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[本]のメルマガ vol.263
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■■ [本]のメルマガ     2006.10.05.発行
■■         vol.263
■■  mailmagazine of books [誤解からうまれた誤解の産物 号]
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■■     創刊は1999年5月10日、現在の読者数は6764名です。
■■ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました。
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■CONTENTS-----------------------------------------------------------

★トピックス

★ベストセラー、一歩手前/aguni(あぐに)
→ 本年は本とに本を出す!(仮)、改題しました

★平成浚師鑑―――印刷屋の現場から/彫竹
→ 今回もゴシックです

★「神戸発、本棚通信」 / 大島なえ
→ 「天神さんの古本まつり」へ行ってきた

★声のはじまり / 忘れっぽい天使
→ 「ぴあ」のある生活

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■トピックス
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■第21回早稲田青空古本祭2006

 期間 2006年10月1日(日)〜6日(金)雨天決行
 時間 AM10:00〜PM7:00(最終日は5時閉会)
 場所 穴八幡宮境内(早稲田大学文学部前)

 主催 早稲田古書店街連合会
 協賛 大新宿区まつり
 後援 早稲田大学

 あいにく東京地方は明日も雨。
 青空、とはいきませんが、明日が最終日です。
 掘り出し物が見つかるかも?

 ブログ:http://d.hatena.ne.jp/w-aozora/

■広告募集

 当メルマガに広告を掲載しませんか? ただし内容は書籍や出版に関わ
る内容でよろしくお願いします。価格は編集同人の方針により、激安価格
です。安すぎてここに掲載できませんので、掲載希望の各号の担当者まで、
お気軽にお問合せください。

■トピックス募集

 当メルマガではトピックスネタを随時募集しています。出版関係のイベ
ントや展示会・講演会などを皆様より募集しております。できる限りその
まま紹介させていただきたいと考えていますので、トピックスの項で紹介
できるくらいの分量でのご投稿をお願いします。分量のだいたいの目安は
5行〜10行程度です。(←ココがポイント!)

■原稿執筆者もまだまだ募集しています

 特に古本業界・取次業界・電子書籍業界で、欲無く出版業界の未来のた
めの原稿を、無償でコツコツ毎月書ける方を引き続き募集しています。我
こそは、と思われる方は巻末の連絡先までご一報下さい。

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■ベストセラー、一歩手前/聞き手:aguni(あぐに)
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┌────────────────────────────────
│<<著者インタビュー>>

│ NLPコーチ 長岡高生さん

│ 『3日でやめる人 3年続く人
│  ──成功するまでヤル気を持続させる技術』

│ 10月26日(木)発売 日本実業出版 1,400円

│ ブログ:幸せと成功の法則 http://plaza.rakuten.co.jp/nlpcoach/
│ HP:NLPコーチ http://www.nlp-coach.jp
└────────────────────────────────

■この本が誕生したきっかけを教えて下さい。

長岡 本を出版した友人が居て、その友人と会ったときに、「私も本を出
すのが夢なんだ。」という話をしました。その数日後に、友人から「長岡
さん、本を出版したいっていう話、本気ですか?」という電話がありまし
た。「本気ですよ。」と答えると、本の企画を探している出版プロデュー
サーを紹介してもらえることになりました。

 その出版プロデューサーは、友人からの話しを聞き、私のブログを見て、
「書けそう」と感じられたようで、お会いしてお話しました。そして、先
ず「長岡さんの書きたい企画を出してください。」と言われ、企画書づく
りが始まったわけです。

 企画書は、何度も書き直しました。出版プロデューサーが見てOKにな
ったものを、出版社に持ち込んでもらって、何度もやり取りをして、著者
が「書きたいもの、書けるもの」−出版社が「書いてほしいもの、売れる
もの」というところで、企画書を書き直しました。

 その編集者とのやり取りの中で、この本の企画「3日でやめる人、3年
続く人」というタイトルのアイデアが出てきました。

■なぜこの出版社に決まったのですか?

長岡 「3日でやめる人、3年続く人」のアイデアが出てきた編集者の出
版社では、その企画は結局と通りませんでした。

 そのため、出版プロデューサーが今の出版社「日本実業出版」に企画書
を持ち込んでくれて、編集者の方が興味を示され、すんなりOKが出たの
です。

 そして、見本原稿を書いてください。というお話で、第1章を見本原稿
として書き、それを直してもらった上で、その第1章をベンチマークにし
て、2章以降を書こう、と考えました。

 第1章の見本原稿を見てもらった上で、編集者とお会いしました。する
と、「解かりやすいし、面白い、その調子で書いていってください。」と
いうフィードバックをもらいました。

 期間としては、2ヶ月ぐらい、というお話だったのですが、ほぼ1ヶ月
半で書き上げることができました。

■編集の担当の方に一言!

