[本]のメルマガ

配信済のメルマガのバックナンバーを見ることができます。また、記事に対するコメントもお待ちしております。
[本]のメルマガ vol.758

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■■------------------------------------------------------------------
■■ [本]のメルマガ                 2020.07.05.発行
■■                              vol.758
■■  mailmagazine of books       [いかにもニューヨーカー 号]
■■------------------------------------------------------------------
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

★PR★ 原 書 房 最新刊★ http://harashobo.co.jp/

『ジャニ研!Twenty Twenty ジャニーズ研究部』

大谷能生・速水健朗・矢野利裕著 本体1,800円+税 ISBN: 9784562057757

ジャニーズ事務所から繰り出されるミラクルな文化の歴史、意味、元ネタ、社
会への影響を、SMAP・嵐世代の批評家たちが徹底考察。SMAP解散、嵐活動休止
宣言、ネット進出、そしてジャニー喜多川死去…激動の時代にアイドルが指し
示すものは? 2012年刊『ジャニ研!ジャニーズ文化論』を大幅加筆増補!

■CONTENTS------------------------------------------------------------

★トピックス
→ トピックスをお寄せください

★声のはじまり / 忘れっぽい天使
→ 発話の揺らめきに宿る社会関係

★味覚の想像力−本の中の食物 / 高山あつひこ
→ その49 祝完結!「ニューヨークの魔法使い」

★ホンの小さな出来事に / 原口aguni
→ 今回はお休みです。

★「[本]マガ★著者インタビュー」
→ メールにて、インタビューを受けていただける著者の方、募集中です。

----------------------------------------------------------------------
■トピックス
----------------------------------------------------------------------
■トピックスをお寄せください
└──────────────────────────────────

 出版社の皆様、あるいは出版業界の皆様より、出版関係に関わるトピックス
(イベント、セミナー、サイン会、シンポジウム、雑誌創刊、新シリーズ刊行
など)の情報を、広く募集しております。

 情報の提供は、5日号編集同人「aguni」hon@aguni.com まで。

----------------------------------------------------------------------
■声のはじまり / 忘れっぽい天使
----------------------------------------------------------------------
第126回 発話の揺らめきに宿る社会関係
    ―水沢なお「未婚の妹」(詩集『美しいからだよ』(思潮社)より)

 第25回中原中也賞を受賞した水沢なお(1995年生まれ)の詩集『美しいから
だよ』(思潮社)の巻頭は「未婚の妹」という印象的な詩で飾られている。本
詩集の詩は皆物語的な展開を備えているが、この作品は複雑な関係を一際鮮や
かに描いており、詩の未来を感じさせられた。幻想的な設定の作品だが、特に
登場人物の会話が詩の言葉として巧みに使われていて、生々しさを醸し出して
いる。

 この詩は「私」という女性によって語られ、「昨日/ペルシャが死んだ」の
2行で始まる。ペルシャとはどういう人物かは直接説明されない。が、「天鵞
絨の鱗が点々と落ちているのをみつけ追いかけてみると、大きな珊瑚礁の裏で、
小指だけ腐らせて死んでいた」とあるので、人魚のような、異形の種族の話で
あろうことが推測される。

 ペルシャの葬式では女たちが列を作って死を悼むが、その描写が面白い。
「私だったら、目玉をひとつ、持って帰る」と述べた女性は続けて、「ペルシ
ャの目玉が炎の熱でぞんざいに燃えてゆくことを思うとどきどきして嬉しくな
る。瞳が好きだからって、ペルシャの全部を好きになる必要なんてないじゃな
い」と言い放つ。ペルシャは女たちの中で特別な存在のようだが、同時に皆ク
ールに距離を取っているようだ。誰も「泣くこともなく」、納骨の作業は進ん
でいく。 

