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[本]のメルマガvol.276
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■■ [本]のメルマガ                  2007.2.15.発行
■■                               vol.276
■■  mailmagazine of books      [狩猟欲求と動物愛護精神 号]
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■CONTENTS----------------------------------------------------------
★トピックス 

★「育児と書」柳瀬徹
→「鳩ぽっぽ」の謎に迫る意欲作です。

★「ひよっこ行政書士のRock'n'law(ロッケンロー)相談室」/うすいまき
→交通事故を身をもって体験、人事ではない教訓がつまっています。

★「虚実皮膜の書評」/キウ
→今回も多忙につきお休みでーす。

★「帰ってきた中国古典で浅学菲才が直る?」 
→MBAホルダーなどという、まったく縁のない世界を語ります。

★「図書館の壁の穴」/田圃兎
→今回はお休みの月でーす
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■トピックス
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■[本]のプロモーションビデオをYouTube・自社サイトで公開してます
ポット出版は、本のプロモーションビデオを制作し、爆発的に普及する動
画共有サイトYou Tubeを使い自社サイトにて配信中です。これまで本の宣
伝のためPVを作っても、それを見てもらう手だてがありませんでしたが、
You Tubeの登場がこの状況を一変させました。You Tubeは本の販売促進に
も動画は大いに活用できると私たちは考えました。第一弾として「自作自
演活弁映画監督」山田広野が制作の『荻窪ルースター物語・ライブハウス
のつくりかた』(佐藤ヒロオ・著/2006.9.25刊行/1,800円+税)
[http://www.pot.co.jp/pub_list/pub_book/ISBN4-939015-90-4.html]
さらに第二弾として、新刊『欲望問題』(伏見憲明・著/2007.2.1刊行/
1,500円+税)のPVを公開中です。[http://yokuboumondai.pot.co.jp]

■講談社BIZの注目新刊
『ゾウを倒すアリ』廣川州伸 講談社 1400円
弱小の中小企業が、大企業にどう勝ち抜いていて行くのか。その手法を4つ
に分類した注目のビジネス書です。

■三省堂書店がネットでお取り置き
三省堂書店が、ネットで在庫検索、お取り置きのサービスを開始(三店舗の
み)。岩波ブックセンターの在庫まで検索できます。
http://www.books-sanseido.co.jp/reserve/bookSearch.do
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■「育児と書」柳瀬徹
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第六回 鳩への供物


 「鳩ぽっぽ」は、ほんとうは「鳩」なのだそうだ。
 
 赤ん坊が生まれてからこれまで、彼女をなだめすかすためのさまざまな技
法が現れては消えていった。深夜の日比谷線もすっかり運行されなくなった
し、スーパーのレジ袋がざがさも、もはや過去の風習である。
 そんな消沈のなかで、誕生から9ヶ月を過ぎた現在まで、絶大な力を発揮
し続けているものがひとつだけある。

  ぽっ、ぽっ、ぽ、
  鳩ぽっぽ、
  豆がほしいか、
  そらやるぞ、
  みんなで仲善く
  食べに来い。

 いうまでもなく「鳩ぽっぽ」である。と、いいたいところなのだが、上田
信道『謎解き 名作童謡の誕生』(平凡社新書)によると、これは「鳩」とい
う歌で、ほんとうの「鳩ぽっぽ」はこのような歌だったらしい。

  鳩ぽっぽ 鳩ぽっぽ
  ポッポポッポと 飛んで来い
  お寺の屋根から 下りて来い
  豆をやるから みな食べよ
  食べても直(すぐ)に 帰らずに
  ポッポポッポと 鳴いて遊べ

 東くめ作詞、滝廉太郎作曲のこの歌が1901年に『幼稚園唱歌』(共益商社)
に掲載され、11年に「鳩」が文部省編『尋常小学唱歌』に載せられた、とい
う事実から、後者は「盗作」である、と上田氏は断じている。「しかし、こ
の当時は著作者の権利が弱かったので『文部省唱歌に採用してやるからあり
がたく思え』で、通用してしまいました」とも。論の運びとしてはちょっと
乱暴な気がする。「採用してやるからありがたく思え」といわれているのは、
いったい誰なのだろうか。

