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[本]のメルマガvol.262
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□■[本]のメルマガ【vol.262】2006年09月25日発行 http://honmaga.net/
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□■     創刊は1999年5月10日、現在の読者数は6739名です。
■□ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました。
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★ トピックス
→注目の業界情報。店頭でもオンラインでも買えます、絶版文庫。

★「ぼくたちが本と出会うときのこと」/ 内沼晋太郎
→もうすぐ実現できるかもしれない、「幸せな読書のためのホテル」。

★「書店様、今日もお伺いします」/ 佐藤都
→街に出よう。日々過ごしている日常の中に営業のヒントは沢山ある。

★「ユートピアの探求」/ 五月
→拙ブログの「今週の注目新刊」で取り上げた261社の頂点に立ったのは。

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■トピックス
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■紀伊國屋書店とふるほん文庫やさんのコラボ販売、好評展開中

いったん品切になるととたんに高騰する不思議な紙の束、文庫本。ついつい買
いそびれて、某オンライン書店やオークションサイトで定価の倍以上になって
しまった文庫本を見て、嘆いている皆様におすすめの、「紀伊國屋書店・絶版
文庫フェア」。「ふるほん文庫やさん」が提供する1万冊以上の絶版文庫を店
頭とオンラインで販売。探している絶版商品を一年間登録できる客注制度もあ
り。紀伊國屋書店とふるほん文庫やさんの提携フェアは今回で11回目。「今後、
年間 20回のフェアを開催する予定」とのこと。

フェアご案内→ http://www.kinokuniya.co.jp/nb/bw/furuhonbunko.htm

◎紀伊國屋書店新宿南店3F:06年9月28日まで。
◎紀伊國屋書店クレド岡山店:06年9月30日まで。

◎紀伊國屋書店福井店:06年10月14日〜11月5日
◎紀伊國屋書店徳島店:07年1月16日〜1ヶ月間
◎紀伊國屋書店大分店:07年1月20日〜2月12日
◎紀伊國屋書店熊本店:07年5月11日〜5月31日

店舗案内→ http://www.kinokuniya.co.jp/04f/index.htm

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◎[本]のメルマガ25日号では、古書を積極的に扱っている新刊書店さんを
◎応援しています。販売情報やリサイクル情報を、担当「五月」までお寄せ
◎下さい。宣伝いたします。お待ちしております。biblia_hp@infoseek.jp
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★PR★平 凡 社 の 新 刊★ http://www.heibonsha.co.jp

『兼好法師の虚像――偽伝の近世史』(平凡社選書226)

川平敏文=著、税込2940円、46判316頁、ISBN:4-582-84226-7

『徒然草』の作者、兼好法師とはいったい何者だったのか? 近世初期からの
徒然草ブームのなか、兼好の伝記資料が「発掘」された。芭蕉もその流布に一
役買ったこの資料はしかし真っ赤な偽物、にもかかわらずこれをもとにいくつ
もの伝記が書かれ、兼好像はいくどか変転する。好色法師、まことしき隠者、
そして南朝の忠臣……明治後半まで信じられていた偽りの兼好像の顛末を活写
する、気鋭による〈偽伝の文化史〉。
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『制度通(1)』(東洋文庫754)

伊藤東涯=著、礪波護・森華=校訂、税込3045円、全書判358頁、
ISBN:4-582-80754-2

江戸期の儒学者伊藤仁斎の息子東涯が、中国歴代の諸制度の沿革を記し、日本
の制度全般との関係を項目に分けて説き明かす。すぐれた東アジア制度史であ
り、今日の使用に堪える基本的書物。全2巻。

東洋文庫次回配本は10月刊→『制度通(2)』
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■「ぼくたちが本と出会うときのこと」/ 内沼晋太郎
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第18回:幸せな読書のためのホテル

 ホテルに泊まると、部屋の引き出しには大抵、一冊の聖書が入っている。そ
して、ホテルの利用規約とかいろいろな施設の案内とか、周辺の観光情報とか、
そんなものが挟まっているファイルのようなものが、まあ大抵、あることが多
い。あとその他に、本らしきものは、見当たらないのが普通だ。

