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[本]のメルマガvol.265
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□■[本]のメルマガ【vol.265】2006年10月25日発行 http://honmaga.net/
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□■     創刊は1999年5月10日、現在の読者数は6767名です。
■□ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました。
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★ トピックス
→注目の業界情報。新宿頂上決戦が来春新展開。

★「ぼくたちが本と出会うときのこと」/ 内沼晋太郎
→参加している自分で言うのも何ですが「とても面白い」展示、26日から。

★「書店様、今日もお伺いします」/ 佐藤都
→綺麗な服を着て行って書店営業ができるわけでもないけれど、でもね。

★「ユートピアの探求」/ 五月
→書店人は書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる。

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■F L O W――韓氏意拳の哲学■            忽ち重版!
───────────────────────────────────
●尹雄大(ユン・ウンデ)著 224頁/ISBN4-925220-20-9/定価1995円(税込)
□発行:冬弓舎     http://thought.ne.jp/html/adv/flow/index.html
───────────────────────────────────
 武道の身体技法はつきつめると時間・記憶・自我についての哲学的考察に収
 斂する。武道の哲学と哲学する武道の漸近線をたどる意欲的な試み。
(内田樹・思想家:帯文より)─────────────────────
 ……私は現代に書かれた武術・武道関係の本で、これほど人間の深みについ
 て考えさせられた本は記憶にない。こうした本の推薦文というのは、通常依
 頼されて書くものだが、この本に限っては私が志願してでも書かせていただ
 きたいと思った。(甲野善紀・武術家:本書栞より)
(さらに松聲館HPから→)http://www.shouseikan.com/zuikan0610.htm#1
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■トピックス
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■新宿頂上決戦の延長戦は「王者」をさらに進化させうるか?

07年来年3月1日、ジュンク堂書店新宿店は1フロア(550坪)増やしてリニュー
アル・オープンすることになっており、近隣の一番のライバルである紀伊國屋
書店(新宿本店、新宿南店)に早くもプレッシャーを与えている。特に「お向
かい」の紀伊國屋書店新宿本店は、老朽化しつつあるビルの現状では大規模な
リニューアルが構造上難しいのではと囁かれており、いっそう脅威を増すジュ
ンク堂書店との競争激化を前に、果たしてどんな「奥の手」を出してくるのか、
注目が集まっている。


■モバイルビーケーワンがオープン、各種キャンペーンを展開

オンライン書店ビーケーワンのモバイルサイト「モバイルビーケーワン」がこ
のたびオープンした。http://m.bk1.jp 現在各種キャンペーンを展開中で、今
後モバイル限定のキャンペーンも予定しているという。なおPC版サイトでは、
現在バーゲンブック(自由価格本)フェアを開催中。岩崎美術社の本など、な
かなかシブい品揃えである。
http://www.bk1.co.jp/contents/booklist/0610_bargenbook.asp?s=wm1025

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◎[本]のメルマガ25日号では、古書を積極的に扱っている新刊書店さんを
◎応援しています。販売情報やリサイクル情報を、担当「五月」までお寄せ
◎下さい。宣伝いたします。お待ちしております。biblia_hp@infoseek.jp
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★PR★平 凡 社 の 新 刊★ http://www.heibonsha.co.jp

『語りえぬ真実――真実委員会の挑戦』

プリシラ・B・ヘイナー=著 阿部利洋=訳
税込5,040円 A5判448頁 ISBN:4-582-83328-4

過去の人権侵害を調査し、その特徴を分析報告する目的で設置される政府機関、
「真実委員会」。組織の実態、可能性、限界をめぐって、20を超える世界中の
委員会を網羅的に調査。これまでに設置された全ての委員会の活動を詳述する
はじめての概説書である。序文=ティモシー・ガートンアッシュ。

緒方貞子(国際協力機構理事長)推薦――「「過去」の事実に向き合い、「未
来」への礎とする、真実委員会の活動は、次代をひらく希望である」。

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『制度通(2)』(東洋文庫755)