 とはいえ、ことの真偽を確かめる材料は当方にはない。「鳩」が「鳩ぽっ
ぽ」の影響を強く受けているとしても、それを「盗作」といってしまってい
いのか、という議論もとりあえずは置いておく。それよりも問題にしたいの
は、ではどちらが「強い歌」なのか、ということなのだ。

 上田氏は「鳩」の二番が「豆はうまいか、/食べたなら、/一度にそろっ
て/飛んで行け。」と結ばれていることについて、「これでは豆を食べ終わ
ったらさっさと帰れ、ということになってしまいます。あまりにそっけなく、
どこか冷たいものを感じます。豆をめぐんでやるぞ、という人間のおごりが
見えるようです」という。それに対して「元祖『鳩ぽっぽ』では『食べても
直に 帰らずに/ポッポポッポと 鳴いて遊べ』と、ほんとうに鳩はかわい
いなあ、と思う子どものすなおな気持ちが伝わって」くるのだと。

 滝廉太郎の「鳩ぽっぽ」がどのような旋律であるのかは知らない。しかし
「ほんとうに鳩はかわいいなあ」という「すなおな気持ち」が伝わってくる
らしい「ポッポポッポと 鳴いて遊べ」のくだりが、その前の「ポッポポッ
ポと 飛んで来い」と対になっているとするならば、ちょっとリズムが悪す
ぎやしないだろうか。

 そのあとこの本では、東くめがどのようにして詞の着想を得たか、という
いきさつについて綴られている。浅草寺の境内に群れ遊ぶ鳩たちを見て、く
めはその様子を短時間で書き上げた、と伝えられているのだそうだ。盗作だ
とか冷たさだとかは、くめの才能を強調するための著者の撒き餌なのかもし
れない。

 しかしながら個人的な体験として、〈豆を撒いて鳩を呼ぶ歌〉を初めて聴
いたときに思ったことは、たぶん「そのあと鳩は食べられたんだろうなあ」
ということだったろう。そんな記憶などあるはずもないので、あくまでも想
像なのだが。
 ついでにいえば、来日してまもないアグネス・チャンがキャンペーンで上
野公園に行ったとき、そこに大量の鳩が群れているのに誰も捕ろうとしない
のを不思議に思った、とTVで話しているのを見たことがある。

 歴史的経緯が歌に力を与えるということはあるのだろうが、史実を知らな
ければその歌の真価はわからない、ということではない。歴史性を排して、
子どもの感性(のようなもの)で、もしくはアグネスの感性で「食べても直に
 帰らずに」を見直せば、そこになにやら企みを感じてしまう、というのが
「すなおな気持ち」というものではないか。それにくらべて「一度にそろっ
て/飛んで行け。」には狩猟欲求と動物愛護精神の葛藤の末に、いっそみん
ないっぺんに飛んでいってしまってくれ、と願わずにはいられない人間の
ペーソスが感じられる。だいいち、豆がなくなってしまったのに、なお引き
止めようとする根性が図々しい。それこそ「人間のおごり」そのものではな
いか…

 …などという屁理屈はどうでもよくて、どのような誕生のいきさつがあっ
たにせよ、どちらの歌が広く歌い継がれているか、という事実が両者のもつ
歌の力の差を示していると「すなお」に思うのだ。お上の力だけでいつまで
も歌ってくれるほど、子どもは甘くない。

