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[本]のメルマガ vol.256
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□■[本]のメルマガ【vol.256】2006.07.25.発行 http://honmaga.net/
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□■     創刊は1999年5月10日、現在の読者数は6795名です。
■□ 「まぐまぐ」で、殿堂入りメールマガジンのひとつに選ばれました。
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★ トピックス
→注目の業界情報。復刊とか、新刊書店で古本まつりとか。

★「新雑誌『SITE ZERO/ZERO SITE』0号刊行に際して」/ 飯尾次郎
→特別寄稿。表象文化論系新雑誌がまもなく刊行される、その舞台裏。

★「5年遅れの営業日誌」/ 工藤秀之
→無理な新刊営業はしない。じっくり腰を据えて、取引先を増やせば……。

★「書店様、今日もお伺いします」/ 佐藤都
→「それもいただくわ」な感じのコンシェルジュ付き「理想の書店」像。

★「嫌韓節考」/ 吉川浩満
→半年振りの連載再開! ステレオタイプの押し付け合いはもうやめよう。

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■トピックス
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■第10回「書物復権」の復刊書目が決定

今年で10回目になる毎年恒例の人文書版元共同復刊事業「書物復権」の復刊書
目が決定した。今回は従来の8社(岩波書店、紀伊國屋書店、勁草書房、東京
大学出版会、白水社、法政大学出版局、未来社、みすず書房)に加えて、新曜
社、創元社、筑摩書房、平凡社の4社が特別参加。復刊書は9月中旬より、全
国約200店の書店にて発売する。

◎復刊決定書目一覧 
http://www.kinokuniya.co.jp/01f/fukken/fukkanlist2006.html

◎大澤真幸「二種類の書物と二種類の知――書物復権によせて」
http://www.kinokuniya.co.jp/01f/fukken/index.html


■リブロ池袋本店「夏の古本まつり」

会期:2006年8月1日(火)〜6日(日) 午前10時〜午後9時
 ※最終日8月6日(日)は当会場のみ午後6時にて閉場
会場:西武池袋本店イルムス館2階=特設会場(西武ギャラリー)

 ※目録のご注文は500円切手を同封の上、下記宛にお申込ください。
〒171-0022 東京都豊島区南池袋1-28-1 西武百貨店 書籍館
リブロ池袋本店 古本まつり目録担当

http://www.libro.jp/web/topics/

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◎[本]のメルマガ25日号では、古書を積極的に扱っている新刊書店さんを
◎応援しています。販売情報やリサイクル情報を、担当「五月」までお寄せ
◎下さい。宣伝いたします。お待ちしております。biblia_hp@infoseek.jp
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★PR★平 凡 社 の 新 刊★ http://www.heibonsha.co.jp

『増補 世界の一環としての日本(1)』(東洋文庫752)
戸坂潤=著、林淑美=校訂、本体2,700円、全書判273頁、ISBN4-582-80752-6

ニ・ニ六事件、近衛内閣成立、盧溝橋事件、戦時動員体制構築のさなか、執筆
禁止前に公刊されたマルクス主義哲学者の戦いの最後の結晶。同時期の単行本
未収録論文18編を増補する。全2巻。

東洋文庫次回配本は8月刊→『世界の一環としての日本(2)』
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『戦争詩論 1910-1945』
瀬尾育生=著、税込3,570円、46判360頁、ISBN4-582-34605-7

言葉は昭和の戦争を経験したか。太平洋戦争下、詩人たちは異様な語彙と文体
をもつおびただしい戦意高揚詩を書いた。それはナショナルなものに対するモ
ダニズムの屈服などではなく、モダニズムの方法とイデオロギーの貫徹だった。
1910年に画期をもつ歴史と思想と詩的表現のどんな構造がこの事態を生み出し
たのか。そのとき、詩と詩人に問うことのできるものとはなにか。
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『夢見た日本――エドモン・ド・ゴンクールと林忠正』
小山ブリジット=著、高頭麻子+三宅京子=訳、税込3,990円、A5判340頁、
ISBN4-582-83329-2