伊藤東涯=著 礪波護・森華=校訂
税込3045円 全書判344頁 ISBN:4-582-80755-0

中国歴代の諸制度の沿革と日本の制度全般との関係を項目別に説く、優れた基
本書。第2巻は、税役制、度量衡、礼楽、律令格式、兵制、法制等に及ぶ。解
説と詳細な事項索引を付す。全2巻完結。

※東洋文庫次回配本は11月刊→『サトウ 神道論』
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■「ぼくたちが本と出会うときのこと」/ 内沼晋太郎
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第19回:あるテーマを特集した古雑誌を集めてみる

 ある企業の主催するイベント(※1)の、空間デザインのほんの一部をプロ
デュースする、という仕事をいただいた。このメルマガの発行日当日に、あな
たにこの文章を読んでいただいているのであれば、ちょうど明日行われるイベ
ントだ。「空間デザイン」などと言うとなんだか聞こえがいいが、ぼくが請け
た仕事は本当に「ほんの一部」にすぎない。その空間に並べる古雑誌のセレク
ト、である。

 さらにそれらの古雑誌は、閲覧することすらできない。その空間を訪れた人
にぼくがプレゼンテーションできるのは、それらセレクトした古雑誌の背表紙
の部分のみである。背表紙の並び具合で、いかに雰囲気を作るか、そしていか
に語るか。それがぼくの仕事ということになった。

 なんでそんなことになったのかもう少し詳しく説明すると、古雑誌の収納保
存を兼ねたスツールをデザインした方々がいて(※2)、そのスツールがその
会場に設置される、というわけなのだ。スツールになった古雑誌は重ねて束ね
られているから、中身を閲覧することはできないというわけである。そこでぼ
くはイベントの内容に合わせて、それぞれのスツールに異なるテーマを設定し、
そのテーマを特集していてかつ背表紙のある雑誌を古本屋で探しまくるという、
かつてない不思議な仕事をすることになったのだ。

 例えばひとつのスツールのテーマは、「いつか見た未来」とした。発行当時
の技術を踏まえ、未来はきっとこうなるだろう、という何らかの予測を立てて
いるような特集の雑誌のみを集めたのである。クライアントがPCやインター
ネット関連の企業であることもあり、特にそれらに関する特集を集めたのだが、
それらの場合最も面白いのは10年ちょっと前、93〜96年あたりのものだ。

『スタジオボイス』などのサブカルチャー誌はもちろん『太陽』などの総合誌
から『GQ』などの男性誌まで、「デジタル時代の著作権」から「マルチメ
ディア革命に乗り遅れるな!」まで、それぞれの立場で、ちょうど今起こって
いるようなことが予言されていたり、外れていたりする。今からは考えられな
いような、当時の技術やサービスに思いを馳せるのも楽しい。

 実際は、こういった特定のテーマで揃えたスツールだけではなく、すでに廃
刊になってしまった特定の雑誌を揃えたスツールも作った。しかしだいぶ前か
ら言われていることだけれど、近年、特定の雑誌を毎号購読するというよりも、
自分の興味に合う特集の号が出たらそれを買う、という買い方が主流になって
いる。しかもその傾向はどんどん強まってきていると聞く。

 ぼく自身の場合でもそうで、たいていどんな雑誌でも「本」特集ならばかな
りの確率で買っているため、気づけば「読書」とか「本屋」とか「ブックリス
ト」とか「〜の○○冊!」といったタイトルの雑誌が過去何年分も、何十冊も
棚に並んでいる。

 こういう風にひとつのテーマで、特集ベースで雑誌がセレクトされていると
いう状態は、ぼくのようなある仕事や趣味に基づいて集めている人の本棚を目
にする場合を除いて、少なくともふつうの本屋ではあまり見かけるものではな
い。もちろん特定のジャンルに強い古本屋が意識的に関連するテーマを集めて
いることはあるが、それでも女性ファッション誌から文芸誌まで幅広く収集す
るというのは、ちょっとした古本屋よりもむしろ、オタクな個人が得意とする
ところのように思う。

 そしてそうやって集められた雑誌は、自分が仕事でやっておいて言うのもな
んだけれど、はっきり言ってとても面白い。雑誌は時代を映す鏡とはよく言っ
たもので、発行された時期が違えばテーマが同じでも内容はまったく違う。ま
た、時期が同じでも、雑誌のターゲット層が違えばやっぱり大きく違ってくる。