 などというのもほんとうはどうでもよくて、私はひたすら「鳩」に感謝し
ている。夜中に、妻の留守中に、あるいは赤ん坊の不慣れな風呂場で、どれ
だけ「ぽっ、ぽっ、ぽ、」にお世話になったことだろう。
 童謡だけではなく、いろいろな歌を試した。しかし「ぽっ、ぽっ、ぽ、」
の単純なリズムと、ほとんど意味のない歌詞との組み合わせを凌駕するもの
は発見されていない。この歌からは無意味なリフレインに耐えるシジフォス
の寓話的な強さをもらった気がするし、ときには、とくに湯気のたちこめる
風呂場で繰り返し歌っていると、冷静な陶酔とでもいうべき精神状態に入り
込んで、これがトランス状態というものなのか、と思うことさえあった。

 この歌が我が家で効果的なのは、親子そろって音感が欠けているために、
複雑な旋律を奏でられないし感受できないからだ、ということでは断じてな
い。少なくとも父親は、音楽の授業で「荒城の月」や「花」をリコーダーで
完奏したことがあるのだから。14級で始まり12級でそのキャリアを閉じたと
はいえ、実家の隣にあった電器屋の二階で開かれていたヤマハのエレクトー
ン教室にだって通ったし、退会するときには先生に、開花せずに散っていく
才能を深く嘆かれたものだ。

 くめと廉太郎には申し訳ないが、私のなかでは「鳩ぽっぽ」の称号は永遠
に「鳩」のものだ。
 そんな私の感謝の念を揺るぎないものにする出来事があった。

 娘が「まんま」などと言い始めていることには気がついていた。とはいえ
「ま」とか「ぱ」はよく発せられる音であるので、「お母さん」もしくは
「ごはん」の意味で発語されたものかどうかはわからない。だから妻に嫉妬
することもなかったし、自分のことを「ぱぱ」と呼ばせようと画策すること
もなかった。余裕のある心境で眺めていられた。
 そんなある日、妻から驚くべき報告を受けた。留守中に「ぽっ、ぽっ、
ぽ、」と歌った、というのである。正確に言えば「ぽ」と「ぱ」の中間くら
いの発音だったらしいが、あのリズムとメロディは間違いない、彼女は断言
した。
 余裕はここで吹き飛んだ。それはなんとしても聞かねばならない。その日
から父親は、娘を抱っこするたびに必死に「ぽっ、ぽっ、ぽ、」と歌い続け
る鬼と化した。
 しかし、娘は歌ってくれない。母親とふたりきりになる日中は、ほったら
かしにしていても、わりと頻繁に歌うらしい。祖母からも、たしかに聞いた、
という証言まで飛び出して、鬼の焦りはますますつのるばかり。

 しかし、赤ん坊の〈マイブーム〉など、あっさり去っていく。そういえば
最近歌わなくなったねえ、と妻は軽く言い放つ。ほら、お父さんにも聞かせ
てあげてよ、などと赤ん坊をけしかけるその余裕が、ちょっと憎たらしい。

 もうあきらめていた、そんなとき、私は確かに聞いた。しかも「豆がほし
いか、そらやるぞ、」までを続けて。これは母にも祖母にも聞かせていない
はずだ。
 実際の発音を文字化すれば、せいぜい「ぱっぱっぱっ ぱぽぱっぱ まー
ままままま ぽぱぱんぽ」くらいのものだったろう。ほんとうはそれさえ怪
しいものかもしれないが、幸い地球上でこれを聞いたのは私一人、聞きたい
ように聞いたことにすればじゅうぶんだ。
 名曲だ、改めて確信した。


 職場に行く途中、高速道路のガード下を生業の場とする靴磨きのおじさん
に、いつも大量の鳩が群がっている。彼が餌を与えている姿もしばしば目に
する。急いで勤め先に向かう人たちは、ちょっと迷惑そうだ。
 通りすがりにちらちら観察すると、群れの外周あたりで食いっぱぐれてい
るのもいる。娘の音楽教育への貢献の御礼に、その不器用な一羽に鞄に忍ば
せた豆をそっと…とも思うが、あいにく豆を鞄に入れる習慣はないので、実
現には至っていない。
 