長岡 今回の本が決まるまでに、3人の編集者の方と、企画段階でやり取
りをして、本当に勉強になりました。最初は、かなり肩に力が入っていて、
硬い文章になっていたと思います。それが、編集者とのやり取りの中で、
もっと自然な文章で良いのだ、ということが解かり、自分らしい文章が書
けたように思います。3人の編集者の方には、とっても感謝しています。

 今の編集者の方には、実績のない私に、企画を読んだだけで、「書かせ
てみよう。」と信頼してもらったことに、心から感謝しています。

 そして、一々細かい注文を出さないで、伸び伸びと書かせてもらえたこ
とは、とっても有難いと感じています。
 
 出版プロデューサーは、企画段階から、出版社を決め、1校、2校など
の段階まで、原稿の細かく目を通して頂き、サポートを頂きました。感謝
しています。

■書籍を形にするまでにいちばん苦労したことは?

長岡 企画を形にするまでのやり取りです。先ず、自分が書きたいと思っ
ているテーマ、コンセプトを出し、出版プロデューサーとのやり取りを何
度かして、企画書を作成しました。

 その企画書を出版社に持ち込んで、編集者とのやり取りの中で、また何
度も書き直しして、企画をまとめることに一番苦労しました。

 途中で「自分は、本当に本を書けるのだろうか。無理なんじゃないか。」
と何度も思いました。しかし、出版プロデューサーに、励まされ、サポー
ト頂き、何とか出版に至りました。

■書籍を出版していちばんうれしかったことを教えてください。

長岡 原稿の段階で、友人に見てもらったのですが、「解かりやすいし、
面白い」と言ってもらったこと。自分の経験や知識が少しづつ本という形
になっていくプロセスがとっても嬉しかったです。
 
 出版は、これからなので、実際に本が店頭に並んでいるのを見て、読ん
だ人から、感想やフィードバックをもらえると、また嬉しさも湧いてくる
のだろうな〜、っと思っています。

■これから本を出したいんだけど、という方にアドバイスを!

長岡 先ず、その思いを口に出して、回りの人に、ブログやメルマガで、
伝えるこだと思います。私の場合は、たまたま本を出版したばかりの友人
に「私も本を出版するのが夢なんだ。」というような話を、雑談でしてい
たことがキッカケでした。

 そして、実際に出版プロデューサーや編集者とのやり取りの中で、文章
力も上がるし、いろいろなことを学ぶことができました。

 それで思うことは、先ず、行動できるところから、行動してみる、言葉
にしてみる、ということが大切だということです。

■最後に御著書の宣伝をどうぞ!

長岡 夢、目標に向かって、成功するまで続けること。そのためのスキル
を事例と解説によって紹介しています。原稿段階で読んでくれた友人から
は、「解かり易くて、面白い」と言われています。

 私のブログも、「すごく解かりやすい」と言ってもらっています。

 NLP(神経言語プログラミング)の本が最近、何冊か出版されていま
す。私は全部の本に目を通していますが、なかなか解かりやすく書かれて
いる本は少ないです。

 NLPに関する本の中では、一番読みやすく解かりやすい本であると自
負しています。ぜひ、ご覧いただき、購入いただきたいと思います。

 よろしくお願い致します。

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■平成浚師鑑(へいせいさらいやのかがみ)―――印刷屋の現場から/彫竹
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連載タイトル・筆名の由来

江戸時代、浮世絵版画の版を彫る際の、最もむずかしいとされる髪の毛の
生え際の細緻な部分の彫りを「頭彫り」と呼び、ここは彫り師の組織の中
でも親方クラスの職人が彫っていた。それ以外の比較的簡単な部分の彫り
のことを「胴彫り」といい、弟子が彫る。さらに、最も簡単な、絵柄のな
い部分の彫りを「浚い」といい、見習いクラスが彫る。つまり印刷屋を彫
り師の組織に見立てれば、「浚い師」とはその中でも最も下っ端、かけだ
しのことになる。
彫竹(ほりたけ)は浮世絵版画の彫り師の屋号で、よくあるありふれたも
の。