 ところで栗田有起さんの作品に、『オテルモル』という小説がある。舞台は
「幸せな眠りのためのホテル」。誰でもそれまで体験したことがないくらいに
気持ちよく眠ることができる不思議なホテル(正確には「オテル」)で、快眠
を求めて日々会員の常連客がやってくる。そのホテルでスタッフをすることに
なった主人公の、業務の日々を描いた作品だ。

 この「幸せな眠りのためのホテル」は、それなりに実現可能かもしれない。
すべての環境を眠りのためだけに、ひたすら最高級のものに仕立て上げた客室
――ひょっとしたら既にどこかで試みているホテルがあるかもしれないし、そ
れを想像するだけでちょっと眠くなってきてしまうけれど、ところでそれなら
ば「幸せな読書のためのホテル」というのはどうだろう。

 旅に出るときには必ず本を持っていく、という人はたくさんいるだろう。ぼ
くもその一人で、一人旅の場合は、本を読むために旅に出ているような気分に
なってくるくらい、その本と自分の旅とがシンクロすることが多い。選ぶのは、
できれば文庫本がいい。長い旅の場合はすぐに読み終わってしまわないように、
小説ではなく評論や思想書の類を持っていく。実際ぼくの場合は、学生時代に
3週間かけて青春18きっぷで国内をフラフラしたとき、持っていったスーザン・
ソンタグの『反解釈』を読み切るのにちょうどいい長さだった。しかし必ずし
も、いつもそう上手くいくとは限らない。荷物ができるだけ少ないほうがいい
から、途中で読むものがなくなってしまうことも多い。

 旅先で一番長く本を読んでいるのは、移動中の電車などの乗り物か、夜のホ
テルだ。それなのに、ホテルの部屋には、聖書とファイルしかない。たとえば
そこに、そのホテルのブランドと顧客層に合った、よく選ばれた良書が詰まっ
た、大きな本棚があったらどうだろう。旅先で一人で過ごす、長い夜。読み終
わった文庫本の次に、どれを読もう。部屋に用意するのだから、コスト的に少
し高価な部屋になるだろう。どうせならあるいはいっそ備品のタオルのような
感覚で、読みかけの本を持ち帰れるサービスがあってもいい。あるいは部屋で
はなくロビーのような場所や、もしくは専用の図書室を作って、そこから自由
に持ち出した本を、自由に、部屋で読む。読みかけて続きが気になったら、冷
蔵庫のドリンクのように、あと清算で買うことができてもいい。

 実際「ホテル 図書室」で検索すると、いくつものホテルがヒットする。そ
れらは、だいたい海外のリゾートホテルだ。そこがさらに、小説の世界のよう
な「幸せな読書のためのホテル」であったなら。ちょうどよい高さと硬さの椅
子と机、いくら寝転がって読んでも疲れないベッド。穏やかに舞い込んでくる
風の香り。快適なのに、なぜだか眠くはならない不思議な緊張感。そして、な
ぜだか読みたい本ばかり並んでいる本棚。本の世界にどんどんと引き込まれて、
気づくといつしか時間を忘れて何冊も続けて読み耽ってしまうような、そんな
ホテルがもしあったなら――なんて素敵な妄想だろう。

 どこまでできるかはわからないけれど、実はいま、インテリア会社とホテル
のコンサルタントと組んで、「本棚のある客室」「本のあるロビー」を実際に
計画中である。アパレル向けの本棚作りも、だいぶ面白くなってきた、その次。
本のあるところ/あるべきところはまだまだ、いくらでもある。どこへでも出
て行こうじゃないか。


◎内沼晋太郎(うちぬま・しんたろう):1980年生。本屋・企画屋。本との出
会いをテーマに活動するユニット「ブックピックオーケストラ」代表、原宿神
宮前「TOKYO HIPSTERS CLUB」ブックコーディネイター。また今月は、同じく
ブックコーディネイトを手がけた成城学園前「HANSEL & GRETEL」、新潟長岡
「HACHITEN」がそれぞれオープン。http://needtosleep.net
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■「書店様、今日もお伺いします」/ 佐藤都
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気付いたら夏が終わっていました。年を取ると一年が短くなるというのをひし
ひしと痛感しております。こんにちわ。佐藤です。