 だいたい、ドバトの群れを見て「ほんとうに鳩はかわいいなあ」などと
思ったことは一度もない。あれは、ちょっと怖い。
 
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■「ひよっこ行政書士のRock'n'law(ロッケンロー)相談室」/うすいまき
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去年の2月のメルマガに交通事故の話しをのせてから、もう1年がたちまし
た。この1年で大きな交通事故が何件もあったためか、最近は交通事故に関
するニュースを目にする機会がぐんと増えたような気がします。先日の新聞
では、交通事故に関して、従来の「業務上過失致死傷罪」とは別に、「自動
車運転過失致死傷罪」を新設する刑法改正案が国会に提出されるという記事
がのっていました。

悪質な事故に適用するとされる「危険運転致死傷罪」は適用条件が厳しいた
め、比較的刑罰の軽い「業務上過失致死傷罪」(最高で懲役・禁錮5年)よ
りも重い刑をつくろうといわけですね。ちなみに、いままでは「危険運転致
死傷罪」の適用がなかった二輪車も、同時に適用にしようということだそう
です。

私は実際事故にあった被害者ではありますが、どちらかというとますます、
車は運転したくないなぁという思いを強めただけだったりして。飲酒運転は
言語道断で別の問題として、私の事故の場合は罪が重くなるからといって、
相手の注意力が増して事故を防げたかというと、そんなこともないかなぁと
も思うし、何かほかにも事故を減らす方策はないのかと思ったりします。そ
れに、どちらかといえば、それより先に交通事故の被害にあってケガをした
人からリハビリをとりあげるのをやめる改正案を提出してくれという気持ち
でいっぱいです。

前置きが長くなってしまいましたが、事故からちょうど1年が経ち、今書い
たようにリハビリを打ち切られたことによって治療終了!となりましたので、
交通事故慰謝料請求編を今回は書きたいと思います。

事故の経緯はちょうど1年前のメルマガに書いたとおりですが、その後どう
していたかというと、ほんとについ先週までリハビリに通いつづけ、去年の
夏にはくるぶしに突き刺していた釘を2本抜き、結局トータルの入院日数が
34日、実質通院日数がちょうど100日ということになりました。今年に入って
すぐに、やはりリハビリの日数制限の規定のせいで、これ以上は延長できな
いとお医者さんにいわれ途方にくれていると、待ってましたとばかりに保険
屋さんから、「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」というのが送られ
てきました。お医者さんが治療終了というと「症状固定」(もうこれ以上は
治らん!ということ)となり、この時点で治っていない症状は後遺障害と確
定するので、慰謝料等の賠償額と、過失割合を決定していくのです。これか
らが保険屋さんとの本当の戦いです。

さて、おさらいすると、私が相手に請求できる損害である治療費、休業損害、
物損(バイク)はすでに解決済みなので、残るは慰謝料です。傷害事故の場
合、慰謝料は2種類あって、1つはケガをしたことに対する慰謝料、もう1
つは後遺障害に対する慰謝料です。

ケガをしたことに対する慰謝料というのは、つまりケガをしたことによる精
神的な苦痛(肉体的苦痛でもありますよね)に対する損害賠償です。私の気
持ち的には、これだけもらえるならまあ水に流してもいいかなと思える私が
決めた金額を払ってほしいところですが、そうもいきませんよね(笑)。最
終的には個々の事例によって決めていくものですが、目安としての基準が3
つあるそうです。

1つは弁護士会の出している『交通事故額算定基準』、2つ目は自賠責等の
強制保険の支払い基準、最後は任意保険の支払い基準である「自動車対人賠
償保険支払基準」というものです。2つ目は原則入院・通院ともに1日につ
き4,200円で、あとの2つはそれぞれ入院日数と通院日数をもとにした表に
なっています。任意保険のものは保険自由化に伴い現在は公表されていない
そうなので、公表されていた時のものを参考に、私の場合の金額をそれぞれ
出してみました。