 それらを見比べるだけで、そのテーマに対して自分が持っていた視野がもの
すごく広くなる。そしてきっと、次の時代のことも、まず間違いなく見通しや
すくなるだろう。もし興味があれば、ぜひあなたの古本屋めぐりの指針に加え
てみて欲しい。

 ところでぼく自身はというと、実は逆に、雑誌の定期購読にハマりそうに
なっている。特定の同じ雑誌を買うか、いろんな雑誌を興味のある特集ごと買
うか。これはある種、作り手への愛に関わる問題でもあると思っているのだけ
れど、それはまた、別の機会に。


※1:REMIX Tokyo (by Microsoft)
http://www.event-registration.jp/events/remix06/

※2:gift_lab
http://www.giftlab.jp/


◎内沼晋太郎(うちぬま・しんたろう):1980年生。原宿「TOKYO HIPSTERS
CLUB」、成城学園前「HANSEL & GRETEL」、新潟・長岡「HACHITEN」などの
ブックコーディネイトを中心に、本に関わるあらゆるスキマの仕事を手がける
レーベル「numabooks」を立ち上げたばかり。人と本との出会いをテーマに活
動するユニット「ブックピックオーケストラ」代表。
http://needtosleep.net
http://numabooks.com
http://www.super-jp.com/bookpick/
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■「書店様、今日もお伺いします」/ 佐藤都
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クリスマスとカレンダー、お正月の本が脳内で踊りを踊っています。季節を先
取りする仕事をしているのに、この時期は季節が先走りしてしまっていて、今
月の自分の誕生日の存在を忘れていました。こんにちわ。佐藤です。

さて今回は、営業マンの哀しみについてすこし愚痴めいたことを書かせていた
だこうかと思います。「悲しみ」ではなく「哀しみ」にしてみたのは、悲哀、
哀愁とでも言いましょうか、「分かっちゃいるけど、納得しちゃいるけど、で
もなぁ……」と思っていることについて書こうと思うからなのです。

まず、肩こりが尋常ではありません。もちろんどなたさまも肩こり、苦労な
さっていると思います。パソコンやゲラとにらめっこの編集の皆さんもお悩み
だと思います。

しかし営業の肩こりは、重たいものを持ち歩いているからに他なりません。単
純に肩に付加をかけすぎているのです。紙ってなんであんなに重たいんだろう。

イライラしたときなど、カバンごと川に投げたらすっきりするだろうなぁと思
いつつも、そのカバンが飯の種なのですから、捨てたらご飯が食べられなくな
ります。なので、やりません。

本当に新人だった頃、重いカバンを持ち歩くのに慣れていなくて、書店にカバ
ンを忘れてきたことが数度ありました。傍から見たら小旅行並の荷物を日々抱
えて歩くことに慣れてしまった現在、あの頃が少し懐かしく思い出されます。

肩こりと並んで私が哀しく思うことは、おしゃれができないと言うことです。
物も多く、移動も多く、その上営業となれば必然的に着られる服がパンツスー
ツかそれに準じたものになってしまいます。それは分かっていることなのです。

踵の高い靴を履いて何件も書店は回れないし、ペン、クリップその他を入れる
ポケットが服に必要だし、ストックの開け閉め時にスカートを気にしたりして
いては仕事になりません。

特に会社で服装について細かく言われることはありませんし、更に男性営業マ
ンに比べればくだけた格好をしてはいるのですが、それでも、「モテ通勤服」
「エビちゃんOL」などと言う単語には何故か過敏に反応してしまいます。

綺麗なおべべを着て行って営業が取れるわけではなし、と自分に言い聞かせま
すが、一応、ええ、一応社会的にはOLと括られる身でございます。ヒラヒラな
スカートやフリフリのトップスにヒールのパンプスやデコラティブなサンダル
を履いて、小さなかわいらしいバックを手にして街を闊歩してみたいのであり
ます。