ここ数回柔かい話題が続いたので、今回は少しまじめに、本を売るヒントにつ
いて考えてみたいと思います。

出版不況といわれて久しいこの頃。先輩方の「本が売れなくなった」というお
言葉もよく耳にする昨今です。幸か不幸か、私は出版が好況だった頃を知りま
せん。この仕事に就いたときから「若者の本離れ」「出版社の倒産」「出版不
況」という言葉を聴かされて働いてまいりました。

比較するべき時代を知らないので、そう言われても実感として今ひとつわから
ないのが正直な思いです。データを見ると、減っているというのは分かるので
すが、現在を基準に考えてしまうので「昔はたくさん刷ってたなぁ」「昔はた
くさん出てたなぁ」と感じてしまうのが本当のところです。

しかし、売れない売れないと嘆いていても、それでは何の解決にもなりません。
売ることが仕事なのですから、それを放棄してしまっては何も始まりません。

などとポジティブな考えを書いてしまいましたが、実際落ち込むことも多いで
す。うまく受注が取れなかったり、目減りしているデータを見るたびにどうし
たらいいんだろうかと思ってしまうのも事実です。

迷ったとき、私は街に行きます。電車の中吊りを眺め、あてもなくデパートを
ぶらぶらしたりします。そういうところに意外な発見があったりして、救われ
るときも少なくないのです。雑誌の中吊りや広告は、今一番新鮮な情報があふ
れているし、季節を先取りしたショウウィンドウは、フェアの案を与えてくれ
ます。

具体的にいうと(この号が出る頃にはどうなっているか分かりませんが)週刊
誌では皇室関係、それに関連した皇室典範改正問題、次期首相などがピック
アップされていることが分かります。

既に秋服に身を包んだマネキンからは、秋のフェア、例えばアート関係、食べ
物の本など、また、高校野球からは今年「ハンカチ王子」というヒーローが生
まれたのでスポーツ、野球関係の本を集めるのも面白いかもしれません。

こんなふうに、日々過ごしている中に営業のヒントは沢山あると思います。

編集の皆さんよりも、私たち営業担当者は日々街の中にいます。その街の中に
こそ、いろいろな情報が飛び交っていて、それを出来るだけキャッチできるよ
うに、自分の感度を高くしていなければいけません。

それは疲れることではあります。ただ、それが出来なくてはつとまらない仕事
だと思っています。街に出て、書店を訪問して、その中でノイズのように飛び
交う雑多な情報を選りすぐり、頭の中で関連付け、売るヒントにしていかなけ
ればいけないと感じています。

書籍営業にとっては数字を見て、グラフを見て、エクセルと戦うのも大事なこ
とですが、街には無限の、売れる可能性があふれています。書を捨てよ、町へ
出よう、といったのは寺山修司ですが、書籍営業にとっては自社の本と拡材を
携えて、町へ出よう、なのではないかと思っています。


◎佐藤都(さとう・みやこ):1980年生まれ。某出版社営業部勤務。
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◎◎
◎◎[本]のメルマガ25日号「私の〈理想の書店像〉」読者投稿大募集!!
◎◎
◎◎「こんな本屋があったら」「あんなサービスがあったら」……実現が
◎◎可能かどうかは問いません。みなさんの妄想を炸裂させてください。
◎◎自由なイマジネーションこそが業界の明日を救う!文字制限は1200字
◎◎ていどまで。簡単なプロフィールを添えて(ペンネームOK)、25日号
◎◎「理想の書店像」係、担当「五月」biblia_hp@infoseek.jp までどし
◎◎どしお送りください!お待ちしております。毎月20日締切。順次掲載
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■「ユートピアの探求」/ 五月
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◎「今週の注目新刊」の約1年半、全68回を総括してみると

もう遥か昔のことのように感じるのだけれど、オンライン書店「bk1」で、人
文思想書の新刊を毎週紹介する「人文レジ前」というコーナーを、2001年6月
から2004年6月までやらせてもらっていた。同時期に、メタローグの隔月書評
誌『レコレコ』や、同社の年刊特集誌『ことし読む本いち押しガイド』、そし
てNTT出版の季刊誌『インターコミュニケーション』などへ書評を寄稿させて
もらっていたおかげで、人文書全体の底上げに微力ながら貢献するという私個
人の願望の一端が果たせたように思う。

