佳典 著
   『人の力を引き出すコーチング術』(平凡社新書404)720円
    2008/1/10刊行決定!〜コーチングの新しい定番書です〜
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------------------------ 原稿募集のお知らせ -----------------------

 特に古本業界・印刷業界・取次業界で、欲無く無理なく出版業界の未来のた
めの原稿を、無償でコツコツ毎月書ける方を引き続き募集しています。我こそ
は、と思われる方は下記連絡先までご一報下さい。

 また、出版関係のイベントや展示会・講演会など、トピックスを皆様より募
集しております。こちらも下記連絡先までお願いします。

---------------------------------------------------------------------
■広告募集のお知らせ:当メルマガは現在6481名の読者の皆さんに配信して
おり、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。
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■ 発行:[本]のメルマガ発行委員会
■ 掲載された内容を小会の許可無く転載することはご遠慮ください。
■ COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ ご意見・ご質問は5日号編集同人「aguni」まで hon@aguni.com
■ トピックスの情報提供もよろしくお願いします。
  なお、当メルマガは配信日によって、情報の提供先が変わります。
  ・5日号:aguni hon@aguni.com
  ・15日号:掩耳 enji1128@yahoo.co.jp
  ・25日号:五月 ggt0711[a]gmail.com
  ただし、掲載の可否については編集同人が判断します。
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