1の場合124万〜229万円、2の場合約56万円、3の場合約116万円です。

んー、差が大きいですね。おそらく保険屋さんは3を基準に出してくるのだ
と思いますが(2だったらどうしよう)、この基準は会社によって、そして
個々の事例によって違うでしょうから、どんな額を提示されるのか正直よく
わかりません。これら3つを参考にしながら、自分の納得いく金額を保険屋
さんとつめていくことになるのでしょう。ちなみに、1は弁護士会の基準で
すが、あくまで基準ですので、訴訟にした場合にはこれが確保されるという
わけでもありませんし、これが上限というわけでもありません。

次に、もう1つの後遺障害に対する慰謝料ですが、ここで先ほどの「自動車
損害賠償責任保険後遺障害診断書」が登場します。これに症状固定の時点で
まだ残っている症状をお医者さんに書いてもらいます。私の場合は、さまざ
まな自覚症状と、傷跡(瘢痕)の絵と、関節機能の障害がどれだけ曲がるか
という角度の数値で記載されていました。皮膚の感覚がないとか、ずきずき
痛くなるとかの自覚症状は目に見えず、数値でも表せない以上意味がないの
だと思いますが、実際にたくさんあるので、たくさん書いてもらいました
(笑)

この「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」を保険会社に送付すると、
後遺障害の等級が認定されます。等級は1級から14級まであります。後遺障
害に対する損害賠償については、慰謝料のほかに逸失利益というのがありま
す。逸失利益とは、ひらたく言うと、その後遺障害が残ったことによって労
働能力を喪失し、そのことによって本来はもらえるはずだったのに減ってし
まった給料の額です。これらの後遺障害における慰謝料等も上記の3つそれ
ぞれに基準があります。私の診断書はこれから、まず後遺障害に該当するの
か、そして該当するなら何級なのか、その級に相当の損害額はいくらなのか
という3ステップを経ることになります。私としては一番問題のところなの
に、いっそう見当がつきません。。

以上はあくまで慰謝料に関する基礎知識です。これをもとに、これから敵の
出方によって、さらに武器を装備して、納得のいく補償をしてもらわなけれ
ばいけません。ケンカは苦手なのでできれば丸腰で勝利したいのですけど、
ここでご報告するためにもがんばります。それについては次回書きたいと思
いますので、よかったらまた読んでください!
〈参考図書『交通事故の法律知識』(自由国民社)〉

みなさまのご相談やご意見、または、それは違うぞ!などというおしかりも
お待ちしています。そのほかにも法律にからんで何か知りたいことなどあれ
ばお寄せください。もちろん、仕事依頼、メール相談(初回無料)もお待ちし
ております。
うすいまき行政書士事務所
rockandlaw@yahoo.co.jp
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■帰ってきた中国古典で浅学菲才が直る? 
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16「君の読む所のものは古人の糟魄のみ」
――あなたがお読みになっているのは、昔の人のカスみたいなものですね
『荘子』

日本では、ちょっと前にMBA(経営学修士)ホルダーみたいな人がもては
やされ、大企業が社員を留学させたりしてました。アルファベット三文字で、
しかも本場アメリカの大学のお墨付きなんて、なんか格好良いですもんねー
(笑)

で、それに刺激されたのか、日本の大学でも一橋に早稲田、慶応とまあ、い
ずこも日本版MBAをぞろぞろ始めていったわけです。

ところがところが、昨年、『MBAが会社を滅ぼす』(ミンツバーグ 日経
BP社)という本が結構売れたことに象徴的なように、MBAってダメなん
じゃない、という風潮も起こっています。その本によると、業績の良い企業
と悪い企業比べると、なんと、悪い企業の方が経営陣にMBAが多いという
トホホな結果が出てしまったわけです。