もちろん仕事は仕事であり、おしゃれに現を抜かす場ではないことは承知して
います。気に入った服はプライベートで着ればいいというのも分かります。そ
して現にそうしているのですが、でも、できることなら自分の好みの服や気に
入ったアクセサリーをつけて仕事をしてみたいなぁという、ささやかな夢であ
ると思ってお許しください。


◎佐藤都(さとう・みやこ):1980年生まれ。某出版社営業部勤務。
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◎◎[本]のメルマガ25日号「私の〈理想の書店像〉」読者投稿大募集!!
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◎◎「こんな本屋があったら」「あんなサービスがあったら」……実現が
◎◎可能かどうかは問いません。みなさんの妄想を炸裂させてください。
◎◎自由なイマジネーションこそが業界の明日を救う!文字制限は1200字
◎◎ていどまで。簡単なプロフィールを添えて(ペンネームOK)、25日号
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◎◎どしお送りください!お待ちしております。毎月20日締切。順次掲載
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■「ユートピアの探求」/ 五月
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◎ロバート・D・ヘイルの書店人論

「書店人は書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる」。この言
葉をもし45歳以下の読書人が知っているとしたら、その人はヴィレッジ・ヴァ
ンガードのファンであるか、熱心な書店経験者であるか、どちらかかもしれな
い。

「本の真の実質は、思想にある。書店が売るものは、情報であり、霊感であり、
人とのかかわりである。本を売ることは、永久に伝わる一連の波紋を起こすこ
とである。書店は、書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる。
書店人は、人々を日々の抑圧から解き放し、楽しみ、希望、知識を人々に贈る
のである。書店人が、特別の人間でなくてなんであろう」。

ヴィレッジ・ヴァンガードの創業者である菊地敬一さんの著書『ヴィレッジ・
ヴァンガードで休日を』(新風舎文庫) でこの一節に出会い、この言葉の主で
あるロバート・D・ヘイルの名を胸に刻んだ人が多いのではないかと思うが、
出典がそもそもなんであるかについてはあまり周知されているようでもない。

この一節は、1982年に日貿出版社から刊行された『書籍販売の手引――アメリ
カ書店界のバイブル』(米国書店組合連合会編、豊島宗七訳)の「序」として
収録されている「書店人とは?」と題されたヘイルの文章の冒頭付近に見いだ
すことができる。出版当時は業界では広く認知された本なのだろうと推察する
が、現在は絶版。古書市場ではまだまだ見かける本だ。

上記の引用はヘイルの文章を圧縮しているし、言葉遣いがほんのわずかだが異
なる。少し長くなるけれど、省略されている部分を含めて以下に引用してみよ
う。スラッシュ記号「/」は改行を表している。

「本の真の実質は、思想にある。書店が売るものは、情報であり、霊感であり、
人とのかかわりあいである。本を売ることは、永久に伝わる一連の波紋を起こ
すことである。最初の波は本を読んだ人に伝わる。読者は本の内容を楽しんだ
り、利用したりする。ついで波は、真面目な議論や愉快な話として、ほかの
人々に伝わっていく。本の真の実質は、読者に対する人生上の影響にあるので
ある。/書店は、書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹かせることもできる。歴
史小説は、読者を真実の探検に送りこみ、読書による体験をあたえる。旅行書
は、実際にそこへ行く以上に場所の感覚を盛りこんでいる。詩は深いものの見
方と洞察を人にあたえる。書店人は、人々を日々の抑圧から解き放し、楽しみ、
希望、知識を人々に贈るのである。書店人が、特別の人間でなくてなにあろう」
(上記書、xix頁)。

『書籍販売の手引』では、ヘイルは「序」のほかに、「専門店化」「ブック・
フェア」「私はなぜ本屋になったか」などの項目も執筆している。『手引』は、
開店に必要な準備全般についての説明から始まり、雇用と教育、会計と経営実
務、注文と仕入、本の様々な販売方法、顧客サービス、広告と販売促進など、
58項目もの細やかなテキストで埋め尽くされており、約四半世紀前の翻訳書で
はあるけれども、書店業務の「本質」を考える上では今なお啓発的な基本書と
言っていい。