19世紀末フランス、ジャポニスムの最重要人物のひとり、文豪ゴンクールと、
彼の日本美術研究に大いに協力した、明治日本最初の国際美術商、林忠正。二
人の相互交渉をフランス人研究者が捉え直し、ジャポニスムの生きた姿かたち
を評伝スタイルで鮮やかに描き出す。
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『東京湾 魚の自然誌』
東京海洋大学魚類学研究室=編、河野博=監修、税込2,940円、A5判256頁、
ISBN4-582-52730-2 C0045

魚を通して東京湾を体感する! 臨場感あふれる魚の研究の実際を、豊富なデ
ータとともに紹介。干潟や河口など魚の生育環境や主要魚種についても有益な
情報が満載。海洋環境を考えるうえでも必携の本。
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■「新雑誌『SITE ZERO/ZERO SITE』0号刊行に際して」/ 飯尾次郎
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06年7月31日、メディア・デザイン研究所より人文・社会科学雑誌『SITE ZERO
/ZERO SITE』0号を刊行いたします。

『SITE ZERO/ZERO SITE』では、こんにち雑誌メディアを興すことの意味を、
内容および流通の二側面からとらえて、試行をつづける媒体としてありたいと
思います。

責任編集をつとめていただく田中純(東京大学大学院総合文化研究科助教授)
氏とは、約1年のあいだ、人文知の理論が批評や文化創造の現場に介入するこ
との意味を確認してきました。

グランド・セオリーが終焉を迎え、大学制度における人文・社会科学が衰退し、
知識人がグローバル資本主義と国際テロリズムに翻弄される現在、これまでに
なくわれわれは、政治的イデオロギーの退行的な硬直化やインターネット内で
の自己充足的な言論に絡め取られる状況にあります。われわれはこの閉塞感ゆ
えに抱く危機感に対し、どのような行動ができるのでしょうか。

そのような思いから、本誌のタイトルを『SITE ZERO/ZERO SITE』と名づけま
した。つまり、批評の「場」とはつねに状況に対する危機感の場所であるとい
うこと、そしてこの場所自体は幾度でも反復される「零年」としてあるという
ことです。当然ながら、この反復を絶ってどこかへ到達するという性急な意思
は、前言の閉塞感へと再びわれわれを回収するでしょう。ですから、この雑誌
の試み自体が反復される「零年」なのだと考えています。

0号では、この意思に対して、また人文知の現在を探るために、国内外の批評
家・思想家の方々にアンケートを行ないました。いずれの回答にも「ポスト・
クリティック」の時代に対する警戒感、抵抗感、ときに諦念が織り込まれてい
ますが、多くの回答者から非党派的な「畳重性」や「和解」を生産するコミュ
ニケーション活動を課題とすることが挙げられています。

つづく本稿では、論考、翻訳論考、図版構成計15本を掲載します。0号のテー
マは「エステティクスの臨界」。「美学でも、芸術学でもなく、エステティク
ス──感性の学」「エステティクスの臨界が主題とするのは、観想的な知より
もむしろ、恐怖に、快感に、パトスに貫かれて、リズミカルに打ち震えたり、
吐き気に襲われたりする身体の知/非知である 」(田中純)。いずれの論考
も、ベンヤミンの「芸術の政治化」などに連なるこのテーマの臨界を発掘しよ
うとするものです。