第一回 月印千江 ―――印刷は複製技術?
第二回 型破りな編集者 ―――安原顕さんのこと(その一)
第三回 型破りな編集者 ―――安原顕さんのこと(その二)
第四回 フランス表紙 ―――印刷の端なき誤解(その一)
第五回 ゴシック体(その一) ―――印刷の端なき誤解(その二)
第六回 ゴシック体(その二)―――印刷の端なき誤解(その三)
第七回 わかりにくい業界用語
第八回 アミ点曼荼羅
第九回 横文字アレルギー

●第六回 ゴシック体(その二)―――印刷の端なき誤解(その三)

さて、前回の「ゴシックの誤解」には、続きがある。
日本でゴシック体と呼ばれている書体は、アメリカで創作されたサンセリ
フ書体「オルタネート・ゴシック」が日本に輸入された後、長い書体名を
略して単なる「ゴシック」と呼ばれたために、日本ではゴシックとサンセ
リフが同義語となってしまった、と書いた。
だが、この通説自体も誤解の産物のようなのだ。

なぜなら、アメリカには他にも「ゴシック」という名のついたサンセリフ
書体があるからだ。例えば、「オルタネート・ゴシック」はモリス・フラ
ー・ベントンというデザイナーが1903年に開発した書体だが、同じデザイ
ナーにも「フランクリン・ゴシック」というメジャーな書体がある。ゴシ
ックとサンセリフは、アメリカでも同義語として使用されているのだ。
試みに、英語版ウィキペディアを引いてみた。次のようにある。

英語では、「ゴシック」はサンセリフ書体を表す今では流行遅れの用語で
ある。そう呼ばれるようになったわけは、初期のサンセリフ体の文字組み
をした時の、紙の白と文字の黒の対比の感じが、ゴシック・スクリプトに
似ていたからだ。(筆者訳)

ゴシック・スクリプトとは、中世風の手書き文字で、グーテンベルクが四
十二行聖書で採用したものもこの一種だ。初期のサンセリフ書体を見た19
世紀のアメリカ人の目には、どうやらこれがひどく古びた、したがって
「ゴシック=グロテスク」的なものに見えたようなのだ。この書体が登場
した19世紀は、何でも変わったものが好まれる悪趣味の時代だった。蔑称
であるはずの「ゴシック」は建築や小説の世界では、悪趣味であるがゆえ
に流行の先端をゆくスタイルだったが、どうやら書体の世界でも同じだっ
たらしい。ちなみに、サンセリフ書体はヨーロッパでは「グロテスク」と
いう別名をもっている。言葉というものは、違う場所に伝わったり、時間
がたったりすることで、それに付随する表象がこんなにも変化してゆくも
のなのだ。

実は、初期のサンセリフ書体は、確かに洗練を欠いたグロテスクなものだ
ったようだ。第一次世界大戦前後から、改良されたサンセリフ書体が発表
されはじめ、1928年には名作といわれる「ジル・サンセリフ」が発表され
た。こうしてサンセリフ書体は、呼称はともかく、見た目においてはゴシ
ック=グロテスクではなくなってきた。
ウィキペディアの続きを見てみよう。

「ゴシック」という用語は、「サンセリフ」という言葉に置き換わって、
英語では今やほとんど使われていないが、日本ではいまだにセリフのない
書体をあらわすスタンダードな用語である。

日本の「ゴシック体」という名称は、誤解からうまれた誤解の産物である。
なんだかこの話しそのものが「ゴシック」めいているではないか。

筆者HP:ごろくと工房
http://homepage2.nifty.com/gorokutokobo/

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■「神戸発、本棚通信 / 大島なえ」
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 第十八回:大阪の味

 ようやく秋らしい気候になってきました。温暖化の影響だろうけど、毎
年夏が暑すぎで秋風が吹く頃に、夏の疲れが出て夏バテならぬ秋バテする
のは私だけ?
 その少しお疲れ気味な体を、えいやと起こして9月27日の朝から大阪
は天満宮で毎年ある「天神さんの古本まつり」へ行ってきた。まず行く前
は肩にかけられる大きめのショルダーバッグにいつものメモ帖、眼鏡、サ
イフ等は勿論、ペットボトルに六甲のミネラルウォーターを入れ、タオル
ハンカチにアメも詰めて鞄を整えてから、ジーパンにシャツ、履きなれた
ベタ靴の「古本者」スタイルで阪神電車に乗っておりました。別に誰が決
めたワケじゃないが、これがあるとしんどくない的なグッズで、個人個人
で細かい持ち物が違ったりするよう。(アメじゃなくチョコレートが良い
とか水じゃなく烏龍茶派だとかね)なんせ、まだ暑さが残っているし長い
時間、古本台にへばりついて本を見て回るのでノドも乾くし甘いものも口
に入れて疲れを取りたくなる。