 そして物語の核に近づく箇所が現れる。「私」の次に納骨する「妹」を、女
たちは「細い糸で絡め取るように」眺める。「妹」は言う。「私がペルシャの
かわりをしなきゃいけないってことでしょ」。つまり、ペルシャはこの種族の
中で特別な役割を背負っていたが、ペルシャが死んだ今、その役を継ぐのは
「妹」だということだ。皆にとってペルシャは「大好きだったからばかにする
んだよ。怖いし悲しいから」という、聖なるが故に差別される、人身御供のよ
うな存在なのだ。更に決定的な言葉は「私たちのパパも、昔は女だったんだわ」
である。ここでようやくこの種族の生態がわかる。この種族は、生まれた時は
皆女性だが、その中から男性になる素質の者が現れ、女たちと交流し子を産ま
せ、繁栄していくのだ。

 家に帰ってからの会話で、「妹」は子宮のことを気にする。「男」になって
からは不要な器官だ。「とっておくことってできないかな」と言った後、「妹」
は「でも私、きっと男になっても忘れないわ。なにもかも、全部忘れない。悲
しいことも全部。それにペルシャの子宮、焼け残ってた。残ってたの」と語る。
今までと異なる役割を振られてもアイデンティティは保持したい。切ない感情
に心打たれる。「私」は自分が燃えるまで死んではだめだと「妹」に言う(ど
うやらここでは「男」は「女」よりも長命のようだ)。「妹」は心の中で「だ
からそれまでお姉ちゃんの子宮二人で大事にしよう。/私はずっとあなたの妹
でいたいだけだから」と呟く。女同士で支えあってきた暮らしの重み。姉妹の
絆の深さにも胸を打たれる。

 その直後のシーンの描出も手が込んでいる。姉妹は久しぶりに布団を並べて
寝る。「妹」は「私」の布団に潜り込み、「私の腹に両腕をまわし/ぴったり
と背中に額をつけて」言うのだ。「朝が来るまで、振り向いちゃだめだよ」と。
夜が明けたら「妹」は変態を遂げるのだろうか。だとすると、これは女同士の
「姉妹」としてのお別れの挨拶ということになろう。ただ、少し残念なのは、
詩の終結に近づくにつれ「私」が現場の当事者という風ではなくなってきて、
ややありきたりなまとめ方をしてしまうところ。書き手としてここは踏ん張っ
て、これから「男」として生きていく「妹」に向けて真情のこもった言葉をか
けて欲しかった。

 この詩は一人称の語りによってできているが、会話の効果的な導入により全
ての登場人物の存在感を際立たせ、彼女らが生きている社会の全体像を臨場感
をもって描き出している。語り手自身が登場人物の一人であることに徹してい
るため、直接的な状況説明はなされない。しかし、登場人物たちの会話を通じ
て、状況が徐々に明らかにされていく。その様はミステリー小説のようでもあ
る。両性具有というテーマ自体はそれほど珍しいものではない。よく知られた
作品ではル=グウィンの『闇の左手』がある。架空の種族の習俗を扱った作品
も今までにあった。会田綱雄の「伝説」がそれである。しかし、「未婚の妹」
にはこれらの作品にはない特徴がある。ナマな会話の導入や細かな仕草の描写
によって個人の身体性を明確にした上で、全てを語り手の抒情として表現する
点である。

 「未婚の妹」は小説的・戯曲的な書法を取り入れているが、重点が置かれて
いるのはあくまで、「私」や「妹」その他の人物のその時々の発話の機微であ
る。その時々の発話の「身体性」を読者に差し出すように言葉が繰り出されて
いると言って良い。小説だったら、ある種族の生態や社会の不思議さを描き出
すことが作品の核となり、そこで個人がどう振舞うかが面白さの鍵を握ること
になるだろう。しかし、詩においては、身体的存在である個の声の微細な表情
の中に、社会が浮かび上がるのである。水沢なおは、受け入れざるを得ない種
族の宿命の哀しみを、姉妹の慈しみの描出の中に浮かび上がらせることに成功
した。個人と社会の複雑な関係が、一言一言の揺らめきに宿っており、それが
感動を呼ぶのである。

*水沢なお『美しいからだよ』(思潮社 本体2000円)                              
----------------------------------------------------------------------
■味覚の想像力−本の中の食物 / 高山あつひこ
----------------------------------------------------------------------
その49 祝完結!「ニューヨークの魔法使い」
 