0号「エステティクスの臨界」目次

・批評零年 思想の胎動──批評零年のためのテーゼ|田中純
・『SITE ZERO/ZERO SITE』アンケート──批評と理論の現在
・エステティクスの臨界|田中純
・マッシモ・カッチャーリ・インタヴュー「必要なものから自由であること
 ──家なし(a-oikos)の形而上学」|インタヴュー/訳=阿部真弓
・生体解剖的美と探偵的知──マクルーハンの初期論文を読む|門林岳史
・喪のリトルネロ──ジル・ドゥルーズにおいて、出来事の手前に|千葉雅也
・ハイデガー、資本主義の批判者──経済という隠喩の運命|カトリーヌ・マ
 ラブー|訳=千葉雅也
・仮面をつけた現実──フロイト「不気味なもの」のイメージ論的読解の試み
 |森田團
・カール・モイリ「カーニヴァルの起源」|訳=森田團
・吐き気──「不定形」の反美学|宮崎裕助
・ヴェルナー・ハーマッハー「ヘーゲルの読解行為──『吐き気』をめぐるト
 ロープ操作」|訳=宮崎裕助
・「古代」が召還されるとき──明治20年代の日本におけるギリシア幻想
 |小澤京子
・テオドール・W・アドルノ「芸術と諸芸術」|訳=竹峰義和
・観念装置としての気球|石橋正孝
・男たちの秘密(一)|田中純
・知覚情報美学にむけて|榑沼範久
・メディア文化としてのグラフィティ──『Fine』から『KAZE MAGAZINE』ヘ
 |飯田豊+南後由和
・[graffiti]X・Y・Z|Dr.K

他方小誌は、持続的な刊行にとどまらず、コミュニケーション・チャンネルの
多様化が進むなかで、「場」の顕在化のためになにができるかを模索していき
たいと思います。そのため、年2回の刊行ペースでは捉えきれない範囲を「web
site SITE ZERO/ZERO SITE」【 http://site-zero.net 】(近日公開)で扱い、
また不定期にイヴェント等を行なっていきたいと思います。

なかでも、小誌を読者に届けるにあたっては、従来のツリー型流通システムで
は生成されない、読者とのコミュニケーション・ネットワークの可能性を正面
から考えていきます。現段階では「website SITE ZERO/ZERO SITE」での直販
を通じ、マン・ツー・マンに近いかたちで読者の意見を聞きながら「場」の状
況を感じていきたいと思いますが、この理想が適う範囲で一部の書店でも販売
される予定です。その意味で、あまり効率的・省力的なシステムではありませ
んが、こうした流通方法を含めたオルタナティヴなコミュニケーション・チャ
ンネルの形成を目的として考えています。

まもなくかたちになる小誌と、今後の試行に注視いただければ幸いです。


◎飯尾次郎(いいお・じろう):1971年生まれ。メディア・デザイン研究所所
属。雑誌『10+1』等の編集に携わっている。
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■「5年遅れの営業日誌」/ 工藤秀之
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[ほっと一息。整備期編]

直取出版社ながら、全国どこの書店でも取寄せ可能になったトランスビュー。
お金を払って書籍を購読していただく読者の利便性を追及するという意味で、
商業出版社らしくなってきました。今回はその裏を支える[整備期編]。2002年
〜2003年頃のお話です。

流通ルートが整備され、初年度の成績を少しでも良くしようと、販促活動にい
そしんだ決算月の3月も終わり、気分一新で望んだ2002年4月の売上は、なん
と480,000円(0の数は4つです。念のため)。ちなみに実働6ヶ月の初年度売
上は、編集担当者が前の職場から請け負った仕事込みで3000万円少々、この
少々が曲者で、当時、売上3000万円以下は翌々年の消費税納入義務がなく
「少々」の売上なら、なにもせずに休暇を取った方がマシ。ようするに、私た
ち、税務の知識などカケラもなかったのです。

初年度の刊行は4点、それなりに売れているとはいえ、いかんせん点数が少な
い。売り物が少なければ、営業担当の仕事も少ない。5月に新刊が2点あるが、
思想犯として囚われた少女の半生を描いたノンフィクション『囚われのチベッ
トの少女』と、日本では一般に知られていなかった、ロジェ=ポル・ドロワの
『虚無の信仰‐西欧はなぜ仏教を怖れたか』だ。

ともに興味深い内容だが、それほど部数は期待できない。ムリな販売促進は、
信用を損なうし、書店の方々に責任をもって自主仕入をしてもらう代わりに、
低正味で応える、という「トランスビュー方式」の理念に反する。なので、飛
躍の時(?)に備えて社内業務の整備と、むこう一年間の刊行予定を持って、
取引先の拡大につとめる時期としたのでした。

