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[本]のメルマガvol.261
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■■ [本]のメルマガ                  2006.9.15.発行
■■                               vol.261
■■  mailmagazine of books            [図書館定食 号]
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■CONTENTS----------------------------------------------------------
★トピックス 

★「育児と書」(※「お茶濁し育児エッセイ」を改題) 柳瀬徹
→仕事が繁忙期につきお休みでーす

★「図書館の壁の穴」/田圃兎
→ああ、こんな図書館&司書さんが近所にいて欲しいと思う好編です。

★「ひよっこ行政書士のRock'n'law(ロッケンロー)相談室」/うすいまき
→今回はお休みでーす。

★「虚実皮膜の書評」/キウ
→転職したばかりで今回のみお休みです。

★「帰ってきた中国古典で浅学菲才が直る?」 
→中国の現在について考えます。
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■トピックス
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●身内ネタですみません
実は、一週間ほど仕事で中国に行っていたため、情報を集めていないので、
今回は身内ネタで失礼します(^^; まず、今号のキウさんが転職、新た
な書店チェーンで活躍を始めました。優秀な書店員なので、新天地でも大活
躍が見込まれます。その代り今号は休載となりました。
また、5日号の編集同人のaguni さんは、念願の会社をたちあげ、代表取締
役社長になられました。コーチング関係のイベントもあるそうなので、御興
味ある方はぜひどうぞ。以下です。
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■ビジネス書編 http://www.mag2.com/m/0000149737.html
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■「図書館の壁の穴」/田圃兎
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第10回 ニーズはつくるもの

最近よく思うのだが、図書館というのは利用の多寡よりも、そこに行けばい
つでも資料を手にとって読めるという安心感のようなものが、当たり前のよ
うだが案外重要なものだ。

一般的に市町村立図書館の蔵書は、アカデミックなニーズに応えるには物足
りないし、娯楽のためというには教養的な色合いが強すぎる。何だかどっち
つかずの中途半端なもののように見える場合も少なくない。

本がすぐに絶版になる昨今、本や雑誌を永く保存するアーカイブとしての機
能は、大げさと思われるかもしれないが、文化の保存装置として、社会が当
然のように持っていなければならないものだと思っている。
そんなことをこの連載でも以前に書いたことがあるが、この一見地味な事柄
が、それぞれの地域レベルで住民に理解されるかどうかが、最終的に市町村
立図書館の生命線になるんじゃないかと思う。

ストックとして持っておきたい本は購入し、主に一時的に読んでおしまいの
情報を図書館に求めるという人が多い。
でも、目先の利用が多いからといって、雑学的なものばかりや、すぐに消費
されるようなベストセラーの複本などを大量に購入するような運営をしてい
ては、今の利用者には歓迎されても、将来的に興味に応じて深く粘り強く調
べられるような資料を、たくさん揃えるような蔵書の構築はできないだろう
と思う。
(予算が潤沢な図書館は問題ないんでしょうけど・・・)

アーカイブなどという、コストに見合った効果があるかどうかわかりにくい
ことを、予算のない市町村がわざわざやることはない、国立国会図書館があ
れば十分だという考え方もあるかもしれない。

でも、誰もが気軽に国立国会図書館に出かけられる訳ではないのだ。
そうした情報要求にある程度は応えられるようなインフラを、地域社会が持
たなくてどうするんだ?というのが、市町村立図書館の存在理由としては一
番大きいんじゃないかと僕は思っている。

             *  *  *

 今や、欲しい情報がインターネットを通して自宅で簡単に手に入るのだか
ら、わざわざ図書館に出かけるメリットを感じない人もいるだろう。
 また最近では、メールでレファレンスサービスを行うなど、インターネッ
トを利用した非来館者向けのサービスを強化する図書館も増えている。

 究極的には、利用者自身が情報源に辿り着ければ良いのだから、別にイン
ターネットや他の図書館と客の取り合いで競う必要はない。
各図書館がそれぞれ、そうした外部の情報源を上手く使ったサービスを考え
ればいいだけのことだし、こうした状況は使える道具が増えるという意味で
歓迎したい。
ただ、自宅にいながら、それだけ多様な情報に触れられる中、わざわざ図書
館に足を運ぶだけの意味というのを、図書館員は考えないとマズい。
少ない予算で充実した図書館サービスを構築するにはどうすればよいのか?