 今年一月、シャンナ・スウェンドン著の(株)魔法製作所シリーズの最終巻が
翻訳され、全九巻に及ぶロマンチック・ファンタジーがめでたくウエディング
・ベルの音と共に終わりを迎えた。二〇〇六年に翻訳が始まったこのシリーズ、
なんとアメリカでは五巻目以降出版が打ち切られたのに、日本の読者と出版社
からの熱烈な支持のおかげで、日本で先行翻訳されて書き続けられ、七巻目か
らはアメリカで別の出版社から出版されることになり無事完結したというファ
ンタジーなのだ。

 日本人の、たぶん女性の読者たちの心をなぜ捕えたのかというと、主人公と
その恋人の魔法使いが実にうぶで、ファンタジーの中心にある恋物語がじれっ
たいほど進んで行かないことと、そして何より、主人公が平凡で人の目を引か
ないタイプの女性であることが理由のような気がする。まあ、昔の少女漫画の
王道のように、平凡で自己評価の低い女の子が、王子様に見初められるという
パターンなのだが、魔法の会社で主人公のそれまでの実務経験が評価され、会
社員としての能力が活かされていくのも魅力だし、物語が進むにつれ主人公が
王子様に守られるどころか守ったりする側になって行くという逆転の面白さが
あるのも、その理由だと思う。
 
 そして、さらに言えば、ここに展開されるのは魔法の国の物語ではなく、ニ
ューヨークのマンハッタンという舞台で、普通のアメリカ人の世界に入り混じ
っている魔法使いたちの物語だという事が、日本の読者にとって魅力だったの
だと思う。誰もが、ホグワーツの寄宿舎の話を楽しむとは限らない。ニューヨ
ークで普通の会社員生活を送っている若い女性が、普段はどんなところで服を
買ったり、食事をしたり、遊びに行ったり、お酒を飲んだりするのか?そうい
う事を知りたい読者にとって、ニューヨーカーの生活が描かれていることが魅
力だったからこそ、この物語が愛されたに違いないと思うのだ。

 ただし、この作品にも問題はある。精霊、妖精、ニンフ、ノームと様々な魔
力を持つ者たちも同時に生きている世界を書くのが大変なあまり、異人種の姿
がない白人だけのニューヨークを書いたこと。東洋人は幼馴染のインド系アメ
リカ人がやっと四巻目に登場し、アフリカ系アメリカ人に至っては、八巻目に
やっと一人現れるという具合で、この二人がニューヨークで登場人物として一
緒に描かれるのは最終巻だけなのだ。これは逆に白人だけのテレビドラマを見
慣れている日本人読者にとって、ある意味居心地がよい世界を作り上げたのか
もしれないとも思えるところだ。

 そんな魔法の世界と普通の人間の世界が二重写しで存在するニューヨーク生
活の魅力を、ここに描かれる食物から読み解いてみたいと思う。ニューヨーク
の日常の食べ物を、魔法の世界と人間世界との両方の側から見て行こうと思う。
さすがに全九巻は長いので、主に第一巻と第二巻を中心に見て行きたい。

 主人公のケイティはテキサス出身で、大学時代の友人二人とアパートをルー
ムシェアして住んでいる。務めている会社は薄給で、地下鉄に乗らずに片道を
歩いて通うほど倹約している。上司のパワハラに悩んでいたある日、パソコン
に転職をすすめるメールが頻繁に来るようになる。最初は怪しんでいたケイテ
ィだが、上司のあまりの仕打ちに耐え切れず面接を受けに行くことになる。そ
の転職先こそが魔法製作会社、株式会社MSI(マジック・スペル・アンド・イ
リュージョン)。魔術を作って魔法使いに売る会社だったのだ。

 この世界には魔法使いやエルフや様々な妖精が住んでいる。でも、彼らは魔
法を使って人間に見えるという「めくらまし」をまとって生活をしている。普
通の人間というのはみな魔法にかかってしまう体質なので、魔法世界の生きも
のや妖精たちが見えないし、めくらましのせいで相手を人間なのだと思ってし
まうのだという。