まずは、新刊刊行の1ヶ月前には少なくとも、タイトル、価格、装丁を決定し、
発送は月初めの第1営業日とした。これにより書店への新刊案内と着荷が一定
のスケジュールになり、計画的な仕入業務に役立つだろうと考えたからだ。お
そらく新刊案内の段階で、店着日までが確定している出版社はかなり少ないの
ではと思う。書店員さんが、平台のスペースを用意して、トランスビューの新
刊を待っていてくれる、なんてことが理想だ。

また、これまでムリやり項目を読み換えて使ってきた「弥生販売管理」に見切
りをつけて、出版社向けの販売管理ソフトを導入した。と同時に、書店へ精算
方法の変更を打診していった。精算方法は当初から、「売上精算法」と「新刊
委託法」を用意(詳細は、http://www.transview.co.jp/syotens/jyoukenn.htm
を参照)しており、前者は、書店店頭の在庫調査により、実売分のみの請求す
る方法で、後者は、いわば出版社と取次店の精算方法を、トランスビューと書
店に置き換えた方法である。

「新刊委託法」の方が書店現場での手間が少なく、直接取引であることを、比
較的意識することなく作業が出来るのだが、一方で市販の販売管理ソフトでは
十分な管理が難しく、社内事務的にはかなりの労力と注意が必要であったのが
大幅に改善された。さらに、請求書の控え、取次会社用の注文短冊などもデー
タ化し、書店からの問合せにも即座に対応できる体制となっていた。

意外に思われるかも知れないが、この時期、初めての地方出張に出かけた。私
が、東海、関西。社長が、南東北という狭いエリアだけだが、どの書店の方も
温かく迎えてくださった。出版業は新規参入が難しいという人もいる。流通、
商慣習上の仕組みとしてはそうかも知れない。けれど、少なくとも個人的には
応援してくれる、そしてその個人的な力はとても頼りになる、そう感じた出張
だった。

地方出張で目玉企画として案内していた10点目の書籍『チョムスキー、世界を
語る』(2002年9月刊・初版4000部)が、ひと月で重版となり、その他の既刊
本も、取引書店の増加にともない、売上の基礎を築きつつあった。この年に長
男が生まれていた私は、ほっと一息(いや、ほんとに)ついたのでした。(次
月25日号へつづく)

◎工藤秀之(くどう・ひでゆき):1972年平塚市生まれ。トランスビュー代表
取締役。http://www.transview.co.jp/
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■「書店様、今日もお伺いします」/ 佐藤都
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本の綴じ部分のにおいをかいでしまうクセが子供のころから直りません。こん
にちわ。佐藤です。今回は、書店について考えてみたいと思います。

本に囲まれていれば幸せ、と言う私ですので、大規模書店であっても街の本屋
さんであっても、キオスク、コンビニの雑誌コーナーでもほっとするものです。
ほっとはするものの、毎日書店に行っているので、自分で自分の好きな本を買
うときは棚を見るのが実はめんどくさいです。ここ最近は書名と著者名、版元
とISBNをメモしていき、そのメモを書店員さんに見せて、持ってきてもらった
ものをそのまま買って帰るという、怠惰な客をやっております。

めんどくさい、と書きましたが、めんどくさいと言うよりも職業病が出てしま
うのがなんだか嫌だからなのです。もし棚が乱れていた場合、それを直したく
なって仕方なくなり、棚に無かったとしたらストックを開けてみたくなり、つ
いでに品出しをしたくなってしまい、在庫カウント、欠本などしたくなってし
まうので……。そこまでしていては、仕事をしに来たのと変わらなくなってし
まうので、自粛の意味も兼ね、さっと買うようにしています。