 それには、利用を増やすためだけに、目先のニーズに迎合するのではなく
、図書館の機能を多くの人に知ってもらい、市町村立図書館のサービスに対
する新たなニーズも発掘できるよう、工夫する必要があるのだろう。

             *  *  *

司書というのは、情報と人とを結びつけるのが仕事だから、実際には参考資
料や専門機関のことなど、調べものの手助けになるような情報をたくさん持
っている。

でも、図書館利用者から見ると、自分の調べものを専門知識を駆使して助け
てくれたり、探し方を教えてくれるような存在にはとても見えない場合が多
いような気がする。

例えば、道路工事の設計について法律や構造といった専門情報を探している
人や、最新のネットワーク技術を企業で導入しようという人は、資料を探し
ている本人がその道のプロなのだから、司書が自分以上の情報を持っている
とは考えないだろう。
もちろん司書は道路のプロ以上に道路に詳しいわけではないが、あるテーマ
について効率的に調べる方法は熟知しているし、専門機関を紹介することも
できる。
こうした司書の機能が上手く伝わっていないのは、それだけの能力を持った
司書ばかりではないという現実と同時に、そもそも図書館側のサービスに取
り組む姿勢に大いに問題があるという気がする。
実際に、利用者層を見ながら特定分野の専門誌や専門書を多めに出して、目
に付くところに並べてみると、その分野のレファレンスが急激に増えたこと
が過去に何度もあった。

経験上、レファレンスサービス普及のために、ポスターを貼ったりビラを撒
いても大した効果は期待できないことはわかっている。
それは恐らく、レファレンスというパーソナルなサービスを、マスに対して
行うような訴え方で普及させようという発想自体に、そもそも無理があると
いうことだろう。

そもそも、そうしたアプローチ以前に、まずは図書館は何ができるところだ
という大枠から知ってもらえるよう、働きかける必要がある。
利用案内のリーフレットやホームページ、図書館活用のためのガイダンスな
どは、能動的に情報を得たいと思う人が触れるものだ。
それを紋切り型の説明で機械的に処理してしまうのではなく、蔵書の特性や
司書の機能を積極的に活用したいと思わせるためのプレゼンテーションの場
と捉え、有効に使った方がいい。
利用登録や本のリクエストの記入用紙ひとつとっても、事務的で何のメッセ
ージ性もないものよりは、何か工夫のしようがあるだろうし、利用アンケー
トを頻繁に実施するのも、運営上のメリットになるだけではなく、利用者の
意見を汲もうという姿勢を示せるという意味でも効果的かもしれない。
そうした図書館機能の理解を求めるアプローチと並行して、レファレンスサ
ービスの広報活動を行うならば、相乗効果も期待できるだろう。

単に「調べもののお手伝いをします」ではなく、定食屋のお品書きみたいに
「国会図書館の本を探して取り寄せられます」「雑誌記事のコピーを取り寄
せられます」などと具体的なサービス内容を書いて、壁に掛けておくだけで
も、かなり効果的なんじゃないかと思う。

             *  *  *

図書館はアーカイブとして資料を蓄積し保管していく。
所蔵された資料は書庫に置かれているだけならば、何十年経とうとほとんど
何の変化もないのだが、そういった資料を、時代に応じたアウトプットの仕
方で提示していくこともまた司書の役割として大きい。

例えば、百年前の本を電子化したり複製をつくったりして自由に利用できる
状態にしたとする。
その時に、利用できるようにする資料の選定やオリジナル資料の保存への配
慮、利用提供する際の利便性などの一切をコントロールするのも司書の仕事
だ。
保存と見せ方のバランスを考えるという博物館学芸員的な視点で、資料その
ものや、そこに書かれた情報を扱う仕事をしている以上、司書はもともと資
料や情報源に詳しいものだし、そうした知識のアウトプットの一形態がレフ
ァレンスサービスの一面ではないかとも思う。

そんな観点から司書という職業が社会で認知されるには、市町村立図書館の
イメージを変え、新たな支持を得ていくことが必要だろう。
簡単なことではないが、経済性や効率という面からばかり図書館が語られる
最近の情勢を見ていると、あまり猶予はないだろうという危機感は感じてい
る。

◎田圃兎
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■帰ってきた中国古典で浅学菲才が直る? 
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13「衣食足りて、すなわち栄辱を知る」『管子』
――生活が豊かになって初めて栄誉と恥辱のけじめを理解するようになる

日本では、「衣食足りて礼節を知る」という言葉で知られているものです
ねー。実は、一週間ほど中国に仕事で行って帰ってきたばかりなので、思う
ところを書いてみたいと思います。

今回の中国旅行で、「現代中国を知る」という意味で面白かったのは、現地
の中国人の方々の素直な言葉でした。特にこんなことを語っていた人がいた
のです。

「いま、中国は治安が悪くなって全然だめ。人殺しなんか平気でおきている。
うちの小学生の娘は、危ないので学校の行き返りに必ず母親がついていくよ」
(日本とまったく同じだな、と思いました)

「中国人はマナーが悪い。みんな割り込みするし、日本の電車で大声で携帯
でしゃべっているの、中国人(笑)」

「共産党幹部の10人のうち9人は腐敗しているよ、残りの1人は何もでき
ない」

「日本は社会主義、中国は資本主義ね」(これは結構いわれる言葉ですね。
私が、「田中角栄主席のおかげです」と返したら、結構うけていました)