 なぜケイティがヘッドハンティングされたかというと、ケイティが免疫者=
イミューンという、絶対に魔法にかからない体質の持ち主だからなのだ。イミ
ューンであるケイティが会社に居れば、魔法使いが怪しげな魔法で相手をだま
そうとしてもばれてしまうというわけだ。そこで、入社早々、魔法を使って姿
を消した(つもりでいる)侵入者を捕まえたり、契約書の違法行為を魔法で隠
しているところを素早く指摘したりして、ケイティは活躍することになる。
 
 物語は、この会社の研究職についているオーウェンという内気な青年とケイ
ティの恋を中心に、違法な魔術を広めようとする魔法使いたちとの戦いが展開
していくのだが、そんなことより、ケイティの日常生活の方が読んでいて楽し
い。

 各巻には、ニューヨークの地図がついていて、物語の舞台の様子が想像でき
る。例えばお金がなくて同僚と外食することもできないケイティが、一人会社
の近くの公園でお弁当を食べる場面。遠くに自由の女神を見えるとあるのはい
かにもニューヨークらしくて、魅力的だ。地下鉄の切符代を惜しんで歩いて会
社に向かう途中に、朝食のベーグルをかじり携帯用のマグに入れたコーヒーを
飲むという描写には、いかにもニューヨーカーという味わいが口の中に広がっ
て行く気がしないだろうか?
 遠くに自由の女神が見えるとあるのは、いかにもニューヨークらしくて魅力
的だ。

 ケイティは料理が趣味なので、悩んでいる時にはアップルパイやシナモンロ
ールを焼いたり、ミートソースの夕飯を作ったりする。その材料を買いに行く
ファーマーズマーケットは、気が付くと他の人には見えない魔法使い専門のお
店、魔法使いの農家が作った野菜を魔法の世界の人だけに売るお店、だったり
するのだ。レストランなども魔法使いが経営していたりするようだが、一般人
にも食事を出していて、悪い魔法使いが客を酔わせて勘定をごまかしたりする
場面もある。時たま魔法に気づく人がいると、彼らはその人に記憶を消す魔法
をかけて忘れさせてしまう。でも魔法にかからないイミューンは幻覚を見たと
悩むことになる。そこで医者に行って精神安定剤等の薬を飲み、魔法を見る能
力は失ってしまうことが多いのだそうだ。

 さて、ケイティがめでたく転職したこの魔法の会社では、誰でも気楽にケイ
ティにコーヒーを出してくれる。最初はいきなり手の中にマグカップが現れる
ことに驚いているようだが、だんだんに慣れてくる。さらに、ケイティはラン
チ代を払う必要もない。頼めば同僚が一瞬にして食べ物を出してくれるからだ。
人事課の秘書のイザベルが手を振るとシュッという音とともに出てくるのは、
サンドイッチとポテトチップスの小さな袋と、ダイエットドクターペッパー。
そして、食べ終わると紙コップや包み紙も、一瞬で手を振って消してしまうの
だ。妖精や巨人族らしい女性たちが、飲み会の計画を立てながら楽しむランチ
タイム。でも、この一瞬で出しくれる食べ物やコーヒーはいったいどこから来
るのだろう?会社が社員の厚生の為に契約していたりしている、魔法使いのコ
ンビニからとってくるのかな等と想像してしまうのは心配のしすぎだろうか?
というのは、私は子供の頃、張天翼著の『宝のひょうたん』という物語を読ん
で震え上がったことがあるからだ。おなかが空いたなと思うと、ひょうたんが
魔法で出してくれるおいしそうな燻製の魚やくるみ飴。実はそれが、どこから
か盗んだものなのだという事が最後にわかって、心配性の私は主人公と一緒に
困り果てたのだ。
 