そんな私が、夢に思う理想の書店とは、高級デパートのお得意様のようなサー
ビスが受けられる書店です。月に一度、私は書店を訪ねます。事前に、気にな
る新刊などを多少は伝えておきます。すると、私選任の担当者が待機しており
「お待ちしていました」と傅かれ、書店の特別室に通されます。特別室では高
級家具が私を包み、壁に作り付けの背の高い書架には、稀覯本、初版本、その
他貴重な本、作家の生原稿などが整列しています。

紅茶とともに運ばれてくるのは、私が事前に申し伝えておいた本の数々。お茶
を頂きながら、私はひとこと。「これ、いただくわ」(BYポール・ラドニック)
ああ、なんと甘美な響きでしょう。うっとりします。また、私専属の書店員は、
私の好みに精通しております。そんな書店員が「佐藤様、今月のお勧めはこち
らでございます…」と、私が気に入るであろう本を出してきます。それらは私
の好みにぴったりのものばかり。「今月もあなたのセレクトは素晴らしいわ」
と私は呟き、本を眺めながらお茶を頂くのです。

また、この専属書店員は知識にも長けており、「あの作家のあれは今どこから
出ているのかしら」などと私が呟こうものならば、「○○社から××年に発行
されまして、現在当店に在庫がございます」や「現在品切れとなっております
が、お望みであれば△△社に直接問い合わせて用意させますが」など、書痴を
狂喜させる発言をするデキる書店員なのです。

「ではあとは棚を少し拝見して帰るわ」「畏まりました」――私が身軽に棚を
見学して、と言っても欲しいものはすべて手に入っているので、書店の空気を
満喫して自宅に帰ると、もちろん買った本は自宅に即配送されているのです。
以上が私の夢の書店です。

しかし、デパートでこのぐらいのサービスを受けられるお得意様となると、一
度のお買い物額も数百万円でしょう。そして社長とか、セレブとかそういった
身分になることでしょう。書店に月に数百万円を落とすとなると……。ああ、
己の身分や薄給の心配よりも、そんなに本を買ったらますます積読が進行して
しまうことや置き場所の心配を先にしてしまいました……。

置き場所や読まない本が増えることなど気にしないで、欲しいものをスマート
に求めることができるのが、選ばれしセレブでありお金持ちなのです。きっと
……。

大量に本を買い、その重みにフウフウいいながら持ち帰ったり、本棚に収まり
きらなくなって、積んでおいた本が雪崩を起こして半べそをかいたりする私の
日々はまだまだ続きそうです。


◎佐藤都(さとう・みやこ):1980年生まれ。某出版社営業部勤務。
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◎◎
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◎◎
◎◎「こんな本屋があったら」「あんなサービスがあったら」……実現が
◎◎可能かどうかは問いません。みなさんの妄想を炸裂させてください。
◎◎自由なイマジネーションこそが業界の明日を救う!文字制限は1200字
◎◎ていどまで。簡単なプロフィールを添えて(ペンネームOK)、25日号
◎◎「理想の書店像」係、担当「五月」biblia_hp@infoseek.jp までどし
◎◎どしお送りください!お待ちしております。毎月20日締切。順次掲載
◎◎
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■「嫌韓節考」/ 吉川浩満
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◎【13】嫌韓節考(3)――ステレオタイプについて一言

連載を半年間も休んでしまい申し訳ございませんでした。再開します。

前号(2006年1月25日発行)は、ステレオタイプな「敵」をこしらえて叩くと
いうやりかたがどのようにマズいか、そしてそのようなやりかたとどうしたら
うまくつきあえるかという問いを投げかけて終わった。

いま考えてみれば、『マンガ嫌韓流』という具体的な作品へのコメントから出
発した本稿が、ずいぶんと抽象的な問いを立てるところまできてしまったもの
だと思う。ぼくの答えもまた抽象的にすぎるもの――簡単だけれど難しい一般
論――にしかなりそうにない。自分で書いておいてナンだけれど、問いの立て
かたもまたマズかったのだろう。でも、約束は約束。今号ではこれにコメント
しておいて、次号へとつなげることにしたい。