なんで、こうなってしまうか。
理由は幾つかあるでしょうが、その最大のものの一つは、冒頭にあげた『荘
子』の言葉に象徴されるものです。つまり、文字情報や数値では、肝心な所
が伝えられないという真理を理解していないと、「知識の多さ=成功しやす
さ」ではないことが見えなくなってしまうからです。

え、経営学とかビジネス戦略学んでいれば成功しやすいんじゃないの?とい
う突っ込みがはいりそうですが、それは自分のみそれを学んでいた場合。自
分だけ知っていればそれは強みですが、他人も知っていればそれは当然の前
提に過ぎなくなります。この点で、IBMえお立て直したことで有名な、
ルー・ガースナーはこう述べています。

《経営コンサルタント業界の小さな暗い秘密をお教えしよう。ある企業のた
めに独自の戦略を策定するのは極端にむずかしいし、業界の他社の動きとは
まったく違う戦略を策定した場合、それはおそらくきわめてリスクの高いも
のなのだ。その理由はこうだ。どの業界も経済モデル、顧客が表明する期待、
競争構造によって枠組みが決まっており、これらの要因は周知のことだし、
短期間に変えることはできない。
 したがって、独自の戦略を開発することはきわめてむずかしいし、開発で
きたとしても、それを他社に真似されないようにするのはさらにむずかしい

《結局のところ、どの競争相手も基本的におなじ武器で戦っている場合が多
い》『巨象も踊る』山岡洋一 高遠裕子訳 日本経済新聞社

言葉と数値の情報で組み立てるものとは、結局、頭がそこそこの人がやれば、
皆似たり寄ったりになるわけです。みんなで同じことをやって競っても、そ
れは「自分だけが勝つ戦略」になり得ないことは明らかです。

では、その上に何が必要なのか。それは、一言でいえば「直感」「感性」と
いった要素なんです。で、実はこれこそMBAホルダー、そして加えるなら
大学しか知らない経営学のセンセの泣き所なんです。

なぜかというと、こうした「直感」は、現場のど真ん中でもまれ続け、感じ、
考えないと身につかないものだから。ケーススタディ学びました、現場の人
何十人と取材して濃密な関係を結びましたとかいっても、ぜーんぜんダメ。
それどころか、会社にいてスタッフとして真横で見ていても、ダメな場合も
多いんです。

僕のいた会社でも、スタッフにいた人が、自分は仕事ができると勘違いした
まま現場に異動してきて、現場大混乱、その人もグチャグチャというパター
ンを結構見かけました。

もちろんMBAをとるくらいの人なら、地頭もよく、そのうえに知識は詰め
込んだわけです。あとは、自分には「直感」がないからと現場の最前線で一
兵卒として五年以上揉まれる謙虚さでもあれば最強のビジネスマンになれる
んでしょう。しかし、事態は真逆になっていて、自分はエリート、出世の追
い越し車線に乗っていると思い込むことに、少なくもとアメリカではなって
いるようなんです。

「知識」を教え、かつ「知識の限界」と「謙虚さ」を教える――そんなビジ
ネススクールがあれば、最強なんでしょうね……
---------------------------------------------------------------------
■あとがき
---------------------------------------------------------------------
>今回、柳瀬さんが鳩の話を取り上げてましたが
>はあはあ
>僕、最近、鳩にフンをひっかけられたことあるんです(笑)
>うわー、なんか漫画みたいですね。
>そうなんです、シクシク。しかも、講演の仕事があって、ばっちしスーツ
で決めてマンション出た途端に髪にべちょっと。時間も迫っていて、仕方な
いので、地下鉄までいってトイレで頭を洗っていきました。鳩めぇぇぇ、丸
焼きじゃあ(笑)
>しかし、あなたの場合、鳩に仕返ししようとして、逆にフンを浴びまくっ
て卒倒しそうですよね(笑)
>うう、そうかも、悲しすぎます(笑)
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| お風呂! 〜毎日おうちのお風呂で温泉気分〜 | 2007/02/15 8:46 PM |
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