 そんな用意をするのも、なんとなく遠足へ行く子どもの気分と少し似て
楽しいのだけど、天神さんは神社の境内である古書市なので雨さへ降らな
ければ野外の気持良さと、古い神社の木々が影を落としたりで私は、関西
の古書市では、一番好きなのだった。特に百円均一は有名でかなり大きく
はじめて行った時に、ここに来るだけでも毎年来たいなぁ。と思った。神
社の境内でする古本まつりは、関西では下鴨神社が8月のお盆頃にあり、
真夏の納涼古本まつりと銘打っているが、相当暑いので暑さにすごぶる弱
い私は、なかなか参加できない。(いつも仕事なのもある)規模的には、
天神さんは小さいけど9月の終りのお彼岸も過ぎた今頃は気持良く、大阪
は近いので毎年参加している。この後に11月の文化の日前後に百万遍の
古本まつりが知恩寺(知恩院じゃないよ)である。大きなビルの広いフロ
アである古書市は天候に左右されないし足の便も良いと思うが、昔ながら
の古い神社の境内で古本の台をひろげてする古書の市は、のんびりして又
野外の気持良さもあり、私はどれも好きだ。

 この日は、百均台で『武田麟太郎 坂口安吾 織田作之助 集』(日本
文学全集55)昭和37年初版 新潮社 を一冊拾ったが、この中の織田作
之助の「夫婦善哉」を今頃ようやく読んだ。織田作之助は、大阪の流行作
家で黒いマントを着て、難波や天満の道を毎日散歩して街の人から「オダ
サクさん」と呼ばれていた。かなり変人と見られていたらしい。売れッ子
作家が東京へ出ていくのに、オダサクは最後まで大阪を愛し愛妻の死後、
自身も追うように亡くなった。「夫婦善哉」は大阪の路地裏長屋が舞台の
庶民的な中間小説と呼べるものだろう。しかし読んでいて、じわっと溢れ
てくる大阪独特の匂いがとても良い。私の母方は祖父が天満で何かの商売
をしていたらしく親戚も母方は全て大阪で、言えば半分大阪人の血がある。
祖父の墓も、その関係で天六の長柄の霊園にありそこに一昨年亡くなった
おばあちゃんの骨もあり、お墓参りに子どもの時分から天神さんのあたり
を歩いていた。今は、「夫婦善哉」のような風情はないが読むと今でもあ
る店が出てきたり、長屋の風景や大阪弁がなつかしい。天神さんで、偶然
オダサクに出会ったのも、神さんの気まぐれな気がした。

◎大島なえ(おおしま・なえ):1958年生。神戸在住のふらふら兼業
主婦もしている。9月の風と共に『たんぽぽ娘』ロバート・F・ヤング
(創元推理文庫)を探して手に入れて読んだ。9月が終わるまでに読みた
かったのだ。
フリーペーパー「ほんの手帖」発行人。書店巡り愛好者。
 http://www.geocities.jp/nmzdrysk/nae/naeix.htm

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■声のはじまり / 忘れっぽい天使
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第10回 「ぴあ」のある生活

 美術館、映画館、ライブハウス・・・ぼくは鑑賞したいアートの情報元
を主に雑誌の「ぴあ」に頼っている。ネットで検索して情報を得ることも
もちろん多いのだが、様々な分野のアートを、紙という安定度の高い素材
の上で一覧できるメリットは、やはり何物にも替えがたい。最新号の「ぴ
あ」を持っていけば入場料が割引になる所もある。昔は読み物としての面
白さで突出していた「シティロード」の方を重用していたこともあったの
だが、惜しくも休刊してしまってからは「ぴあ」一本である。

 「ぴあ」は1972年に、月刊情報誌として始まった。社長の矢内廣は
当時中央大学に在学中だった。学生ベンチャー企業の体質は、その後のぴ
あのフットワークの軽さを決定づけるものになったようだ。様々な出版物
の刊行、「グルメぴあ」の設立、自主制作映画の祭典「PFF(ぴあフィ
ルムフェスティバル)」の開催、そして中でも一番大きな事業は1984
年の「チケットぴあ」の開設だろう。それまでコンサートのチケットは、
わかりにくい場所にあるプレイガイドを苦労して訪ねて、ようやく手に入
れていたものだった。「チケットぴあ」はネットワーク化という点で突出
しており、各所にある「チケットぴあ」のどこからでも同じ条件でチケッ
トを入手できた。これは、1980年代前半という時代を考えると画期的
なことだったと思う。もちろん現在、オンラインによるチケット販売に大
きな力を注いでいることは周知の通りだろう。