人文書の宣伝というのはしかし地味なもので、上記の仕事はすべて節目を迎え、
一昨年の夏は「これからどうしようか」と辺りを見回したものだった。どうも
風向きはよくなかった。多数の人文書版元のたゆまぬ営業努力は変わらず続い
ていたのだけれど、会社の枠組みを超えて、人文書販売の底上げをするという
作業は、書店さんにとっても、読者にとっても、今なお見えにくいものになっ
ているのではないかと思う。

「人文レジ前」を終了するおよそひと月前の2004年5月6日、「ウラゲツ☆ブロ
グ」を立ち上げた。そして「人文レジ前」を終了後に、「人文レジ裏」という
ブログも立ち上げた。前者は仕事がらみだから否応なく継続していったけれど、
後者は活動方針が定まらず、ほどなくやめてしまった。しかし、新刊を毎週
チェックするという作業は自分にとってやはり欠かせるものではなく、また、
幸いにも複数の方から「人文レジ前」を惜しむ声を頂戴していたので、「ウラ
ゲツ☆ブログ」の中で、「今週の注目新刊」というコーナーを立ち上げた。
2005年4月17日のことだ。

本業である出版業と、新刊を紹介するライター業を以前までは立て分けていた
けれど、もはや分離する必要もないと思った。私は本の海の中で生きている自
分を再認識した。業界に入ってからというもの、自社他社の区別なく、素晴ら
しいと思った本はもともと宣伝し続けてきたのだし、自分の会社の本もそうし
た本たちの網目の中で生かされるものなのだから、本の海の中に住まう自分の
あらゆる志向性をブログにさらけ出そうと思ったのだった。

ブログで「今週の注目新刊」を始めてから今月(2006年9月)いっぱいで、全
68回を数える。このうち、新書や文庫、ライブラリー、ブックレットを除く単
行本だけで集計してみたところ、261社の版元の760冊を取り上げてきたことが
わかった。集計する前に好物のティママンのグーズを飲んだせいで、時折譫妄
状態の中でカウントが怪しくなった場面もあるが、概算数字としてはほぼこん
なものかと思う。

われながら興味があったのは、どこの版元の本を一番多く取り上げてきたか、
だった。結果は自分が予想していたのとは違っていて若干驚きもしたが、納得
できるものではあった。10冊以上を基準にして順位にすると以下の通りになる。

1位:みすず書房、42冊
2位:岩波書店、32冊
3位:法政大学出版局、30冊
4位:青土社、27冊
5位:河出書房新社、25冊
6位:平凡社、17冊
7位:作品社、16冊
8位:明石書店、14冊
8位:人文書院、14冊
10位:春秋社、13冊
11位:NHK出版、12冊
11位:水声社、12冊
13位:白水社、10冊
13位:藤原書店、10冊
13位:講談社、10冊
13位:新曜社、10冊

まず驚いたのは、みすずがダントツのトップだったことだ。これは全く意識し
ていなかった。もうひとつ驚いたのは、講談社が上位に入っていることだった。
私にとって大手の本は文庫を除いてそのほとんどが興味を惹かないから、最大
手はほとんど取り上げていないはずなのだけれど、それでも10点もある。作品
社が7位なのは、自分の古巣であるという背景もあるかもしれないが、別段贔
屓したわけではない。げんにもう一つの古巣である未来社はもう少し順位が下
になる。

思い出せば、大学生の頃、生協で人文系版元の全点フェアが行われていたとき
には、よく大量買いをしていたものだった。特にみすず書房のフェアではあれ
もこれもと欲張ったものだった。なるほど、私は今も昔もみすずファンらしい。
いずれにせよ、上位のみすず、岩波、法政、の三社はおそらく私自身が無意識
のうちに目標としている版元の理想形であるのかもしれない。

上記のデータは、その版元が年間で何点刊行しているかを参考にすると、また
違った順位表を作れるのではないかと思う。例えば、上記のランクにはないが、
哲学書房や洛北出版の新刊はほぼすべて漏れなく関心を払っている。各版元が
刊行した本のうち何点を気に入っているか、そういう切り口ならば、順位はお
のずと違ってくるだろう。