ステレオタイプな「敵」をこしらえて叩くというやりかたがどのようにマズい
のか。それは敵を構成する人びとのあいだにあるちがいを無視することになら
ざるをえない。そんな敵など頭の中には存在できたとしても、実際にお目にか
かれるものではないというのに。当たり前だけれど、人の思考や行動はそれぞ
れ微妙に、またときとして大きく異なっている。この現実を前にしてなおもス
テレオタイプな敵を保持しようとすれば、マッチポンプ式に敵を育成しつづけ
なければならないだろう。

それが一方的に行われた場合、その先には社会的な差別がある。さらにその先
には虐殺が待っていることだろう。それが相互的に行われた場合、その先には
社会的な敵対がある。さらにその先には殺し合いが待っていることだろう。そ
のような事態が起こったり、そのような事態への願望が醸成されることはいか
にもマズい。

とはいえ、ステレオタイプをもとにした差別や敵対と無縁に生きていくことは
不可能に思える。人びとをなんらかの属性のもとに区別することは、よくもあ
しくも人間の日常的な営みのひとつだ。で、当然それは友好的な方向に働くこ
とあれば敵対的な方向に働くこともあるだろう。

このようにして生ずるステレオタイプの押し付け合いによる敵対関係を、あた
かもなかったことのようにやりすごすことはできないし、さりとてすべてを受
け入れるなんてこともできない。そこで問題は、そうしたステレオタイプとど
のようにつきあうかということになる。これについては、まず「嫌だ!」とい
う感覚の表明と、そのステレオタイプがどうして嫌なのかということの内実を
――ステレオタイプのなすりつけあいとは異なる方法で――示しつづけていく
しかないだろうと思う。本稿でもこのことを試行してきたつもりだ(けれど、
うまくいっいるかどうかは定かではない)。

というわけで、前号で提示した問いについては、ぼくは上記のような抽象的な
答えしか持ち合わせていない。この問いを、本稿の題材である嫌韓現象に引き
つけて考えなおしてみる必要がある。

はなはだ簡単ながら今号はここまで。次号から仕切りなおしをします。


◎吉川浩満(よしかわ・ひろみつ):1972年3月生まれ。慶應義塾大学総合政
策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、フリーランスの物書き。ウェブサイ
ト「哲学の劇場」を相棒・山本貴光とともに主宰。関心領域は哲学、単車、ロ
ック、犬など。著書に『心脳問題――「脳の世紀」を生き抜く』(山本貴光と
の共著、朝日出版社、2004)、訳書にジョン・R・サール『MiND――心の哲学』
(山本貴光との共訳、朝日出版社、2006)がある。

哲劇メモ(ブログ) http://d.hatena.ne.jp/clinamen/
哲学の劇場(ウェブサイト) http://www.logico-philosophicus.net/
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人間は成熟しなければならない、しかし成熟を教えることはできない――。啓
蒙の困難を喝破し、「タクト」と呼ばれる臨床知が経験を深化させる鍵である
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方へと至る全く新しい生成発達論。
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注目の若手研究者による、新世紀のための音楽批評入門。「いま音楽を語ると
き、何を前提とすべきなのか?」テクノロジーの土台の変化によって、「音楽」
そのものが動揺しつつある現状を思考すること、音楽に絡みつく「日本」の現
在に介入すること、既存の音楽言語が自明とする諸概念を疑うこと。音楽批評
言語の組み替えを通じ、新たな「聴衆」をつくる野心的思索=投機。
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『現代思想』二〇〇六年八月号(特集=ホームレス)
ISBN:4-7917-1152-1、税込1,300円、店頭発売7月27日

【心情】
地球にねてる 自句自解……橘安純
夜空の星を見て……橘安純×酒井隆史

【討議】
ホームレスへの招待……中桐康介×高沢幸男×小川てつオ
 ホームレスとは誰か/ホームレスとともに/ホームレスとして/豊かな生活
 /みんなで生きる/「自立」を巡って/支援と排除/生き方の多様性/「自
 立支援」という欺瞞/ホームレスと社会/排除に抗して/ホームレスの未来