『手引』の底本は、"A Manual on Bookselling: How to Open & Run Your Own
Bookstore"の第三版 Third Editionで、1980年にニューヨークのHarmony Books
から刊行されている。ヘイルのくだんの「書店人とは?」はこの第三版で読む
ことができるけれども、1987年に同版元から刊行された第四版ではヘイルの序
文はあらたに書き直されていて、読めない。第三版も第四版も今では古書市場
で探すしかないが、広く読まれた本なので、オンラインの古書店で見つけるの
は難しくない。

ロバート・D・ヘイルとはどんな人物なのだろう。『手引』巻末の執筆者紹介
と原書第四版を参考にして書くと以下のようになる。

ヘイルは1987年当時は「マサチューセッツ州ダックスベリーの「ウェストウィ
ンズ・ブックショップ」のオーナーで、77年から83年にかけて、ABA(American
Booksellers Association:米国書店組合連合会)の常務理事をつとめ、それ
に先立つ2年間は連合会の会長もつとめた。長年にわたり、連合会の書籍販売
学校の理事であり、学長でもあった。さらに彼は、マサチューセッツ州ウェー
ルズリーの「ハサウェイ・ハウス・ブックショップ」の社長兼店長を7年間務
め、それ以前の8年間は、コネチカット州ニューロンドンの「コネチカット・
カレッジ・ブックショップ」の店長だった。

ちなみに「ウェストウィンズ・ブックショップ」は海のそばの一軒家で、いわ
ゆる独立系の本屋だ。http://www.westwindsbookshop.com/

ヘイルについて書くべきことはまだあって、彼の作家活動についても一言述べ
るべきだが、今回はまず上記の引用文の「原文」を味わっていただくのが先決
だろう。

"The real book is ideas. What the bookseller retails is information,
inspiration, and involvement. Selling a book begins a series of ripples
that can go on forever. The first is the book's effect on the reader
― on his use and enjoyment of the ideas it contains. Other ripples
follow as the book is discussed and enjoyed in serious conversation or
humorous anecdote. The real book is tangible because it influences the
readers life. / Booksellers have the means to enchant or enrage on
their shelves. An historical novel can send readers to explore the
truth of an occurrence after vicariously experiencing the event in
their reading. A travel book can provide a greater awareness of the
essence of a place than an actual visit can. Poetry offers vision and
insight. Booksellers can release us from the pressures of the day and
provide entertainment, hope, and knowledge. Booksellers are special."
Robert D. Hale, "Preface. Booksellers: What Are We?" in "A Manual on
Bookselling" Third edition, New York: Harmony Books, 1980, p.xv.

いかがだろうか。きちんと韻を踏んでいる様が原文だとよくわかるだろう。日
本語訳版で「書店員とは?」と訳されていた題名は、原題に忠実に訳し直すな
らば、「書店員――私たちは何者なのか」だった。ヘイルは学者然とした定義
を客観的に試みたのではない。自分たちは何者なのか、何が出来るのか、それ
を体験の上から語ったのだ。「書店人は書棚に魔法を満たすことも、嵐を吹か
せることもできる」、この言葉はたとえではなくて、彼の絶対的な経験だった
わけである。これほど人を勇気づける言葉があるだろうか。


◎五月(ごがつ):1968年生まれ。月曜社取締役。本誌25日号編集同人。
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『生命と現実――木村敏との対話』

木村敏×檜垣立哉=著
税込1,995円 46判上製216頁 ISBN:4-309-24394-0

気鋭の哲学者を前に語られる、その思想の歩みと課題。臨床の現場に身をおき
つづけながら、深い哲学的思索と鮮烈な理論によって精神医学を超えた各層に
影響を与えてきた著者が、西田、ベルクソン、ドゥルーズなどを論じる新鋭哲
学者の問いをうけて、「あいだ」、時間論、分裂病、うつ病、そして「生命論
的差異」などの核心的テーマをほり下げる、待望の語り下ろし。
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『アンチ・オイディプス――資本主義と分裂症』全二巻(河出文庫)