なお、単行本の上位ランクには筑摩書房が入っていないが、同社は文庫新書の
部門ではおそらくトップになるのではないかと思う。ちくま学芸文庫、岩波文
庫、講談社学術文庫、平凡社ライブラリーが大方を占めるだろう。

今回気づいたことがもう一つある。私は選書において「bk1」時代から、図書
館流通センター(TRC)の「週刊新刊全点案内」を常に参照していたのだけれ
ど、まことに腹立たしいことに、同サービスを含む「ブックポータル」は2005
年8月24日で終了してしまった。毎週1100〜1500点をチェックしていた時は、
零細版元の良書をけっこうピックアップできていた、ということがよくわかっ
た。

現在利用している、bk1の日替わりの「新入荷一覧」は、24時間以内に発送可
能な書籍から選択的に掲載されているため、データ登録はされたけれど、まと
まった部数をTRCが仕入れていない零細版元の新刊の多くは、「見えなくなっ
てしまった」のだ。

これの穴を埋めるには、ジュンク堂書店のような超大型書店に行って、新刊棚
を巡回してくるしかない。むろん本屋巡りは大好きなので、苦痛ではないけれ
ど、ネットで一括してデータベースを見れば良かった頃の便利さと合理性には
遠く及ばない。本屋巡りというのは社会人にとっては、時間の余裕がなければ
できない贅沢なのだ。

さらにもうひとつの贅沢があることに「今週の注目新刊」では毎回気づかされ
る。自分がピックアップした新刊をすべて購入した場合、毎週数万円ずつの出
費となり、一ヶ月で十万円以上をかけなければ、注目新刊を買うことが不可能
なのだ。残念ながらその経済的余裕は私にはないし、たとえ買えたとしても、
今度は本の置き場所に困るだろう。「注目新刊」の一覧と、リアルに買った本
のリストは当然異なることになる。「良書」の類を購入し続けるのは金持ちで
なければ無理だし、その本を保管するのも、それなりの大きな書斎と設備を構
えなければ無理だ。ようするに贅沢なのである。

さきほど「ブログですべてをさらけ出す」と書いたけれど、私は新刊をチェッ
クする以上に、実は古書を漁っていてるということを、さらけ出しては「いな
い」。新刊はともかくとして、どんな古書を漁っているのかをもし明かしてし
まったとしたら、私の仕事場と趣味はほとんど丸見えになってしまう。本当の
ことを言えば、自分にとって「今週の注目古書」は「今週の注目新刊」同様、
あるいはそれ以上に面白い。広く情報を共有してみたい気もするけれど、漁書
においてライバルである諸姉兄に塩を贈るわけにはいかない。

いつか仕事を引退することになったら、そしてそのときにまだブログをやって
いたら(やっていない気がするが)、「今週の注目古書」を始めてみたいなと
思ったりする。


◎五月(ごがつ):1968年生まれ。月曜社取締役。本誌25日号編集同人。
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『ピーク・オイル・パニック――迫る石油危機と代替エネルギーの可能性』

ジェレミー・レゲット=著、益岡賢ほか=訳
税込2520円、ISBN:4-86182-103-7 【9月28日店頭発売】

世界は、史上最悪のエネルギー危機を乗り越えられるか? 石油業界が隠しつ
づけるピーク・オイルの真実を明らかにし、世界的経済パニックの回避に向け
て代替エネルギーの可能性を示す。欧米で話題騒然のベストセラー。
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『日本残酷写真史』

下川耿史=著、税込2100円、ISBN:4-86182-095-2 【9月29日取次搬入】

江戸末期から戦後まで、秘蔵写真170点。江戸時代の「さらし首」「はりつけ」
「切腹」の写真から、明治の斬首、大正の猟奇犯罪、関東大震災の朝鮮人虐殺、
日清・日露・太平洋戦争の無残な戦死者、そして戦後まで。近現代日本の最暗
黒を容赦なく露呈させる、痛烈なる陰画史。
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『業火』