【自立】
ホームレス、または世界の喪失……笹沼弘志
「ホームレス支援」策における選別と排除、そして抵抗
 ……北川由紀彦+戸叶敏大
野宿生活者は隠蔽されていたホームレス状況を都市空間で解放した?
 ……水内俊雄
「それにもかかわらず抵抗」宣言……M・ベナサヤグ/稲葉奈々子訳

【生活】
ホームレスに歴史あり――代々木公園テント村の歴史
 ……力道さん×山形さん×小川てつオ
ホームレス文化を考える……小川てつオ

【連帯】
「反権力のリゾーム」としての「『持たざる者』の国際連帯行動」の模索
 ……なすび
「持たざる者」からの脱出――そして何処へ……稲葉奈々子

【女性ホームレス】
ドキドキ★野宿生活……いちむらみさこ
自由でもなく強制でもなく……丸山里美

【表現】
路上生活者が読み、書き、表現すること――文芸誌「露宿」の五年
 ……笠井和明
ホームレスと表現。自立・自律の試み――新世界での取り組み……上田假奈代

【未来】
ダンボールでみる夢……入江公康
スラムの惑星――都市への内訌と非正規なプロレタリアート
 ……M・デイヴィス/長原豊訳


◎『現代思想』二〇〇六年九月号予告 特集=米軍再編(仮)
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★PR★水 声 社 の 新 刊★ http://www.suiseisha.net/

『水声通信』第10号 2006年8月号(特集:ジャン=リュック・ナンシー)
本体1,000円、ISBN:4-89176-591-7、店頭発売7月20日

【特別寄稿】
世界の外……J=L・ナンシー/吉田晴海訳

【ターブル・ロンド】
無‐無神論
 ……J=L・ナンシー×鵜飼哲×小林康夫×西谷修×増田一夫×湯浅博雄

【対話】
責任――来るべき意味について(上)
 ……J・デリダ×J=L・ナンシー/西山雄二+柿並良佑訳

【論考】
像・表徴・図式――ナンシーの思考を貫くもの……合田正人
共‐存在の宛先――J=L・ナンシーのための断片……守中高明
放棄としての感覚=意味〔サンス〕、あるいはダンスとしての世界
 ……大西雅一郎
「世界化」と「一神教の脱構築」を巡る対話――世界の「開き」について
 ……上田和彦
出発間際にある復活の身体――ジャン=リュック・ナンシーのキリスト論
 ……西山雄二

【著作目録】
ジャン=リュック・ナンシー著作目録……西山雄二+柿並良佑+馬場智一編

***

日本初の「ジャン=リュック・ナンシー」特集。上記特集頁のほか、ティム・
イーデンソール+ウマ・コタリ「甘美なるコロニアリズム再考」を特別掲載。
連載は小林康夫、高橋透、松浦寿夫、中村邦生、野村喜和夫。次号(no.11:
2006年9月号)の特集は「表象とスクリーン――見えるものと見えないものの
あいだ」
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コメント
『Site Zero/Zero Site』を一冊入手しました。洒脱な装訂に感心したのも束の間、ページをひらいて落胆しました。一ページに一箇所というのは言い過ぎにしても、看過し得ぬ誤記や誤植、ないし誤解がかなり目につきます。レイアウト(とりわけ行間や段落間)にしても工夫があってしかるべきではなかったでしょうか。これでは、データをそのままフォーマットに流し込んだだけとしか思われません。学術誌、それも英独仏伊語、ときに古典語が入り混じる誌面を構成しようというのであれば、やはりそれだけ校正のために手間をかけるべきではなかったでしょうか。事典を引く、あるいはgoogleで検索する労力を惜しまなければ、誤りも防げたはず。ウェブサイトと雑誌との連携をうたうのであれば、せめて正誤表が掲出されることを望みます。[Site Zero のサイトにはコメント欄が設けられていないため、編集の方が寄稿されているこちらに書込みをいたしました。]
| 澤木 | 2006/09/02 7:26 AM |
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