ジル・ドゥルーズ+フェリックス・ガタリ=著 宇野邦一訳
税込各1,260円 ISBN:4-309-46280-4

初版刊行(市倉宏祐訳、1986年)から二十年目の新訳!「器官なき身体」から、
国家と資本主義をラディカルに批判しつつ、分裂分析へ向かう本書は、いまこ
そ読みなおされなければならない。【近日重版出来】
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『ドキュメンタリー映画は語る――作家インタビューの軌跡』

山形国際ドキュメンタリー映画祭東京事務局=編
税込5,040円 A5判並製494頁 ISBN:4-624-71091-6

戦前のメーデー、従軍記録から成田空港建設反対闘争、水俣病、オウム真理教、
若者にひろがる右翼運動まで――ひとと時代に対峙してきた作家たちの内的軌
跡の記録。山形国際ドキュメンタリー映画祭の機関誌「Documentary Box」に、
92年から06年まで14年間連載された、インタビューを集成。
--------------------------

『早稲田古本屋街』

向井透史=著
税込1,890円 46判上製254頁 ISBN:4-624-40059-3

店主たちはいかにして古本屋になったのか。早稲田生れの二代目古書店主であ
る著者が、それぞれの店に足を運び、話を聞きまとめた「開店まで」の物語。
前作『早稲田古本屋日録』(右文書院)に続く第二作。
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『マインドサイト――イメージ・夢・妄想』

コリン・マッギン=著 荒川直哉+五十嵐靖博=訳
税込2,520円 46判上製282頁 ISBN:4-7917-6302-5

心の哲学/意識研究における手付かずの領域――「想像力」。想像力によって
私たちは目の前に存在しない物を思い描くことができるが、そのとき意識はど
のようにはたらいているのか。イメージと知覚を峻別し、奥深くはかり知れな
い心的作用=イマジネーションを分析・画定する、〈心の哲学〉の重大成果。
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『フリードリッヒ・ニーチェ』 シリーズ「現代思想ガイドブック」

リー・スピンクス=著 大貫敦子+三島憲一=訳
税込2,520円 46判上製324頁 ISBN:4-7917-6231-2

真実と虚偽の区別、道徳への信頼、私たちが人間であるという合意、ニーチェ
はそうした常識を覆す。思想史に挑みかかり、現代批評理論の源流となったそ
の哲学が、文学・芸術・現代文化にいかなる衝撃を与えたかを明快に説く。
--------------------------

『現代思想』 2006年11月号(特集=リハビリテーション)
定価1300円(税込) ISBN4-7917-1156-4 10月27日発売

【理念】
患者から見たリハビリテーション医学の理念/多田富雄

【生存】
壊れた脳と生きる/山田規畝子

【討議】
人間再生のために/宮本省三+河本英夫

【リハビリテーションの現在】
ニューロリハビリテーション/森岡周
リハビリテーションによる脳の再生――CI療法とその周辺/道免和久
脳卒中後遺症に対するリハビリテーション
 ――ボバーズ概念に基づいた作業療法/柏木正好

【認知運動療法】
素晴らしき水車
 ――ルイジ・ピランデルロのテキストに対するリハビリテーション的変奏/
 C・ペルフェッティ(訳=小池美納)
情報性――トリエステ大学の学生のための講義記録/
 C・ペルフェッティ(訳=小池美納+沖田一彦)
認知運動療法の基本概念/塚本芳久

【臨床の現場】
アレッシアの物語 ――リハビリテーションにおける患者の意識経験の記述/
 C・リゼッロ(訳=小池美納)
脳の中のバイオリン――認知を生きる物語/中里瑠美子
行為とメタファー――脳性麻痺のケースから/人見眞理
半側空間無視患者の世界/富永孝紀
リハビリテーション治療における失行症と身体認識/宮口英樹
不自由さから生まれる創造性/香川真二

【展開】
コミュニケーションの位相――システム論的精神分析と脳の再構築/十川幸司
「ミニカー並べ」の現象学――自閉症児にとって「私」とは何か/村上靖彦
脳内の地図作製術――リハビリをリハビリするための/澤野雅樹

【新連載】
人間原理のパラドクス 第1回 仮説と証拠の、正しい関係/三浦俊彦

【次号予告】
12月号『自立とは何か』
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