「天安門事件のとき、軍隊は機関銃を使っていないという発表が政府から
あって、もし外国からのFAXで機関銃が写っている写真がきたら、五分以
内に上司に渡さないとクビというお達しがあった」

「日本で商売するとき、まずその商品が売れるかどうか調べるけど、中国の
場合人脈があるのか調べる。共産党幹部に知り合いがいるのかと、やくざに
知り合いがいるのかを調べる。いたら大丈夫(笑)」

「中国の警察は、やくざとつるんでいるから全然だめ、頼りにならない」
(パチンコ利権とつるむ日本の警察と、あまりかわらない??)

その人は、別にこちらにおべっかを使って何かを言っている感じではなく、
真に中国の行く末を憂いて喋っている感じでした。しかし、この人は、海外
に何回も行ったことがあり、一般の人は当然違うわけです。「そんな風に考
えるのはごく一部の人だけではないんですか」と水を向けると、

「そうそう、一般の人は政府の発表を信じて、外国が悪いと怒っているよ」

とのことでした。なんか、日本と似てるなーと思うことしきりでした(笑)
それで、途中にもあったマナーの悪さというのは、確かに感じることがあっ
て、列の割り込みは当然、街中では自動車のクラクション鳴りまくり、飛行
機では携帯を使い、足を他の人の席に投げ出し……
まあ、もちろん日本でもそういうことをする阿呆は少なからずいますが、そ
ういう人が異常に増えちゃった雰囲気でしょうか(笑)

そうそう、もう一つ中国に行って感じたのは、とにかく外見は立派なんだけ
ど……というもの。これは先ほどの中国人もいっていて、「外側ばっかり整
えて全然中身が整っていないね」だそうですが、外は綺麗なレストランのト
イレがもう、ぐちゃぐちゃだったりとか、超一流の外見のホテルのサービス
が、「まだサービスって概念を知らないんだろうな」ってレベルだったりと
か……。本田宗一郎は相手を判断するとき、トイレの状態で判断したそうで
すが、こりゃ大ペケでしょうね(笑)で、浮かんだのが今回の言葉なわけで
す。

つまり、中国って、北京五輪などもあって、「経済成長」「大国」といった
イメージ作りに必死で、実際それは成功もしているんだけど、実は中身の部
分は全然追いついていないのではないか、と。実際一人当たりのGNPは、
日本の約30分の1でしかないわけです。「大国」や「成長」という言葉の
影で、一般の人びとは生き残るための、どろどろした争いがあり、日本でい
えば戦後の混乱期のような状況を脱しきれていないのではないか、と思える
わけです。実際、数年前のデータですが、年収8千円以下の人が三千万人、
1万2千円の人が5千万人いる国なのです。

だから、「大国」「経済成長」といったヨーロッパやアメリカのような国を
予想して中国に行くと、なんだこりゃになるのではないか、と……。まあ、
まず外側からという方法も確かにあるわけですが、おそらく今はバランスが
崩れすぎているのでしょう。中国政府は、そのうち外見に中身が追いついて
くれれば何とかなるはずと考えているのでしょうが、うまく追いつかなかっ
た場合、大混乱に陥る可能性もあるわけです。別に現代中国の専門家ではな
いので適当な予想でしかありませんが、今後、重要なファクターになりそう
なものだけあげてお仕舞にしたいと思います。

・軍隊(人数も多く、国内が混乱しても、軍事力を握った統制のとれた組織
として影響力が大きい)

・宗教(その中国人の人もいっていたけど、人びとの気持ちがささくれだっ
たような状態だと、逆に宗教に向かいやすい。反政府の拠点になる可能性も
あり、政府は神経をとがらせている)

さてさて、お隣に控える大国の行く末は、どうなることでしょうか……
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■あとがき
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>実は昨日(15日)、上海でリニアモーターカーに乗ってきました。街中
と空港を7分半で繋いじゃうんです。
>へー、やっぱり速いんですか??
>もう、とてつもなく凄いんです。最高時速431キロ。まるで飛んでいる
ようでしたし、対抗列車とすれ違うときの衝撃波も凄かったです。
>そりゃ、日本の馬鹿遠い成田・東京間にも、ぜひ設置してほしいですね。
>それは確かに思ったんですが、しかし一つ危険だなと思ったことがありま
して、それはテロに凄く弱そうなこと。スピードが速い分、何かあったら乗
客全員死亡間違いなしって感じで、いろいろ歴史的な問題を抱えてしまった
成田では難しいのかな……と
>なるほどねー、成田問題をこじらせた政治家の責任は重いってやつでしょ
うか……。そしてみんな死ぬ思いをして成田まで行き来するわけですね(笑)
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