佐川一政=著、税込1890円、ISBN 4-86182-098-7 【9月28日店頭発売】

1981年6月「パリ人肉事件」その後……父は脳梗塞に倒れ、母は精神を病み、
弟は心因性喘息に。自らの家族を一瞬にして崩壊させた後も止まらぬ、悪行の
数々。事件後の家族の悲劇と宿業を虚飾なく描く、衝撃の問題作。愛は悪も育
てる。
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『愛の新世界』

シャルル・フーリエ(1772-1837)=著、福島知己(1971-)=訳
税込8190円、A5判上製716頁、ISBN:4-86182-089-8 【好評発売中】

そのあまりの先鋭さ故に長らく封印されていた幻の奇書、ついに全貌を現わす。
惑星規模の文明の大革新を予言し、来たるべき新世界における愛の調和的多様
性を説いた稀代の幻視者フーリエによる、恋愛のユートピア! 限定800部。
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『地上の迷宮と心の楽園』

J・A・コメニウス=著、藤田輝夫=訳、相馬伸一=監修 
税込3780円 A5判上製268頁 ISBN:4-88713-703-6

三十年戦争下の絶望的状況のなか、現世の虚偽への批判を通して心への回帰に
至ったコメニウスの精神の軌跡が描かれる。教育者としてだけでなく、汎知学
者としてのコメニウスを紹介する「コメニウス・セレクション」第一回配本!
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『修道女が見聞した17世紀のカナダ――ヌーヴェル・フランスからの手紙』

門脇輝夫=訳、竹中豊・小林順子=解説
税込10290円、A5判上製518+17頁、ISBN:4-88713-699-4

ヌーヴェル・フランス=17世紀カナダの姿を克明に記した書簡集。本書の主人
公である修道女マリー・ド・レンカルナシオンは、フランス人として生まれ、
宣教のためにカナダに渡り、ケベック人として死んだ。母国フランスは、モリ
エールやデカルト、さらにはルイ14世治下の栄光の時代だったが、彼女の生き
たヌーヴェル・フランスとはどのような世界であったのか。母国へ宛てて書き
続けた手紙から、今まで知ることのなかった歴史的事実が明らかになる。

目次:第一部=海を渡ってカナダで宣教する動機/第二部=カナダへの出発/
第三部=先住民の間で先住民と共に/第四部=イロクォイ人の襲撃の中で/第
五部=ラヴァル司教の権限下で/第六部=国王ルイ14世の治下で
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『生命の神聖性説批判』

ヘルガ・クーゼ=著、飯田亘之ほか=訳
税込4830円、A5判上製346頁、ISBN:4-88713-681-1

こんにち、安楽死・尊厳死をめぐって、法律・医学・倫理学等の各分野から、
あらためて問い直しがなされている。本書は、安楽死・尊厳死論の名著であり、
その生命の「質」からのアプローチは、われわれに新しい視野をひらいてくれ
る。『ケアリング』(メディカ出版、2000年)で知られる生命倫理学者による、
新たな問いかけ。
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『ルネサンス宮廷大全』

セルジョ・ベルテッリ=著 川野美也子=訳
税込5040円 A4変型判上製400頁 ISBN:4-88721-727-7

華麗なる世界へようこそ! ルネサンス期に花開いたいたイタリアの諸宮廷を
見渡しながら、知らざる聖域のすべてを具体的エピソードと豊富な図版により
読み解く、魅惑のイタリア歴史紀行。
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『「私を忘れないで」とムスリムの友は言った
   ――シルクロードをめぐる戦争と友情の10年』

クリストファー・クレイマー=著、日暮雅道=訳
税込2940円、46判上製550頁 ISBN:4-88721-725-0

国境、戦争、異なる民族・宗教……型通りの言葉ではおさまらない中東諸国の
人々の素顔の記録。アフガニスタン、パキスタン、イラクなど豊かな文化を誇
るオールド・シルクロードの国々を、10年にわたって旅した著者が描く。混迷
し疲弊しながらも友情と職人芸とユーモアを忘れない、イスラム世界の人間的
部分を鮮明に描く物語。
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『歪んだ建築空間――現代文化と不安の表象』