 けれども、この世界では、飲み物については会社の中は特別なのだという説
明がある。同僚のロッドのアパートに行ってお茶を入れてもらうのだが、魔法
を使わないことを指摘すると、会社内では特別な魔力のパワーが常に流れてい
て、だからみんな魔法を使いやすいのだと言われる。いちから食べ物を魔法で
作るのは大変なことで、しかもおいしいお茶ができるとは限らないのだと、ロ
ッドは説明してくれる。だから、魔法使いも普段は普通に食事を作ったり外食
をしたりするのだそうだ。ケイティが恋人のオーウェンのアパートに行った時
も、オーウェンは普通にコーヒーを入れたり、朝御飯のベーコンエッグをフラ
イパンで作ったり、鍋で昔風のココアを作ってくれたりする。ハンバーグの出
前を取り寄せたり、テイクアウトの白い紙袋に入った中華料理をアパートで食
べたりする場面も何度かある。ここら辺は魔力のない普通人の友人たちと住む
ケイティのアパートでの食生活と何ら変わりはないのだ。

 ただし、コーヒー程度のものは魔法で作れるらしい。だから社内では、コー
ヒーは気楽に手に入るし、物語の後半に出世したケイティには妖精のアシスタ
ントが付くのだが、彼女は暇に任せてコーヒーのフレーバーの魔法を作るのに
夢中になっている。

 例えばこんな具合。

<「コーヒーを入れましょうか」パディータはきまり悪そうに言った。
「ペパーミントモカをお願い。特大サイズでね。それと、ホイップクリームを
増量で。スプリンクルもかけてくれるとうれしいわ」>

 まるで、スターバックスの注文のようで難しい、頑張れパディータ。

 しかも、

<彼女の机の上にカップが出現し、私はそれを手に取った。>

と、あるから、まだ相手の手の中に出せるほど上手くはないのがわかるのだ。

 この物語にはニューヨークの夜の様子も描かれていて、女性同士が飲みに行
く場面などはとても魅力的だ。ルームメイトたちと夜の街に繰り出して、イー
ストヴィレッジのセントマークスプレイスにある小さなカフェの通りに面した
テーブルに腰を下ろしたとか、ヴィレッジのこぢんまりとしたイタリアンレス
トランでブラインドデートをしたとか書かれると、思わず行きたくなってしま
う。

 でも、これが会社の同僚の妖精たちと出かけると、一筋縄ではいかないお出
かけとなる。ダウンタウンの薄暗いバーで妖精たちとコスモポリタンを飲むこ
とから始まった夜は、気が付けば王子様を探して、セントラル・パークの池に
カエルを探しに行くことになる。もちろん、キスをすれば魔法が解けて王子様
級の男が現れる可能性はある……。うーん、私はコスモポリタンはやめておこ
う。

 毎回、魔法を悪用しようとする魔法使いの勢力(悪徳資産家や、権力志向の
エルフやマフィアまがいの魔法集団等々)と戦いながら物語が進んでいくのだ
が、第一巻と第二巻以外にも、ニューヨークのおしゃれなデートスポットやセ
レブがやって来るレストランなどが沢山描かれる第三巻、そして書店が舞台と
なる第七巻などは、とても食べ物的に魅力的だ。特に第七巻で、ケイティが書
店のカフェで働くことになった場面は私のお気に入りだ。なんでこんなにまず
いコーヒーとスコーンをみんな食べに来るのだろうと店員仲間と愚痴を言い合
っているところがあって、書店でコーヒーを飲むのがかっこいいと思う人が多
いからでしょう、というのには思わず笑ってしまった。私もあのかじると粉だ
らけになるスコーンは本屋には向かないと思いながらも、本屋のカフェで食べ
たいくちなのだ。書店のコーヒーハウスには奇妙な魅力があると思うのは、日
本人もニューヨーカーもエルフも(ここは、秘密です)同じなんだなと思えてし
まう。

 でも、こんなにおいしそうでおしゃれな町に住んでいながら、ケイティとオ
ーウェンのお気に入りはピザを取り寄せて食べながら、テレビで映画を見なが
ら過ごす夜。まあ、だから結婚がゴールなんだろうけれど……。

 まあ、それはともかく、いつか魔力のない私も、魔法使いの世界を見つけて
イミューンとして活躍してみたい、そんな気になる物語だ。その時まで、全九
巻を読み直しながら、ケイティのようにハンドバックに気付け用の上等のチョ
コレートを忍ばせ、準備おさおさ怠ることなく備えていくつもりでいるのだ。