 「ぴあ」の成功は、情報というものは「多様性」を網羅することに価値
があるという考え方を早くから打ち出している点にあったのではないかと
思う。人気が集中しそうな情報を大きく扱うことは、新聞広告でもできる。
だが、マドンナのコンサートも、小さなライブハウスでの新人ミュージシ
ャンの活動も、同列に扱うベクトルを持つことは、本や雑誌のようにじっ
くり時間をかけて読み解いていく媒体でなければできない。アーティスト
の有名無名に対し、誌面の中の記事としては当然扱いに差をつけるけれど、
スケジュール表の中の情報としては同等の価値を持たせるのだ。

 こうしたフラットな情報開示の仕方というものは、ぼくの深読みかもし
れないが、恐らく学生企業家であった創業者が抱えているある哲学に関わ
っている。
それは、表現をしたい全ての人には、表現をすることについての同等の権
利がある、というものだ。「ぴあ」はエンターティメント情報を求めてい
る人々になるべく多くの手がかりを提供するという意図の他に、たくさん
の表現をしたい人・表現のプロデュースをしたい人を助けるという意図も
持った上で創刊されたのではないだろうか。

 2006年10月5日号の「ぴあ」の誌面を見てみる。トピックスを集
成した“Heads up”の部分では、氷室京介のニュー・シングル、
映画『ハリー・ポッター』最新作のレポート、「K−1 GP」開幕戦な
どのホットな話題がズラリと並ぶ。そして亀田興毅、小西真奈美らスター
のインタビュー記事が続く。しかし、各ジャンルのコーナーに移ると、映
画のコーナーでは日豪交流年を記念したオーストラリア映画祭の開催が、
音楽のコーナーでは軽井沢で催される国際オーボエコンクールが、ステー
ジのコーナーでは七里ガ浜オールスターズによる若手の劇作家・前川知大
の作品の上演が、小さいスペースながらピックアップで取り上げられてい
る。それぞれコアな映画ファン、クラシック音楽ファン、演劇ファンでな
ければ、何の興味も惹かれない情報かもしれない。しかし、こうしたピッ
クアップは、「ぴあ」がどの分野に対しても目配りをしている事実をさり
げなく示すものだ。どの分野のどんな領域にも、表現をしたい人とそれを
受け止めたい人がいる事実を。「ぴあ」を一冊の本として隅から隅まで目
を通してみると、トピックスの記事からもたらされる見かけの華やかな印
象とは異なり、アンダーグラウンドな情報を基調として編集されているこ
とに驚かされることだろう。

 機会においての平等主義、結果においての実力主義を説く人は多い。こ
れはビジネスに関しては正当な原則であろう。しかし、表現に関しては違
う。結果における「実力」は、表現の世界では必ずしも動員数では測れな
い。と言うよりも、「実力」という概念では測れない側面のほうが、表現
の世界では「重要すぎる」のである。それならば、情報の提供の仕方は、
アーティストの人気順ではなく、なるべく網羅的でフラットであったほう
がよい。そして利用者は、
各自の興味に従って多くの選択肢の中から足を運びたい興行を主体的に選
ぶ行為を行ったほうがよい。表現者は気楽に自分の活動に関する情報を提
供できたほうがよい。ちょっと買いかぶりすぎかもしれないが、「ぴあ」
には、消費社会が同時に表現社会でもあって欲しいとする願いがこめられ
ているのではないだろうか。

 もちろん「ぴあ」の情報は万能ではないし、第一、催しを楽しむことは
数をこなすことではない。ゆっくりじっくり、自分の目と足を使って、納
得いくものを見に行くのがいいですね。それよりも、何かを見て聞いて、
感動を覚えたなら、それについて誰かと深く話しあう時間を作ることが、
実は結構大事なことではないかと思いますよ。

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■あとがき

 aguniです。改題しました「ベストセラー、一歩手前」ですが、
 これからベストセラーになりそうだな、
 あるいは、ベストセラーまではいかないけれど、頑張っています
 という本をご紹介 していければ、と思っています。

 メールにて、インタビューを受けていただける著者の方、募集中です。

 【著者インタビュー希望】と表題の上、
 下記のアドレスまでお願い致します。

 5日号編集同人「aguni」まで hon@aguni.com

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私が最も好きな作家の一人、織田作之助の代表作。 私はもともと、戦後無頼派と呼ばれ
| 販売戦略コンサル、ユミの「オススメ本ブログ」 | 2006/10/09 12:00 PM |
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