アンソニー・ヴィドラー=著 中村敏男=訳 
税込3990円 46判上製510頁 ISBN:4-7917-6292-4

パスカルの強迫観念、フロイトの恐怖症、ル・コルビュジエの「えも言われぬ
空間」、ベンヤミンの一方通行路、ドゥルーズの「襞」、リベスキンドのヴォ
イド、そして他領域と交雑する現代建築家たち……近代の成立とともに孕まれ
た症候が折れ曲がり、褶曲して、最先端の建築、アート、サイバー空間に再浮
上する。現代の不安の根源をさし示す野心的な空間論。前著『不気味な建築』
(鹿島出版会、1998年)に続く、建築論の最前線。
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『現代思想』 二〇〇六年十月号(特集=脳科学の未来)
定価1300円(税込)ISBN:4791711548 9月27日発売

【エッセイ】
脳をめぐる(個人的な)妄想…竹内薫

【討議】
意識とクオリアの解法…茂木健一郎、郡司ペギオ-幸夫、池上高志
 意識の起源と進化/ゾンビ問題/時間の綻び/オープンエンド/個物と集合
 /エンピリカル・サイエンス/クオリア=権力の構造/シミュレーションの
 切り出し方/意識とクオリアの解法

【インタビュー】
マインド・リーディング…神谷之康
脳はいかなる存在か:DBS・認知機能・植物状態・脳死状態
 …片山容一、小松美彦(聞き手)

【意識】
ラディカルな身体化:神経ダイナミクスと意識
 …E・トンプソン、F・ヴァレラ / 高畑圭輔訳
自由意志は存在しないか…前野隆司

【感情/情動】
脳科学における「統計的な描像」を超えるために…茂木健一郎
情動・感情のメカニズム:進化論的感情階層仮説の視点から…福田正治

【言語】
ことばを生む心…山鳥重
鳥の歌とヒトのことば:発声の獲得と脳機構…岡ノ谷一夫

【運動】
浮かび上がる量子脳…松野孝一郎
ヒトの身体像の脳内再現と身体運動制御との関係…内藤栄一

【ニューロエシックス】
牢獄から解放?:脳神経の科学、倫理、そして政治…粥川準二
ニューロエシックスの新しさ…香川知晶

【哲学】
脳表面の動的発生:ドゥルーズ『意味の論理学』に即して…小泉義之
可塑性とその分身:メタ可塑性を導入する…美馬達哉

【次号予告】
十月増刊号『ジュディス・バトラー 触発する思想』
十一月号『リハビリテーション(仮)』
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★イベント告知★佐々木正人トークショー「アートのアフォーダンス」

日時:2006年10月15日(日)14:00〜16:00(開場13:30〜)
会場:青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン
定員:120名様
入場料:500円(税込)電話予約の上、当日ご清算。
電話予約&お問い合わせ: 青山ブックセンター本店 TEL03-5485-5511
受付時間: 10:00〜22:00
※受付時間は、お問い合わせ店舗の営業時間内となります。御注意下さい。

表現者の身体がどう振るまうとき、それがアートになるのか。アフォーダンス
理論の第一人者である佐々木正人氏が、新しい表現を切りひらくヒントとして
のアフォーダンスを、映像を織り交ぜつつレクチャーする。『アート/表現す
る身体』(東京大学出版会)刊行記念。トークショー終了後にサイン会を行う。

http://www.utp.or.jp/
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★オープニング・スタッフ募集★青山ブックセンター渋谷店11月1日オープン

本が好きで新しいお店を一緒につくっていける方を募集します。

勤務内容:レジ係、店頭における接客および商品管理
勤務時間:8:00〜23:00(シフト制)
※勤務時間、曜日は相談に応じます。長期できる方、土日出勤可能な方歓迎。

勤務地:青山ブックセンター渋谷店
時給:時給800円〜
待遇:交通費全額支給、社会保険完備、年次有給休暇、社員登用制度あり。
応募方法:電話連絡の上、履歴書(写真添付)ご持参ください。
面接会場:青山ブックセンター本店
お問合せ先:青山ブックセンター総務部 電話:03-5485-5519

※六本木ヒルズ店、福岡店でも現在書店スタッフを募集しております。
http://www.aoyamabc.co.jp/index.html
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り、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。
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