 もし、地下鉄の中で羽の生えた人を見かけたら、目をこする前にもっとじっ
くり観察してみよう。たぶん、それが魔法界へ入るきっかけとなるはずだから。

----------------------------------------------------------------------
『ニューヨークの魔法使い (株)魔法製作所』
シャンナ・スウェンドソン著 今泉 敦子訳  創元推理文庫  

『赤い靴の誘惑(株)魔法製作所』
『おせっかいなゴッドマザー(株)魔法製作所 』
『コブの怪しい魔法使い(株)魔法製作所』
『スーパーヒーローの秘密(株)魔法製作所』
『魔法無用のマジカルミッション(株)魔法製作所』
『魔法使いにキスを(株)魔法製作所2and season』
『カエルの魔法をとく方法 (株)魔法製作所2and season 』
『魔法使いのウエディング・ベル(株)魔法製作所2and season 』
『宝のひょうたん』張天翼著 魚返善雄訳 宮脇紀雄文
「少年少女世界の名作文学第44巻」 小学館
----------------------------------------------------------------------

高山あつひこ:ライター(主に書評)。好きなものは、幻想文学と本の中に書
かれている食物。なので、幻想文学食物派と名乗っています。著書に『みちの
く怪談コンテスト傑作選 2011』『てのひら怪談庚寅』等

----------------------------------------------------------------------
■「[本]マガ★著者インタビュー」:
----------------------------------------------------------------------

 メールにて、インタビューを受けていただける著者の方、募集中です。
 【著者インタビュー希望】と表題の上、
 下記のアドレスまでお願い致します。
 5日号編集同人「aguni」まで gucci@honmaga.net

----------------------------------------------------------------------
■あとがき
----------------------------------------------------------------------

 なんと!というほどでもないですが、今回も無事にほぼ日付通りに配信出来
ました。次回も頑張ります!(aguni原口)

----------------------------------------------------------------------
■広告募集のお知らせ:当メルマガは現在4048名の読者の皆さんに配信して
おり、広告は随時募集中です。詳細はメールにて編集同人までお尋ね下さい。
----------------------------------------------------------------------
■ 電子メールマガジン「[本]のメルマガ 」(毎月5・15・25日発行)
■ 発行:[本]のメルマガ発行委員会
■ 掲載された内容を小会の許可無く転載することはご遠慮ください。
■ COPYRIGHTはそれぞれの記事の記者が有します。
■ 今号のご意見・ご質問は5日号編集同人「aguni」まで hon@aguni.com
■ トピックスの情報提供もよろしくお願いします。
  なお、当メルマガは配信日によって、情報の提供先が変わります。
  ・5日号:aguni原口 gucci@honmaga.net
  ・15日号:畠中理恵子 hatanaka3floor@jcom.home.ne.jp
  ・25日号:朝日山 asahi_yama@nifty.com
  ただし、掲載の可否については編集同人が判断します。
■ 広告掲載につきましては、下記までお問い合わせください。
  事務局担当:aguni gucci@honmaga.net
■ HPアドレス http://www.honmaga.net/
■ このメルマガは『まぐまぐ』を通じて発行しています。
■ メールマガジンIDナンバー:0000013315
■ 購読・解除・変更手続きは http://www.mag2.com/ より行えます。
---------------------------------------------------------------------

| バックナンバー | 14:48 | comments(0) | -
SEARCH
[本]のメルマガ
哲学・思想・社会などの人文書や、小説や詩など芸術の最前線、書籍の出版流通、電子出版などの「本」の現在を気鋭の出版社員、書店員が伝える、まさに[本]のメルマガです。
発行周期発行周期:月3回
バックナンバーバックナンバー:すべて公開
マガジンIDマガジンID:0000013315

メールアドレス:

メールアドレス:
Powered by まぐまぐ
※読者登録は無料です

コーチ募集(コーチングバンク) 無料 コーチング カーディーラー経営品質向上 CSR コンプライアンス 経営倫理 実践研究 BERC フリーラーニング
LATEST ENTRY
RECENT COMMENT
RECENT TRACKBACK
CALENDAR
S M T W T F S
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 
<< July 2020 >>
ARCHIVES
LINKS